SPECIAL INTERVIEW 菊間千乃さん

菊間千乃さん

YUKINO KIKUMA

“素”でいるための空間こそが、キャンパス

アナウンサーとして活躍した後、現在は弁護士として企業法務や紛争解決に従事する菊間千乃さん。小学生の時に観戦したラグビーの試合がきっかけで早稲田大学を志望し、入学前からアナウンサーになることを夢見ていたという。

「報道の仕事に就きたかったので、法律や政治を学びたいと法学部に入りました。とはいえ周りは法曹志望の学生ばかり。知識では勝てなかったのですが、原告・被告のチームに分かれるディベートではほとんど負け知らずでした。口達者な性格だったからかもしれません」 

菊間さんが学生時代に大切にしていたのは、授業の空き時間だった。早稲田キャンパスの10号館には学生が出入りできる屋上スペースがあり、そこで多くの時を過ごしたと語る。

「歩いている友人に屋上から声をかけて、青空の下で一緒にご飯を食べたりと、のんびりとしたひと時でした。10号館からは大隈銅像越しに大隈記念講堂を眺めることができて、早稲田ならではの景色が今でも頭に残っています。集まっていたのはゼミの仲間ですが、勉強よりも他愛のない話が中心でしたね」 

法学部の学生が集まる8号館は2005年に改修されているが、菊間さんは「雑多な学生が集まる場所」だったと、自身が過ごした旧8号館を振り返る。

「多くの司法試験受験生が利用する学生読書室があり、私は定期試験前だけ利用していましたが、どこか場違いでした。ラウンジでは、ゼミの発表の打ち合わせをして、終わったら高田馬場へ飲み会へ。当時は携帯電話もなかったので、“たまり場”に集まることが、重要なコミュニケーション手段でしたね」

現在は自らが法曹として複雑な社会課題と向き合う菊間さん。若い世代に対し、「建設的にコミュニケーションをしてほしい」と、メッセージを贈ってくれた。

「価値観が大きく変わる中、社会全体が方向性を模索していますが、不正やハラスメントが絶えないのも事実です。これから社会に出る学生には、“声を上げる力”が必要になるでしょう。他者への敬意は抱きつつも、意見はしっかりと伝える。そうした建設的な姿勢が、自分や組織を成長させるはずです」

時には逆境や理不尽と対峙せざるを得ない現代社会。果たして大学という空間には、どのような存在意義があるのだろうか。

「自分のペースに戻れる大学という場所があるから、安心して外に飛び出せます。今でも仲間と集まりますが、近況報告をしながら羽を休めると、再び社会で頑張れるんです。そんな“素のまま”の自分でいられる友人に出会えるのがキャンパス。かけがえのない関係性は、何でもないような日常から生まれるのかもしれません」

PROFILE

1972年東京都生まれ。1995年早稲田大学法学部卒業後、株式会社フジテレビジョンに入社。アナウンサーとしてバラエティーや情報、スポーツ番組など数多く担当。2007年司法試験に専念するために退社。2010年司法試験に合格し、現在は弁護士法人松尾綜合法律事務所にて弁護士として活動。2019年、早稲田大学大学院法学研究科修了。

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