研究テーマ
アジア学の包括的史料調査
The Integrated Survey of Historical Materials Concerning the Asian Studies
代表者
早瀬 晋三教授
(1)研究目的
従来個別研究に付随するかたちで発展してきた史料調査は、より包括的な理解のうえでおこなうことが重要な時代になった。たとえば、日本占領期の東南アジアにかんする史料調査は、インドネシア、フィリピン、マラヤ・シンガポール、東ティモール、ビルマと、おこなわれてきたが、「南方軍政」という枠組みなどでも考察する必要がある。また、中国戦線から南方へ日本軍が移動してきたことを考えれば、より広域に考える必要がある。本研究部会は、時代的にも地域的にも、より広い視野の下で、史料調査をおこなうことを目的とする。
(2)研究の意義
グローバル、リージョナル、ナショナル、ローカルといった枠組みで考察することが必要になった現代の歴史学において、基本となる史料の所在を包括的に把握することによって、時代や地域を超えた議論・考察を可能にする。
(3)運営方法
これまでまとめられた史料を包括的に把握するための研究会をおこなうとともに、科学研究費補助金に基づく共同研究プロジェクトなどと連携して、史料の発掘などにも務める。また、戦後のアジア学をになった研究者などの口述資料を集める。
(4)期待される成果
史料目録・文献目録の作成、史料の復刻、口述資料(証言)の出版など。すでに以下のような研究工具を出版している。
・早瀬晋三『1912年のシンガポールの日本人社会-『南洋新報』4-12月から-』(研究資料シリーズ11)早稲田大学アジア太平洋研究センター、2025年2月、159頁。(早稲田大学リポジトリからダウンロードできる)
・早瀬晋三『戦前期フィリピン在住日本人職業別人口の総合的研究』(研究資料シリーズ10)早稲田大学アジア太平洋研究センター、2024年3月、242+455頁。(早稲田大学リポジトリからダウンロードできる)
・早瀬晋三『電子版 戦前期フィリピン在住日本人関係資料:解説、総目録』(研究資料シリーズ9)早稲田大学アジア太平洋研究センター、2023年3月、234頁。(早稲田大学リポジトリからダウンロードできる)
・早瀬晋三編『復刻版 南洋協会発行雑誌-『会報』・『南洋協会々報』・『南洋協会雑誌』・『南洋』-』第1期(大正期)全12巻(龍溪書舎、2021年4月~23年1月)、第2期(昭和期)電子版(龍溪書舎、2023年12月)+『南洋協会発行雑誌(『会報』・『南洋協会々報』・『南洋協会雑誌』・『南洋』1915~44年) 解説・総目録・索引(執筆者・人名・地名・事項)』(龍溪書舎、2018年1月)全2巻。
・早瀬晋三編『復刻版 ボルネオ新聞』龍渓書舎、2018~19年、全13巻+『復刻版 ボルネオ新聞(1942~45年) 解題・総目録・索引(人名・地名・事項)』龍渓書舎、2019年、471頁。