生命保険文化センターは、来年(2026年)1月に50周年を迎える公益財団法人です。生命保険制度の健全な発展のための諸事業を通じて、国民生活の安定向上、国民の利益の増進に寄与することを目的とし、「消費者啓発・情報提供活動」「学術振興事業」「調査・研究活動」を行っています。「調査研究活動」の一環である、「生命保険に関する全国実態調査」は、1965年から3年毎に実施されている大規模アンケート調査で、保険加入者の行動および意識を明らかにする貴重な資料として、広く応用されています。
同センターは、「生命保険に関する全国実態調査」を含む各種調査のローデータを用いた、生命保険及びこれに関連する分野の研究に対して、「調査データを用いた懸賞論文」の制度を設けて研究を促進しています。
今般、星野ゼミの4年生(現在は卒業)の青山拳太朗君と榎本侑一郎君の共著論文「生命保険加入の要因に関する研究」が、「調査データを用いた懸賞論文」の優秀論文として表彰されました。
本論文は、ゼミメンバー5名が2024年度春学期に実施した、生命保険営業と顧客価値の分析を、両君がさらに半年かけて発展させたものです。生保の加入理由(複数回答)中の「希望にあった生命保険だったので」の選択率が低いことへの疑問から出発し、その原因と、背景にある問題の改善策を示す目的で研究を行いました。
両君は、2021年度生命保険に関する全国実態調査のローデータを基礎データとして、加入理由間のクロス分析や保険知識の推移観察など複数の手法を組み合わせ、(1)加入理由のアンケートで、「希望にあった生命保険だったので」を選ばない約6割の人は、保険商品ではなく、保険契約の関係者に価値を感じている、(2)顧客は加入した生命保険が自分に合っているか判断できていない、との二つの結論に到達しました。さらに、顧客が保険を知ろうとする土壌づくりの必要性から、小学・中学・高校における保険教育の充実を提言しています。
学部学生の研究として優れた水準にあると評価され、優秀論文の表彰に至りました。表彰式は、受賞者が勤務先配属で東京を離れたためオンライン実施とし、 5月7日(水)に行われました。
(参考)生命保険文化センター「大学研究者・大学院生・学部生による調査ローデータの学術的利用」
https://www.jili.or.jp/workshop/rawdata/index.html