11/15(金)、「第8回保険産業発展のためのアイデアコンテスト」の決勝がソウルで開催されました。コンテストは、日中韓の保険関係新聞社3社共催によるもので、今年度は、日中韓合わせて100チーム以上がエントリーし、3か国10チームが決勝に進みました。
中出ゼミは、ASEAN地域の自然災害に対する新たな補償制度の創設を提案しました。大災害に対する補償の不足を補うとともに、災害の根本原因である地球温暖化を防ぐための新たな仕組みを提案し、特別賞(韓国再保険会社社長賞)を受賞しました。
この提案は、カーボンクレジットをデジタルトークン化した取引通貨を作り、それを保険料として拠出し、各国で消化できない災害の一部を再保険として引き受けるもので、民間とアジア各国の政府が協力した災害リスクを引き受ける仕組みを創設するというものです。そのために、企業や投資家の資本も利用したファンドを作り、カーボンクレジットをデジタルトークン化して取引通貨として使い、再保険支払いの原資を集めるとともに、カーボンクレジット取引を高めていくものです。
本制度は、日本、韓国、中国が中心に運営し、現在、欧米に偏っている再保険引き受けをアジアでも引き受けられるように支援することで、ASEAN地域の自然災害リスクに対する保険の浸透を支援していくことを目指しています。通貨変動のリスクを負う保険料という金銭の代わりに、カーボンクレジットを対価として利用するために、ブロックチェーン技術を利用したデジタル通貨にして変換して使用する提案です。
本提案を行うにあたり、ゼミ生はASEAN諸国のプロテクションギャップや財政状況、再保険市場についての調査を行い、また、カーボンクレジットの導入状況や仮想通貨などを使った保険の引き受け方、リスクシェアの方法の検討を行いました。この制度は、保険の仕組みを利用して各国の自然災害リスクに対する補償を支援し、また地球温暖化を防ぐ効果も有し、更に、アジアの関係国の連帯を高めていく意義もあります。
中出ゼミでは、保険制度を通じた社会課題の解決をテーマとして保険の研究を進めています。本研究においても、保険制度には、社会課題に取り組むうえでの大きな可能性があること感じました。
中出ゼミ4年 猪島好哲
中出ゼミの学生によるプレゼンの様子