Graduate School of Asia-Pacific Studies早稲田大学 大学院アジア太平洋研究科

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第88回アジア太平洋研究センター(WIAPS)研究会

開催日時

2024年2月13日(火)12:25-13:00

場所

ZOOMウェビナー

参加資格

WIAPS専任教員・助教, GSAPS兼担教員, WIAPS受入の交換研究員・訪問学者・外国人研究員, GSAPS修士課程・博士後期課程在学生

報告1

報告者

井上 史(早稲田大学アジア太平洋研究センター 助教)

報告テーマ

日米間帝国史における現代沖縄の位置づけ——冷戦期沖日米関係と第三世界との思想的交錯を手がかりに

要旨

日米の帝国史に琉球/沖縄の歴史的位相を顕在化させる試みは、現代沖縄をめぐる学際的研究史において主要な命題とされてきた。同研究群の系譜と連動する動向として注目されるのは、近年歴史学の新潮流としてその地位を築きつつある「間帝国史(trans-imperial history)」である。その代表的研究にあげられるT・フジタニ『共振する帝国 朝鮮人皇軍兵士と日系人米軍兵士』(岩波書店、2021年)は、日米両国の帝国的様態をめぐる連続性を時空両面において解明すべく、第二次世界大戦前後を含む貫戦(transwar)期の日米間帝国史を、厖大な公文書にもとづき提示している。既存の沖縄研究においても、日米の植民地主義やインペリアル・モダニティ―が創出した<辺境>としての沖縄の地位は、社会運動史家やポストコロニアル・スタディーズの担い手によって自明のものとされてきた。ただ、これらのフィールドに属する沖縄研究では、日米政府の対沖政策および民間行為主体のそれへの対応をめぐる史的展開を、外交史的検証によって裏づけるという方法論を採用しないのが常である。すなわち、日米間帝国史としての、実証にもとづく沖日米関係史は、まだ定着していないのが現状である。
本報告では、以上の研究状況をふまえたうえで、日米間帝国史に現代沖縄を位置づけることの意義と、それにともなう課題を検討する。構成は、次の通りである。第一に、日米間帝国史の枠組みに照らし合わせ、既存の現代沖縄史研究を整理する。第二に、沖日米関係史研究における実証課題を具体的に示すため、1950年代から60年代における同三者民間行為主体と第三世界との思想的交流の変遷を取り合あげる。そのうえで、冷戦と脱植民地化をめぐるグローバルなダイナミズムを十分に捉えることができていない、既存の沖日米関係史研究の課題を指摘する。第三に、日米間帝国史の枠組みに沖日米関係史を位置づけることの学術的意義を、結論として確認することとする。

Dates
  • 0213

    TUE
    2024

Place

Zoom ウェビナー

Tags
Posted

Tue, 06 Feb 2024

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