2025年度第2回GMPフォーラム
日時:5月20日 (火) 15:05~18:30
場所:15号館201教室
第2回フォーラムでは、GMP生がゼミを横断して16のチームを編成し、ケースコンペティションを実施しました。今回のSessionの課題は、「新興国市場への進出を検討する企業のリスクマネジメント担当チームとして、戦略的提案を行うこと」でした。
事前課題(Scenario 1)では、各チームが自らの業界セクター(例:IT、自動車、インフラ、消費財、金融など)を選定し、さらに新興国の中から2カ国以上を選び、それぞれの市場における優位性やリスク要因を多角的に分析することが求められました。各チームは、選定した国の政治的・経済的リスクや自然災害リスクに加え、過去の成功・失敗事例にも着目しながら、業界に適した参入戦略を検討し、動画形式で共同プレゼンテーションを提出しました。
Sessionを担当した任素英先生による選考の結果、提出された動画の中から4チームが選出され、フォーラム当日に発表するチームが1週間前に決定されました。選出されたチームは、Scenario 1の分析内容をもとに、すでに提示されていたScenario 2の課題と統合させる形で、最終的な提案を構築していきました。
プレゼンテーションの様子
Scenario 2では、あらかじめ提供されていた国別リスク分析や過去事例を活用し、新興国進出に際して企業がとるべきリスクマネジメント戦略(リスクコントロールおよびリスクファイナンス)を策定することが求められました。各チームは、Scenario1,2の内容を踏まえ、より総合的で実践的な戦略提案としてプレゼンテーションを仕上げ、フォーラム当日に発表を行いました。短時間で論点を整理し、具体的な戦略に落とし込む難しさはありましたが、どのチームも集中力とチーム力を発揮し、実践的かつ多様な視点を取り入れた提案を行いました。
発表後にはQ&Aセッションが行われ、発表を行った4チーム以外のメンバーが中心となって、鋭い質問を投げかけました。各発表チームは限られた時間の中で、自分たちの戦略の根拠や想定外のリスクへの対応策などについて即興で回答する必要があり、質疑応答の場面でも高い思考力と柔軟性が求められました。
Sessionの締めくくりには、任先生による講評と全体へのフィードバックが行われ、今後に向けた学びのポイントが共有されました。最後には、「最優秀発表賞」「優秀発表賞」「最優秀質問賞」の三賞が発表され、会場は大きな拍手に包まれました。フォーラム全体を通じて、単なるプレゼンテーションにとどまらず、「不確実性のある環境下でどう戦略を構築するか」という実務的かつ本質的な問いに向き合う貴重な経験となりました。
最優秀発表賞を受賞したチーム:任先生を囲んで
▶優秀発表賞を受賞したチームメンバーのコメント
私たちのチームは今回、「新興国への住宅開発企業の進出戦略」をテーマに、インドネシアとコロンビアを比較し、それぞれの国のリスクと市場性を分析したうえで、最終的にインドネシアへの具体的な提案を行いました。国内の住宅市場が縮小する中、海外展開は避けられない選択肢となっており、各国のマクロ環境を見極める必要があります。
両国の比較では、コロンビアは豊富な資源と人口を背景に成長余地がある一方、左派政権による政策の不透明さや経済の一次産品依存、インフォーマル労働の多さなど、複合的なリスクが目立ちました。対してインドネシアは、政治の安定性や中間層の拡大、都市開発の進行といった観点でより実行可能性が高いと判断しました。
私たちは、インドネシアの都市部に暮らす中間層をターゲットに、中層階マンションと生活利便施設を融合させた複合住宅を提案しました。現地不動産会社とのパートナーシップを軸とし、段階的な開発や販売・賃貸のハイブリッドモデルを通じて、需要の多様性やリスクに柔軟に対応することを目指しました。
プレゼンでは、成功事例として三菱地所による東ジャカルタのアウトレットモール開発を取り上げ、現地連携によるリスク分散や、日本企業ならではの高品質への信頼が、海外進出の成功要因となることを示しました。今回の経験を通じて、マクロな視野と現地適応の両立こそが、海外戦略の鍵であることを実感しました。
優秀賞チームのプレゼンテーションの様子
今回の発表に向けて、計5回のオンライン会議を行いました。各回はおよそ1時間で、先輩方を中心に議論を進めながら、発表内容や資料の構成を一つずつ固めていきました。毎回のミーティングでは、次回までのタスクを決めてそれぞれがきちんと取り組んだことで、議論が無駄なく進んだと感じていました。
発表前日には、質疑応答を見越し、それぞれのパートの確認や準備を行いました。私は自分の担当パートを細部まで突き詰めた結果、かなり夜遅くまで作業することになってしまいましたが、その分、本番には自信を持って臨むことができました。
当日も、全員が落ち着いて自分の役割を果たせていたと思います。進行が少し押し気味でしたが、リーダーがうまく調整してくれたおかげで、発表全体は予定通りに終えることができました。質疑応答では、鋭い質問がいくつかありましたが、リーダーが一つひとつ丁寧に答えてくださり、とても頼もしく感じました。
その姿を見て、次回は自分も質問にしっかりと答えられるようになりたい、もっとオーナーシップを持って関わっていきたいと強く感じました。この経験を通じて、ケーススタディの進め方や、チームで一つの目標に向かって協力することの大切さを学ぶことができました。こうした機会をいただけたことに感謝しています。
(GMP学生3年 青砥健司)