第24回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」贈呈式 受賞者挨拶 ― 塚崎 昇平 氏

【草の根民主主義部門 奨励賞】
QAB報道特別番組「誰のために島を守る ~自衛隊配備 その先に~」

琉球朝日放送

塚崎 昇平 氏の挨拶

このたびは身に余る賞で大変恐縮しております。まず今回の作品の制作に打ち込めたのも、直接的に離島の取材に行っていただいた方も含めて、自衛隊配備の関連の取材に協力していただいたということもさることながら、番組を作っている間のフォローというところも含めて、協力していただいた弊社の報道制作部のメンバーの皆さんにまずお礼を申し上げたいと思います。加えて、私は前職が琉球新報社という地元の新聞社で記者をしていたんですけれども、そちらで記者としての基礎を形成してくれた前職の先輩方や、元同僚にも感謝を申し上げたいと思います。

やはり沖縄と申しますとアメリカ軍基地の問題がイメージとしてあると思います。先般はアメリカ兵の性暴力事件の問題等で全国的にも報道されたところは記憶に新しいですが、ただ弊社に限らず沖縄のメディアは、例えば今回取り上げた宮古島や石垣島、そして与那国島といった、先島地域で進む自衛隊配備にはなかなか目を向けてこなかった現実があると思います。原因はひとえに距離感だったかなと思っています。例えば日本本土に置き換えますと、那覇を東京都の位置に置くと、今回取り上げた日本最西端の島の与那国島は岡山県の位置にある。500キロ離れているんですけど、こうした物理的な距離が、心理的な距離に置き換わって、やはりどこか他人ごととして捉えていたんじゃないかなというところが、我々メディアの反省点としてありました。

そういった反省点もありまして、この夕方ニュースの中で、いわゆる自衛隊の配備「南西シフト」について取り上げる企画の特集を始め、今回の作品はそれをまとめたものとして出させていただきました。日本国内で最近台湾有事についても議論されているんですけれども、南西諸島はその最先端で防衛力強化が進んでいるということで、その拠点に位置づけられています。一見すると最もらしい議論ではあるんですけれども、その島に人々が住んでいるということが、沖縄から全国の議論を見ていく中で、どうしても抜け落ちてるんじゃないかなというところは感じておりました。

政府は南西諸島の島々を、中国に対する防衛力の強化の拠点としか見ていないのかもしれませんけれども、そこには人々が住んで、いろいろな営みを行っています。今回番組で取り上げました与那国島の自立へのビジョン、自立に向けた取り組みであるとか、石垣島での住民投票に若い人たちが取り組んでいるといったこと。そうした視点。ここには人が住んでいて、この防衛力強化をどう見ているかというところを知って欲しくて、今回番組を作らせていただきました。その点で今回、草の根民主主義部門ということで、賞をいただけたことには、選考委員の皆さんにもまた我々の取材、番組をまとめる意図というのがきちんと伝わっていたのではないかなと喜んでおります。

今後も南西諸島で進む軍事化の動きについて取材を続けて、この沖縄の島々に住む住民の視点で伝えていきたいなと考えております。最後になりましたが、この取材に協力していただいた与那国島の関係者、各地の皆様に感謝を申し上げて私の挨拶とさせていただければと思います。このたびはありがとうございました

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