2018年3月10日(土)~12日(月)の3日間、「おもしろ科学実験教室 in 台北」を開催。のべ300人を超える小学生が参加しました。本学理工学術院と国際部が主催し、3月10日は台北市私立薇閣国民小学校、3月11日は台北近郊の小学校、3月12日は台北日本人学校の児童を対象に実施。台湾でのおもしろ科学実験教室は今年で3年目。台湾留学生や早稲田大学台北国際交流センター(台北事務所)など30人以上のスタッフ体制で、台湾の校友を含む企業・団体から協賛を受け実施しました。
日本や台湾で多く発生する地震をテーマに強い建物構造を考える
「製作振動台 了解強化抗震的結構!(ゆらゆらテーブルを作って地しんに強いこうぞうを知ろう!)」と題して、地震に強い建物構造を学ぶ実験教室を実施。小さな地震を起こす「ゆらゆらテーブル(加振器)」の上に設置した簡易的な建物モデルをパスタ(乾麺)で補強します。自ら考え、手を動かし、振動に耐えられる構造を試行錯誤の繰り返しで見つけます。うまく耐えたり、倒れたりするたび歓声が。小学校の先生からは
「パスタのような身近なものを使って実験できるのはよい」
と言っていただき、参加者からも
「家に帰ってからも、もっといろんな構造を試してみたい」
などの声をいただきました。実験教室当日だけでなく、家に帰ってからも興味を持ち続け、自分で手を動かし、考えることが効果的な学びであると考えており、今回、うまく伝えられたのではないかと感じています。また、保護者の方からも
「耐震力学を実際の実習に結びつけており、素晴らしかったです。」
「子供にとっても、生活に密着した内容で教育意義のあるものでした。」
等のメッセージをいただきました。
大学の実験実習を子ども向けに再構築 物流のしくみを体感する
商品が品切れになったり、在庫が山積みになるのはなぜか。「商業物流遊戲 目標成為名店店長・物流經理人!(ビジネスゲーム めざせ名店長・物流マネージャー!)」と題し、物流とマネジメントのしくみを体験しながら学ぶ実験教室を実施。「小売店」・「商社(二次卸)」・「倉庫(一次卸)」・「工場」の役割に分かれ、売れ行きを予測し、発注量を調整しながら適正な在庫管理を目指します。理工学術院(創造理工学部)助手の桑海侠先生を中心に大学の実験実習をベースに小学生が理解しやすいように再構築しました。参加者は自分の意思決定が他の役割に影響する難しさにプレッシャーを感じながらも、状況に応じた意思決定をしている様子が伺えました。
海外での実験教室を成功させる強固な支援体制
海外で実験教室を成功させるには、実験教室のテーマ開発だけでなく、「言語」「物品調達・費用」の2つの壁を超える必要があります。前者は早稲田大学台湾留学生会の協力で乗り越えました。今回は13人の留学生が母国での社会貢献に携わりたい、台湾の小学生に早稲田大学を知ってもらいたいとの思いで活躍。年齢の近い大学生が関わることにより、言語の壁だけでなく、子どもたちが親近感を持って楽しみながら学んでいました。後者は「企業や台湾校友のみなさまのご支援」で乗り越えました。今回、以下の各企業・団体より、ご協賛をいただきました。
- 中華民国三三企業交流会
- 三三会青年企業家委員会
- 台日商務交流協進会
- アビームコンサルティング株式会社
- 東京エレクトロン株式会社 等
このような台湾留学生の活用や現地企業・校友による協力体制の構築には、本学の国際展開を担う国際部および台北国際交流センター(台北事務所)が大きく寄与し、理工学術院と連携した強固な支援体制のもと環境を整備しました。また、台北市私立薇閣国民小学校および台北日本人学校とも連携し、より多くの小学生に対して学ぶ機会を提供することができました。
学ぶ楽しさで繋がりを深く、そして広げることを目指す
子どもの頃に見て、聞いて、触って、楽しみながら学んだ体験は科学への興味や関心、知的探究心の育成につながり、将来どの分野に進んでも共通して重要な力になります。早稲田の科学実験教室を台湾で展開し、未来を担う子どもたちに、一つでも多くの楽しい「なるほど体験」を提供することが本活動の目的のひとつです。
また、この実験教室は社会貢献活動の一環だけではなく、早稲田大学が中核となり、台湾の小学生と台湾留学生、現地の企業・小学校との交流活発化にもつなげ、長期にわたる教育研究連携強化も目指しています。今回の参加者が将来、早稲田大学の留学生となり、留学生の立場で小学生を指導する。そして、台湾・日本・世界で活躍する校友となり、校友の立場で支援していただく。このように学ぶ楽しさを次の世代に繋げ、広げていく活動に発展させていくことが、この取り組みの目指す将来像です。