早稲田大学の演劇映像コースでは、演劇・映画を中心とする身体・映像にかかわる文化表象について総合的に考察し、早稲田大学における坪内逍遥博士以来の演劇研究の伝統を発展的に継承することを目的とします。
対象領域は、日本の古典演劇から、いまだ発展途上の分野といえる現代演劇や、デジタルコンテンツの登場で多方面へ広がる可能性を持つ映像まで、非常に幅広いです。また、その研究手法も、戯曲研究などの文献を用いた方法や歴史的探究のほか、言語分析や精神分析など、さまざまな新しいアプローチが取り入れられています。
学生は、演劇系・映像系の2つの系統のいずれかに属し、自系統の演習科目を中心に、他系統の科目も合わせて履修します。演劇を専攻する学生は、東洋・西洋の古典劇・現代劇、舞踊、民俗芸能などの多様な演劇的表現の探究を通じて、言語・身体・空間の関係のありようを再考します。映像系については、芸術およびメディアとしての映画の特性をめぐって、映画史、映画理論をはじめとする多角的なアプローチを展開するとともに、映画以降の映像表現も視野に収めて、映像文化に対する深く幅広い理解を育成します。さらに、2つの研究領域にまたがる複合的・横断的なテーマを検討することで、より大きな文脈のもとで芸術・文化を見つめるまなざしを養います。ブリッジ科目には演劇・映像関連の講義科目が多数設置されており、個々の関心に応じて多彩な科目選択を行うことができます。
演劇映像コースでは、社会の歯車の「あそび」、労働に対する「遊び」、神を楽しませるために舞や詩歌が捧げられた「神遊び」など、芸術の存在意義を肯定的、積極的に捉えられる人間を育てていきます。
演劇映像コースでは、演劇・映画に強い関心を持つ学生のみなさんの進級を待っています。私たちのコースではもっぱら研究の対象として演劇・映画をとらえ、その理論と歴史を学ぶことを目的としています。そのため実技科目を設置してはいませんが、実際には演劇・映画をつくっている学生も多く在籍しています。ほかのどの領域とも同様、学問を究めるにはどこかに苦しさを伴うものですが、演劇学、映像学の根本には、対象に対する愛着、楽しさがつねにあることが特徴ではないでしょうか。そのためか、とても活気のあるコースです。みなさんがすぐれた作品や刺激的な議論にふれることができるよう、演劇・映画に関連した催し(公演・上映、講演会など)もコースとしても積極的にお知らせして、サポートしています。知的好奇心と美的関心にあふれたみなさん、演劇映像コースに。
2年次には、演劇系・映像系合同で「演劇映像研究1・2」(2年次必修講義)を受講するとともに、専門演習の授業を履修します(目安:必修2コマ、選択1コマ)。同時に、演劇映像コースが設置する選択講義科目を履修し、演劇学、映像学の基礎を幅広く身につけることになります。演習の授業には、学生のみなさんが主体的、積極的に参加して、講義科目で得られた知識を実践的に体得していくことが期待されています。そのほか、選択外国語科目、ブリッジ科目、オープン科目などから、各自の関心に合わせて自由に科目を選択し、履修することが可能です。また、学部生のみなさんもコースが主宰する演劇映像学会の会員となって、最新の研究成果にふれることができます。演劇映像学会の活動にもぜひ積極的に参加してください。
3年次には、2年次に引き続き、演劇映像コースが設置する専門演習の授業(目安:必修1コマ、選択2コマ)および選択講義科目、さらに選択外国語科目、ブリッジ科目、オープン科目を履修します。演劇学、映像学について基礎を固めるとともに専門的な知識をさらに深めながら、3年次の秋期に卒業論文のテーマと指導教員を決定します。3年次の秋期は就職活動が本格化する時期でもあり、自分の現在を見つめ直して、未来を考えるときです。就職する場合でも進学する場合でも、卒業後の進路について疑問や不安があるときには、遠慮なく教員に相談してください。引き続き、演劇映像学会の活動にもぜひ積極的に参加してください。
3年次の秋期に決定した指導教員ごとに分かれて卒論演習を履修し、指導教員の丁寧な指導のもと、4年間の集大成として卒業論文を完成させることが、4年次のカリキュラムの中心となります。少人数で密度の濃い卒論演習の場において教員やほかの学生と議論を重ね、各自が調査・分析、執筆、推敲を繰り返しながら、卒業論文を完成に導いていきます。4年次には、一定の条件のもと、大学院設置科目の先取り履修も可能になりますので活用してください。意欲ある学生の大学院への進学も歓迎しています。本学文学研究科修士課程の入学試験は9月に実施されるので、進学を希望する場合には早めに教員に相談してください。引き続き、演劇映像学会の活動にもぜひ積極的に参加してください。
映像演劇コースの演習テーマについて紹介しています