開催日時
2014年2月17日(月)16:00-16:40
場所
早稲田大学19号館(西早稲田ビル)7階713教室
参加資格
WIAPS専任教員・助手, WIAPS受入の交換研究員・訪問学者・外国人研究員, GSAPS修士課程・博士後期課程在学生
報告1
報告者
斎川 貴嗣 (アジア太平洋研究センター助手)
報告テーマ
知的協力から国際文化交流へー国際連盟知的協力国際委員会における日本と中国(1922-1939)
要旨
本報告は、両大戦間期に国際文化交流事業を展開した国際機関である知的協力国際委員会(International Committee on Intellectual Co-operation;ICIC)を主な対象とし、ICICにおいて国際文化交流の理念がいかに形成されたのかを歴史的に明らかにすることを目的とする。また、そうしたICICの理念変化における非西洋諸国、特に日本と中国の役割に注目する。
ICICは、普遍的「文明」を共有した知識人の世界的連帯を目的として1922年に国際連盟に設立された。しかしながら、そうした初期ICICの基本理念に西洋中心主義を読み取り、強烈な批判を展開したのが日本と中国である。日中両国は、それぞれ独自の方法で知的協力理念を再解釈し、知的協力事業における国家政府の役割と国民文化の意義を強調しながらICICに対して積極的な関与を行った。これに対して、1930年代に入り、ICICはその知的協力理念を大きく転換し、中国に対する「教育使節団派遣」と日本に対する「日本叢書」の発行という新たな事業を行うようになる。そして最終的にICICは、国家政府を担い手とした各国国民文化の交流と相互理解として知的協力を再定義するのであった。本報告では、こうしたICICの理念変容を知的協力から国際文化交流への展開として捉え、両大戦間期国際文化交流におけるICICの同時代的意義を示したい。また、さらに、ICICの後継機関であるユネスコへの示唆と今後の研究の方向性にも論及したい。