開催日時
2020年12月14日(月)12:15-12:50
場所
ZOOMウェビナー
参加資格
WIAPS専任教員・助教, GSAPS兼担教員, WIAPS受入の交換研究員・訪問学者・外国人研究員, GSAPS修士課程・博士後期課程在学生
報告1
報告者
篠原 初枝 (早稲田大学アジア太平洋研究科教授)
報告テーマ
国際連盟理事会の検討―集団的正当性・規範の視点から
要旨
近年、国際連盟についての史的研究が再検討されているが、その多くが、国際連盟における社会経済分野(委任統治・技術協力・公衆衛生等)を課題としてきた。連盟が紛争防止に失敗したことで、近年の連盟研究が、連盟が成果を上げてきた社会経済分野に焦点を当てるのは理解できる。他方で、国際機構論の視点から国際連盟の制度的な意義、特に国際連盟理事会がどのような役割を果たしてきたかは、ほとんど検討されてこなかった。本研究では連盟理事会における議論、報告書、決議が、ある分野での規範の形成や変化に影響を与えたかを探求し、さらに連盟理事会を介する規範形成を分析する上で、「集団的正当性(collective legitimacy)」という概念を手がかかりに考察する。すなわち、連盟理事会の議論、報告書、決議、また連盟理事会独自の制度である「報告者(reporter)」の役割を考察し、連盟理事会を歴史的に再考すると同時に、国際関係史・国際組織論・国際法にまたがる規範形成を「集団的正当性」の概念を検討することで探求する。
すなわち、国際連盟理事会はその議論、報告書、決議等によって、国際規範の形成や変更に役割を果たしたのか、そうだとするならば、その役割を考察する上で「集団的正当性」の概念が有用であるか。これが、本研究が提示する学術的「問い」である。
Key words: 国際連盟理事会、規範の形成と変化(norm change)、集団的正当性