かつて美術史といえば、作品や時代のスタイルを分析する「様式論」、テーマやその意味・内容を考察する「図像学( イコノグラフィー)」の2本柱で研究が進められてきました。しかし近年では、歴史学はもとより宗教学や文化人類学、社会学や考古学などの周辺諸学の学術的な成果を積極的に導入しつつ、新たな広がりと深まりを見せようとしています。また広告やデザイン、写真やアニメは当然のこと、漫画や落書きまでも美術史の射程に収めており、授業では伝統的なディシプリンを修得する一方で、先端的な題材や現代美術の趨勢にも目を向け、つねに「生きる学問」としての美術史を目標に掲げています。
本コースの学術環境は、「自由で闊達」の言葉に尽きるでしょう。日本、東洋、そして西洋の各美術史の系譜や基礎知識、方法論を体得した後、自らが選んだ研究テーマをさらに専門的に深められるよう演習科目・講義科目が組み立てられています。また作品と触れ合う機会を共に持つために、2年次に首都圏の美術館見学会、3年次には4泊5日の奈良古美術研修旅行が用意されています。
「早稲田美術史」は、高名な書家で歌人、優れた東洋美術史家でもあった秋艸道人こと、曾津八一博士によりその礎が築かれ、以来100年近い伝統を誇り、その内容、組織共にわが国有数の研究教育機関です。まず作品を見る営為、それを基盤に史料や様々な方法で作品を究める営為、これが美術史研究の両輪であると説いたのは曾津博士でした。
若い人たちがこの伝統を継承しつつ、最新の学術的な成果をも導入するならば、「美術を学問として学んだ意義と醍醐味」が生涯、かけがえのない遺産として生き続けるでしょう。
狭い意味での「美術」作品だけではなく、マンガ、映画、広告、サブカルチャー等、広い意味での視覚芸術に興味をもつ学生を対象にします。「目に見えるもの」を言語化する作業が基本となります。講義でも演習でも、パワーポイントを多用しますので、基本的な使い方を身につけて下さい。美術史コースで培った力、視覚を分析して言葉にする論理能力、作品の内容に対する芸術的な感性は、どんな分野に就職しても役に立つことでしょう。
全学年共通の行事として、年5~10回程度、美術館・展覧会見学を実施しています。詳細は研究室HP及び、学生編集部によるブログ、ツィッターを参照してください。
美術史コースのカリキュラムは、日本・東洋・西洋の3本柱からなります。演習は必修で、日本・東洋・西洋をほぼ均等に配当しています(自動登録)。選択講義科目の中から、所要単位を計画的に履修してください。隔年開講科目があるので、注意してください。「美術史への招待1・2」は選択講義科目ではありませんが、なるべく早い時期に履修することが好ましいです。
2年次生の行事としては、秋に日帰りで美術館見学を行ないます。詳細は時期が近づいたら告知します。学芸員を志望する学生は、学部卒では難しいので、大学院までを視野に入れること。
演習のみが必修科目となります(自動登録)。選択講義科目の中から、所要単位を計画的に履修してください。隔年開講科目があるので、注意してください。10月には卒論計画書を提出して、12月に仮指導を行ないます。そろそろ卒論のテーマを考え始めましょう。日本・東洋・西洋の講義科目のうちから、自分の卒論に近い科目を多く履修してください。
3年次生の最大の行事が、6月初旬の奈良研修旅行です(4泊5日)。4月早々に旅行委員を募って、コース等の計画を立て始めます。原則全員参加のコース行事です。
演習のみが必修科目となります(自動登録)。選択必修科目の中から、卒業所要単位に足りるよう、多めに登録してください。各自、指導教員の卒論演習を受講しながら、卒論を仕上げることが最大の課題になります。就職活動と並行しての卒論執筆は、大変な作業ですが、ぜひがんばってください。卒論等の相談は、教員にしてくれてももちろんかまいませんが、コース室に大学院生のTAをおきます。先輩に気軽に相談してください。
美術史コースの演習テーマについて紹介しています