Graduate School of Asia-Pacific Studies早稲田大学 大学院アジア太平洋研究科

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第16回アジア太平洋研究センター(WIAPS)研究会

開催日時

2013年6月10日(月)12:15 – 12:50

場所

早稲田大学19号館(西早稲田ビル)7階713会議室

参加資格

WIAPS専任教員・助手, WIAPS受入の交換研究員・訪問学者・外国人研究員, GSAPS修士課程・博士後期課程在学生

報告1

報告者

早瀬 晋三氏(早大アジア太平洋研究科教授)

報告テーマ

「海域史からみた共生社会-近代国民国家を越えて」

要旨

20世紀は「戦争の世紀」であった。いま、国家間の戦争にかわって、生活圏さらに生存圏まで奪われた沙漠の民や海の民が、「テロ」や「海賊」をはたらき近代国民国家に挑んでいる。本報告では、海域がもつ共生の歴史に注目し、領域問題の解決の糸口を考える。

ここでいう海域史とは、陸(陸域)から海(海域)中心へと歴史の視点を移すことによって、海そのものをひとつの歴史的世界として捉えることで、近年の海域史ブームの主流である「陸(陸域)から海を見る、陸と海との相互の関係を見る」という陸の価値観、論理でみる歴史観とは一線を画す。

本報告では、まず、17世紀初めにオランダ人法学者のグロティウスが、東南アジアの海事法典を参考に著したといわれる『自由海論』の考えが、19世紀半ばまで通用したことを、イギリス外交文書のなかにある地図で示す。つぎに、太平洋の島々に、東からアメリカ合衆国、西から日本が進出し、19世紀末までにそれぞれ島々を領有宣言した後も、アメリカは日本が主権を主張しない限り、日本人の居住を許したことを紹介する。また、日本は、日清戦争後、尖閣諸島を含む台湾海域、東沙諸島、西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島にも進出し、清国やフランスと領土問題に発展したこともあったが、開発、利用にかんしては比較的自由であった。

このような考えは、1959年に採択され、61年に発効した南極条約まで引き継がれ、領土権主張の凍結がうたわれた。しかし、その後、海底資源にも関心が向けられるようになり、領海の拡大を主張する国が相次いだ。南極条約の精神を引き継ぐためには、領土を主張するのが国民への義務だと考えている近代国民国家の考えを棚上げにして、国家間の利害を超えて人類共有の財産として資源、環境を管理する途を探ることが必要だろう。

Dates
  • 0610

    MON
    2013

Place

早稲田大学19号館(西早稲田ビル)7階713会議室

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