開催日時
2021年1月18日(月)12:15-12:50
場所
ZOOMウェビナー
参加資格
WIAPS専任教員・助教, GSAPS兼担教員, WIAPS受入の交換研究員・訪問学者・外国人研究員, GSAPS修士課程・博士後期課程在学生
報告1
報告者
大貫 真友子 (早稲田大学アジア太平洋研究センター助教)
報告テーマ
JICA海外協力隊の帰国後のボランティア活動と個人要因
要旨
近年世界各国の国際ボランティア派遣団体では、帰国後のボランティアによる社会還元の在り方や帰国後の支援についての議論が活発に行われている。本研究では、JICA海外協力隊(以下、「隊員」)を対象に、隊員の帰国後のボランティア活動の実態、および、それと価値観やパーソナリティとの関係性を明らかにした。帰国後平均10年が経過した元隊員228名を対象に、10の分野における過去一年間のボランティア活動日数、価値観(自己超越と変化への開放性)、パーソナリティ(開放性、誠実性、外向性、調和性、情緒不安定性)、および社会経済的地位(年齢、性別、配偶者の有無、個人の収入、世帯収入、職務時間など)についてオンラインサーベイを行った。多重代入を用いた重回帰分析を行った結果、「変化への開放性」の価値観(刺激や自己決定を重んじる一方、保守性が低い傾向)がより高い元隊員は、教育及び国際協力の分野において、ボランティア活動の日数が多かった。一方で、ボランティア精神と関連深い利他性に相当する「自己超越」の価値観(普遍主義や慈善を重んじる一方、自己高揚が低い傾向)は、ボランティア活動日数と関係がなかった。パーソナリティについては、より外向性が高く、情緒不安定性が低い元隊員が比較的多くのボランティア活動をしている分野があったが、効果量が少なかった。以上の結果を踏まえて、帰国後の国際ボランティアによる社会還元の在り方について議論する。