開催日時
2015年7月13日(月)16:00-16:40
場所
早稲田大学19号館(西早稲田ビル)7階713教室
参加資格
WIAPS専任教員・助手, WIAPS受入の交換研究員・訪問学者・外国人研究員, GSAPS修士課程・博士後期課程在学生
報告1
報告者
岩原 紘伊 (アジア太平洋研究センター助手)
報告テーマ
地方分権化時代の「村落」とツーリズム開発―インドネシア・バリ州バドゥン県の事例から
要旨
本発表は、インドネシア・バリ州バドゥン県に焦点をあて、ポスト・スハルト期インドネシアにおいて地方政府が進めるコミュニティ・ベースド・ツーリズム(CBT)振興策による村落社会への影響のあり様を明らかにすることを目的とする。
バリ州はインドネシア随一の国際観光地として知られ、2014年には約370万人の国際観光客がバリ州を訪れている。バリ州には8つの県と一つの市があるが、本報告で焦点をあてるバドゥン県には、南部にクタ、ヌサドゥアなどバリ州を代表する観光地があり、バドゥン県はバリ州内で最もマス・ツーリズム型観光開発の恩恵を受けてきた県である。そのバドゥン県では、2009年に県知事令が出され、これまで観光地化されてこなかった北部・中部の11の農村において、住民参加型の新しい村落ツーリズム開発政策が打ち出された。このバドゥン県政府による動きには、地域開発の手段としてCBTに期待しているという側面もある一方、1998年のスハルト政権崩壊以降インドネシア各地で生じている「慣習」あるいは「慣習村共同体」のリバイバルという側面も密接に関わっている。本発表では、上記の村落ツーリズム開発の対象となった報告者の調査村を事例として、対象とされた村落社会がいかにこの新しいツーリズム振興策を受容したかを考察する。