開催日時
2024年6月10日(月)12:25-13:00
場所
ZOOMウェビナー
参加資格
WIAPS専任教員・助教, GSAPS兼担教員, WIAPS受入の交換研究員・訪問学者・外国人研究員, GSAPS修士課程・博士後期課程在学生
報告1
報告者
遠藤 環(早稲田大学アジア太平洋研究科 教授)
報告テーマ
都市インフォーマリティを巡る包接と排除のダイナミズム:アジアのメガ都市を事例に
Conflicting Dynamics of Urban Informality: Inclusion and exclusion in Asian megacities
要旨
急速で圧縮した発展にもかかわらず、アジアの新興国では現代でもインフォーマル経済が広範に観察される。例えば、国際労働機関(ILO)の統計によれば、東南アジアの労働者(非農業従事者)の約7割、南アジアの労働者の約8割はインフォーマル雇用で働いている。またデジタル版インフォーマル経済とも言えるギグエコノミーの浸透や社会的対応は、むしろ新興国でより早く進んでいる。
本報告では、インフォーマル経済の現状と直面する諸課題について、アジアのメガ都市を事例に検討する。発展途上で社会保障制度も未整備のまま、新興国では少子高齢化が始まっており、インフォーマル経済従事者の制度的包摂のために様々な試みが続いている。他方で、2010年代中ごろから始まったアジア各国における都市再開発プロジェクトの活発化は、人々の労働・生活基盤を揺らがしつつある。また急激な社会変化や格差拡大のもとで、人々のインフォーマリティに対する期待や寛容度も変化しつつある。都市インフォーマリティを巡る包接と排除のダイナミズムを、人々の視点から検討してみたい(現在進行中の都市間比較プロジェクトのサーベイ結果[仮集計中]も一部紹介する)。