開催日時
2021年2月8日(月)12:15-12:50
場所
ZOOMウェビナー
参加資格
WIAPS専任教員・助教, GSAPS兼担教員, WIAPS受入の交換研究員・訪問学者・外国人研究員, GSAPS修士課程・博士後期課程在学生
報告1
報告者
佐々木 俊介 (早稲田大学アジア太平洋研究センター助教)
報告テーマ
ダンプサイト・ウェイスト・ピッキングにおける児童労働:インドネシア共和国バンタル・グバンを事例に
要旨
近年、ウェイスト・ピッキングへの肯定的な評価が行われるようになってきているが、児童労働については早急に解決すべき課題として指摘されることが多い。本研究では、インドネシア共和国西ジャワ州ブカシ市バンタル・グバンの廃棄物最終処分場とその周囲のスラム街を事例に、ダンプサイト・ウェイスト・ピッキングにおける児童労働について、1)就学および就学状況、2)義務教育の学齢の子どもの収入、3)義務教育の学齢の子どもが就労している世帯の特徴について述べた上で、4)貧困に起因するウェイスト・ピッキングが教育機会を奪う主要因かどうかについての検討を行う。小学校の学齢では就学のみの者の割合が高く、少数ではあるが義務教育の学齢においても通学せず就労のみ行っている者も存在しており、高校の学齢では半数以上が就労のみとなっている。義務教育の学齢にある子どもの収入について、就学していない子どもの平均個人月収はUSD 49.5であり、就学している子どもの場合、休み期間中はUSD 63.9、学期中はUSD 19.9であり、世帯収入に占める割合は27.7%であった。ウェイスト・ピッカーたちの収入は比較的高い上、ウェイスト・ピッカーの中でも高い収入層の者たちの世帯においても児童が労働に従事している例が見られる。これらのことからウェイスト・ピッキングが児童労働の主要因とまでは言えない。