早稲田大学の教育・研究活動およびその成果のすべては、より良き世界の構築へ貢献することを最大の目標とします。貢献とは単に世界の要請に応えることだけではなく、社会を構成する人と自然を愛し、人類社会の解くべき課題と行くべき先を指し示し、新たな世界を切り拓いていくことです。
早稲田大学の学生すべてに共通する人材育成の方針(ディプロマ・ポリシー)を明確にして、そのためには、どのような教育方針(カリキュラム・ポリシー)が必要なのか、どのような方針で学生を支援していくのか、そしてどのような学生に入学(アドミッション・ポリシー)してほしいのかを明確にします。ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーについては、各学部・大学院の特徴を生かした個別のポリシーが既に存在しており、ここでは、大学全体のポリシーを示します。
早稲田大学の三大教旨(学問の独立、学問の活用、模範国民の造就)の現代的意味を深く体得し、生涯にわたって学びつづけながら、世界の様々な地域で社会に貢献する人材を輩出する。
本学で学ぶ学生が身につける能力や素養として、以下の6つを掲げる。
各学問分野で身につける専門性とともに、ディプロマ・ポリシーに掲げた能力や素養を身につけるために必要なカリキュラムを構築する。また、すべての学生に根拠に基づく(エビデンスベース)思考力を身につけさせるため、基盤教育を充実させる。多彩な科目から、学生が学びを主体的に構築するために、学問分野・レベル・授業形態などを体系的に示す。
授業形態については、演習・ゼミや双方向型の授業を主体とする学生参画型対話型教育、フィールドワークも活用したプロジェクト型教育を取り入れ、学生の自学自修による、より深い学びを促進する。さらに、学生の「叡智、志、実行力」といった人間的力量を育むための正課および正課外のプログラムを提供し、学生同士や社会との多様なふれあいの中で、学生が主体的に学修し成長する環境を整備する。
本学を志望する者には、入学前に以下の能力・素養を身につけてもらいたい。
初等・中等教育段階では
また、本学の理念に沿った
これらを育んでおくことを期待したい。
本学で学ぶ者には、在学中および将来にわたって、深い教養を高い水準で身につけていく姿勢が求められる。したがって、文理を超えて幅広い教科・科目などを学習し、さらに、多様かつ深い学習経験を継続的に積みあげてもらいたい。世界の様々な地域で社会に貢献できる能力・素養の基礎を、入学前に培っていることを期待したい。
本学では、国内および世界のあらゆる地域から学生を迎え入れる。入学者選抜では、本学で学びたいという高い勉学意欲と知的好奇心、および入学時点で最低限必要となる水準の知識・技能の有無を確認する。さらに入学後の学修の基礎となる論理的思考力・判断力・表現力、および主体性・協働性を選抜において確認する。
本学は、入学者に、本学の教養教育および専門教育に耐えうる、最低限の知識を有していることを前提として入学者選抜を実施する。その上で、全学ならびに各学部の選抜の方針に基づいて、多様な学生を迎え入れるための多様な試験制度を設定する。たとえば、知識・技能、論理的思考力・判断力・表現力、および主体性・協働性のいくつかにおいて、優れた資質を備えている者、あるいはそれらを一定水準で満たし、かつ文学・芸術・スポーツなどの分野で際立った資質や独創性を備えている者を、入試制度ごとに一定の割合で迎え入れる。
学習、文化・スポーツの課外活動、ボランティア活動などを支援するとともに、学生一人ひとりの自立を促し、安心して学べる環境を整備する。学生が自発的な活力を最大限に発揮できるようなキャンパス環境を整えるとともに、学生に大学の教育・研究を支援する仕事に就く機会を与え、経済的支援と社会的トレーニングの双方を提供し、学生が能動的に成長し、社会に巣立って行く環境を整える。
早稲田大学が教育・研究を通じて世界に貢献する上で、大学全体の教育・研究の方向性や目標を定めた教育・研究活動を実践することが不可欠です。また、時代的転換にあわせた研究の飛躍を図ることも必要です。さらに、演習・ゼミを主体とする教育、学生の個性を重視した教育へと移行する上では、明確な教育目標を定め、教育力を高めることも要請されます。このような教育・研究を展開するために、今後、どのような教員を採用するかを指し示すことも欠かせません。
最先端の研究を推進し、先進的な「国際研究大学」としての地位を確立することをめざす。基礎研究に重点を置きながら応用研究へと対象を拡大し、総合性・文理融合、学理と実践・現実の相互作用を促し、独創的な新学術分野の創出に挑戦する。その基底には、常に地球社会全体に貢献する気概を持って研究に向かう姿勢が貫かれていることを心がける。
本学の全教員が、学生に対する教育者としての責任と社会に対する研究者としての責任を強く自覚し、その価値観を共有するように促す。その結果、教員がカリキュラム・ポリシーとリサーチ・ポリシーを体現し、実践する覚悟を持つ。そのために、個々の教員の特性に応じた教育・研究力の向上と評価方法を確立する。
三大教旨に共感するとともに、独創性、高い教養と学識を持つ教育者および研究者の両面を備えた教員を国内外から採用する。特に、海外からの優秀な教員を獲得・招聘するとともに、国内外から優秀な女性教員の獲得を促進する。そのために、全教職員が時間とエネルギーを惜しまずにかけることを慣習化する。
大学運営は、学部・大学院や研究所等と大学本部の有機的連携を通じて推進する必要があります。教員、職員、学生、校友や地域住民が、国籍、地域、性別、年齢等を超えた多様性の中で大学のビジョン実現のために協働し、自律的変革を可能とするサイクルを確立します。大学運営、情報公開についての方針とともに、大学運営の一翼を担う職員の採用方針やその育成方針を示します。
三大教旨に共感するとともに、多様性を認め、異文化を理解し、進取の精神を持って教育・研究活動を支える熱意と経営マインドを持った職員を国内外から採用する。必然的に国籍、教育を受けた国・地域、性別、年齢を問わず優れた能力を有する人材を採用する。
学生のニーズは多様化し高度化している。そのニーズに迅速かつ的確に対応出来るように、職員一人ひとりの教育・研究支援力、経営力、新たな価値を生み出す創造力を向上させるシステムを開発する。また、それらの能力の評価方法を確立する。
本学の教育と研究、文化資産、経営等に関する情報の積極的な公開を進めることで、社会に対する説明責任を果たすとともに、本学の教育・研究並びに社会貢献に取り組む姿勢と内容を広く社会と共有する。これらの情報の公開と発信を通して、社会に開かれ、世界に評価される大学を目指す。
本学の教育と研究が広く地球社会に貢献する人材を生み出すために、本学でなければ出来ない、または本学が行うことが相応しい教育・研究活動と学生の活動を促進していく環境を構築する。学部・大学院など様々な教育・研究組織の緊密な連携を通して本学を運営するとともに、教員・職員・学生・校友や地域住民が協働し、社会的責任やコンプライアンスを果たしながら、男女共同参画を推進し、自律的変革を可能とするサイクルを確立し、間断なく教育・研究活動を支える。