三浦大輔と学生とのDialogue「演劇の力」 早稲田小劇場どらま館開館記念

早稲田小劇場どらま館開館記念
演劇の力 ~三浦大輔と学生とのDialogue~

11月13日に早稲田小劇場どらま館開館記念「演劇の力 ~三浦大輔と学生とのDialogue~」が小野記念講堂にて開催され、脚本家・演出家・映画監督の三浦大輔氏(1999年・第二文学部卒)が学生らに向け講演を行いました。

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──早稲田に入った理由は何ですか

「当時テレビドラマの全盛期で、野島伸司さんの作品などを好んで観ていました。早稲田に入ったらマスコミへの近道だと思い受験しました。最初は演劇をやろうと思ったのではなく、テレビ局や制作会社に興味をもっていました。」

──演劇との出会いについて

「入学して1年、ぶらぶらとして月日が流れてしまって、これではいかんと思っていました。そんな時に早稲田にはそこら中に演劇の稽古をしている学生がいるのを見て、ストイックでかっこいいなと思ったんですよね。演劇をやってみたかったというよりは、早稲田の雰囲気につられて、演劇を始めてみたというのがきっかけです。」

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──劇団ポツドールの立ち上げに関して

「役者が向いていないと気づき、(もともとドラマを作るのに憧れていたので)ちょっと裏方に回ろうかなと思って脚本を書いてみたんですよね。演劇倶楽部の企画公演で1回やってみて評判が良くて、周りの信頼など得て旗揚げとなりました。ポツドールの第一回公演は、1996年にどらま館(※当時の名称は早稲田銅鑼魔館)で行った『ブサイク~劣等感を抱きしめて~』というものでした。人の嫌なところをほじくる作風は、元々僕が興味を持っていたもので、開始当初から固まっていました。学生劇団の貧乏臭さなどに抵抗があり、セットだけでもちゃんとしたものを作ろうと思っていました。自分で稼いだアルバイト代も製作費にあてたりしながら、かなり凝った舞台美術の公演を行っていました。」

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──最後に学生に向けて

「この間早稲田祭に行ってきて、自分もどらま館で演劇をやっていたなと懐古的になりました。その時に、何万人といる学生の中で、自分は何者かを見出すのは改めて大変なことだと感じました。僕も何者であるか分からずに孤独感に苛まれ、辛かったこともありました。大学の中にも色々な人がいて、お洒落で目立つ人もいれば地味な人もいます。でも僕は演劇をやりはじめて最初は相手にされなかったのが、こうして今講演を行う立場になりました。皆さんの気持ちは分かるし、踏ん張ることはしんどいと思いますが、負けずに頑張っていってほしいと思います。」

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演劇倶楽部の学生(左・右から二番目)、三浦大輔氏、司会の大前研二氏(早稲田小劇場どらま館企画責任者)

学生からの「人間の欲望やリアリティーをステージの上で表現されていると思いますが、そうした内容により観客とどのような関係性を築こうとしているのですか」など活発な質問が絶えることなく、「ドキュメンタリーは絶対に客いじりはしないようにしています。動物園の動物を見ているような感覚で、安全な場所で悠々と見てもらうのが理想と思っています。小さなのぞき穴の中から、覗き見しているような感覚に陥ってもらうことが、お客さんを惹きつけるポイントになると思っています」、「何を演劇に求めるかということだと思うが、自分がこれと思ったものを突き詰めることが重要で、舞台上で演技すること自体の嘘臭さを、どう表現に結びつけていくか、そして役者の表現力を引き出していくかに多くの試行錯誤を重ね、時には信頼関係に関わる失敗もあり、一番苦労してきたこと」と回答しました。演劇界で活躍する三浦氏との「対話」には多くの質問が飛び交い、学生にとっても刺激的な講演となったようです。

三浦大輔氏プロフィール

1975年、北海道出身。第二文学部卒。脚本家・演出家・映画監督、演劇ユニット「ポツドール」主宰。
1996年、早稲田大学演劇倶楽部10期生を中心に演劇ユニット「ポツドール」を結成。以降、全本公演の脚本・演出を務める。2006年『愛の渦』で第50回岸田國士戯曲賞を受賞。「早稲田芸術文化プラザどらま館(現、早稲田小劇場どらま館)」にて上演実績のある本学出身団体からの初の受賞となった。2014年、同作品が映画化。ほか映画監督作に「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(10/脚本)など、演劇以外にも活躍の場を拡げている。

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