開催日時
2023年12月11日(月)12:25-13:00
場所
ZOOMウェビナー
参加資格
WIAPS専任教員・助教, GSAPS兼担教員, WIAPS受入の交換研究員・訪問学者・外国人研究員, GSAPS修士課程・博士後期課程在学生
報告1
報告者
勝間 靖(早稲田大学アジア太平洋研究科 教授; 国連大学サステイナビリティ高等研究所 アカデミック・プログラム・アドバイザー)
報告テーマ
新型コロナウイルス感染症ワクチンへのアクセス
―国際的な公正さをめぐって―
要旨
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンをめぐる国際協力のためにCOVAX (COVID-19 vaccines global access)ファシリティが設けられた。しかし、ワクチンが無償で供与されているはずの低所得国では、接種率が低いままである。その原因に、ワクチン需要が供給を上回るなかでの、高所得国の「ワクチン・ナショナリズム」や、低所得国に住む高所得者の「ワクチン・ツーリズム」がある。自国民優先という短期的な視点と、世界の「すべての人が安全になるまでは、誰も安全ではない」という中長期的な視点とをバランスした公共政策が必要である。ワクチン・ツーリズムのほか、一部の新興国による「ワクチン外交」については、国際的な倫理ガイドラインが求められる。また、ワクチン製造技術など、研究・開発から生じた知的財産権について、国際的な共有を求める声が高まっている。HIV/エイズで議論されたことが、COVID-19で再び俎上に載っている。対象や期間を限定せず、医薬品アクセスの国際的な公正さへ向けて、正面から議論を続けるべきであろう。
*本発表は、以下に依拠しています。勝間靖「新型コロナウイルス感染症ワクチンへのアクセス」国際基督教大学社会科学研究所、上智大学グローバル・コンサーン研究所編『サステナビリティ変革への加速』(東信堂、2023年9月)pp.46-60.