ものづくり・資源、環境・エネルギー、健康・医療などの技術分野における、知識および技術の膨大化は、専門分化と全体システムの複雑化を招き、応用研究においてすら科学技術と社会の距離が広がってしまっている。したがって、われわれ研究者は急激に進化する社会の現状を正しく把握し、その外挿でトレンドをフォアキャストするとともに、社会の持続性を担保する境界条件を明確化し、それを満たすビジョンを構築すること、さらにはビジョンからのバックキャストでシステムと技術を構想・設計・評価・開発し、経済価値にも繋げる、総合的な研究開発が必要となる。すなわち単なる個別技術の実用化ではなく、新たな社会システムの実現に繋げる「社会実装学」の学理の構築と、個々の技術での実践が強く望まれる。
本研究所では、本学化学系のこれまでの「実践的化学知」に関する研究活動を新たに「物質変換化学」、「エネルギー変換化学」、「機能創成化学」、「先端計測化学」の4分野に統合し、社会要請に応えるべく「先端化学知」の継続的創成をはかる。これら「先端化学知」を結集し、社会実装を意識しながら目的に応じて自在に組み合わせる仕組みを新たに構築する。従来のシーズベースの技術統合による実用化への試みに加え、従来型の個別の産学連携活動を超え、化学関連産業とコンソーシアムの形成など産学協働の場を創出する。さらに、社会ビジョンからのバックキャストに基づくシステム設計、既存シーズ探索と現有シーズとの統合、ボトルネックの可視化と新規シーズ開拓にも取り組むことで、「社会実装の学理の構築」と「先端化学知の価値化」を推進することを目的とする。
2023年2月27日(月) 14:00~17:20
西早稲田キャンパス61号館210教室
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