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第18回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」贈呈式 受賞者挨拶 ―布施祐仁氏

※第18回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」贈呈式 式辞・講評 はこちら

【草の根民主主義部門 大賞】
『日報隠蔽』南スーダンで自衛隊は何を見たのか  (集英社)

布施祐仁氏の挨拶

この度は、このような賞をいただきまして非常に光栄に思っております。

今回、自衛隊の日報問題の取材にあたって、新しいジャーナリズムの可能性というものを感じました。それはインターネットのSNSを生かしたジャーナリズムです。

日報問題は、私の行った情報公開請求が最初のきっかけになったわけですが、実は10年くらい前から自衛隊の海外派遣の真実がきちんと国民に伝えられていないと感じ、情報公開請求をこつこつと続けてきたことが生きたものです。防衛省から戦闘発生時の日報を廃棄したという通知が届いた時、真っ先にツイッターで発信しました。これを読んだ東京新聞と神奈川新聞の記者からすぐ連絡があり、一面で大きく取り上げてくれました。同時に、私のツイートは自民党の行革推進本部長だった河野太郎議員の目にも留まり、河野議員はすぐに防衛省を呼びつけ再探索を要求しました。このようにSNSを通じてこの問題が大きく動き出しました。

日報はやはり存在していました。公表された日報には、政府が再三否定してきた「戦闘」という言葉が頻繁に使われていました。しかし政府は、「これは法的な意味での戦闘ではない」と言って、逃げ切ろうとしました。その時、この本を一緒に作った朝日新聞の三浦さんが南スーダンの現地から生々しい戦闘・内戦の模様をリアルタイムでツイッターで発信をして、いかに国会で政府が説明していることが偽りなのかということを非常に説得力のある形で明らかにしていきました。

SNSの利点は、瞬時に多くの人たちと情報を共有できることです。いつもなら、ある程度のスパンで取材をして本を書いたりしていますが、今回はあえてため込まずに、手持ちの情報は使えると思ったらすぐにSNSで発信しました。情報はただ情報であっては意味がなく、情報が効果的に生かされてこそ意味を持つからです。日々政治が動く中で、一人でやれることには限界がある。だから、情報を囲い込むのではなく、積極的に公開して、それを多くの人たちに生かしてもらおうと考えたのです。

すると、大手メディアがそれを取り上げてくれたり、あるいは、朝ツイッターでつぶやいたことが数時間後には国会での質問に生かされたり、あるいは、ツイートを読んで「これはおかしいじゃないか」と思った市民が国会前で声を上げたりということもありました。さらに、自衛隊の関係者からも「布施さんとは安全保障に関する考え方は180度違うけれども、隠ぺいは組織をダメにする」と言って様々な形で情報を提供くださる方々もいました。政府は隠ぺいを隠ぺいしようとしたわけですが、そういった企みを許さずに最終的に防衛大臣が引責するところまでいくことができたのは、SNSを通じた情報共有と無数の連携プレーがあったからだと思っています。三浦さんと私が垣根を越えてこの本をつくったのも、それを象徴しています。

そもそも日報問題は、自衛隊が派遣される紛争地の危険な状況を隠さないと成り立たないような派遣を25年間続けてきた政治にこそ責任があります。その根本が変わらない限り同じことがまた起こり得るし、自衛隊海外派遣の真実を明らかにするという私の仕事もまだ道半ばです。今回の授賞を励みに、引き続き頑張っていければと思っています。

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