SPECIAL INTERVIEW 品田正弘さん

品田正弘さん

MASAHIRO SHINADA

D Xの動力源は、人間を好きになる力

創業より100年以上の歴史を持ち、家電をはじめ優れた技術力で人々の暮らしを支えてきたパナソニック株式会社。2022年4月、社長に就任したのは、早稲田大学商学部出身の品田正弘さんだ。世界を取り巻く状況が大きく変化する中で、どのように同社を牽引するのだろうか。

「『人・社会・地球を健やかに』をミッションに掲げる当社にとって、環境と事業を両立させる“サステナビリティ”と、一人一人の暮らしに寄り添い“ウェルビーイング”に貢献することは不可欠です。理想とする世界を実現する上で、最も有力視すべき手段の一つが、“DX( デジタルトランスフォーメーション)”だと考えています」

同社が提供する家電は、すでに多くの製品がインターネットに接続している。これをより高度なテクノロジーにアクセスさせることで、さまざまなことが可能になるというのだ。
「例えばAIが製品の稼働状況をモニタリングすることで、故障の予知診断をすることが可能です。適切なタイミングでのメンテナンスを行えば製品寿命を長期化でき、結果として資源廃棄を削減できます。デジタル技術はこのように、社会課題へのソリューションとして力を発揮するのです」

高齢化、労働力不足、自然災害など、まずは日本が抱える課題にアプローチすることで、世界に貢献するイノベーションが育まれる。それが品田さんの考えだ。
「災害対策においては分散型のエネルギー供給が注目されていますが、当社は純水素型燃料電池、太陽光発電、蓄電池をデジタル技術で制御し、再生可能エネルギーを使い最適効率で工場を稼働させる実証実験を始めました。順調に進めば、いずれ国際的な脱炭素社会の実現に貢献できるでしょう」

先進的な技術開発を実現させるには、パートナーシップも必要になる。教育・研究機関として、大学が果たす役割も大きい。
「日本の製造業は長い歴史の中でものづくりを成熟させました。ここにデジタルテクノロジーを掛け合わせることで、新時代のイノベーションを創出できるはずです。先端領域を追究する研究者、次世代を担う学生には、果敢にチャレンジしていただきたいですね」

世界的な潮流といえるDXだが、「こうした時代だからこそ、人間を好きになってほしい」と、品田さんは胸中を明かしてくれた。
「人と人が交流し、相手のことを深く理解するとき、初めて“知と知の融合”が起こります。するとアイデアが生まれ、技術革新が起こり、最終的には再び人の役に立つ。だから、どんなにDXが進んでも、コミュニケーションは絶やさないでほしい。大学という空間の魅力は、そこに隠されているのではないでしょうか」

PROFILE

1965年千葉県生まれ。1988年早稲田大学商学部卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)に入社。テレビ事業部長、アプライアンス社社長などを経て、2022年にパナソニック株式会社代表取締役社長執行役員に就任。

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