教育学部の特色からしても、教育学科は教育学部における基軸的学科として位置付けられます。すなわち、どの学科も教育学科との学問的提携を前提としてこそ、それぞれの学科の使命を教育学部ならではの専門性をもって達成することができます。大学院教育学研究科はその構造をよく示しています。教育学科は、この連環の輪を重視しつつ、新しい時代の課題の中で、さまざまな視点とアプローチから教育を分析し、健全な社会と人間の育成、そしてそのための教育システムや政策、方法を専門的に学んでいける学科です。
教育学科は、教育学専攻と初等教育学専攻の2つの専攻から成ります。また、教育学専攻は、教育学専修、生涯教育学専修、教育心理学専修の3つのセクションから構成されています。以下に、各専修および初等教育学専攻の特色を示します。
なお、成績優秀で大学院への進学を希望する者は、教育学研究科への推薦入学を認められます。
大学で教育学を学ぶことは、必ずしも教職に就くことと直結するものではありません。教育は、政治や経済と同様、現代における万人共通の社会的・国際的課題であり、理論的のみならず実践的な考察を必要とします。教育学的考察とは、一個人として経験した主観的領域を越えて、多角的かつ客観的な視点から、人間形成のあり方を社会・文化・歴史など、学際的連関性のなかで検討することです。
教育学専修では、教育学の必修科目に加えて、多彩な選択科目を履修して専門性を高める一方、教育の専門的考察に着手するための導入科目を1年次と2年次に受講します。そして3・4年次には専門領域ごとの「演習」に分かれ、自分の関心に基づくテーマを指導教員の助言のもとに研究し、卒業論文として大成させます。
卒業後の進路は、多彩な方面に開かれています。教育学の研究者をめざす大学院進学、大学や学校の教員・職員、国家・地方公務員(教育行政や社会福祉等)など、教育学ならではの進路に加え、新聞・出版社、金融・保険、IT関連、メーカー等の企業にも広範囲に進出しています。また、中学校「社会」、高校「地理歴史」「公民」、特別支援学校の教員免許や図書館司書、博物館学芸員の資格も取得でき、学校や美術館などに就職している卒業生もいます。
教育は、成人に達するまでの限定された期間に受けるものではなくなりました。労働に従事する成人期にあっても、新たな知識を獲得し能力を向上させることの重要性は高まりつつあります。わたしたちは、人生において教育と労働とをどのように配分するかを、自ら選択し決定することが求められるようになったのです。したがって、こうした状況で行われる教育は、与えられるものというよりは自ら主体的に学習するという性格が強くなります。
生涯学習社会といわれる現代社会について、本専修は、子ども・若者・成人・女性・高齢者の教育、教育福祉、社会教育の施設・職員、学校開放、視聴覚メディア、家庭教育、多文化教育、社会的弱者に対する学習権保障等など、現実の社会の具体的場面について学びつつ、それらを総合して理論的な考察を深め、理論と実践との往還のなかで思考力を高める教育を行うことを目的としています。生涯教育学が、こうした広がりをもつ領域であることに鑑み、本専修は多様な専門科目を開設しており、各人の興味関心に即した領域を深く、そしてグローバルな視点から学習できるように配慮しています。
卒業後の進路も、多様です。大学院進学、各種社会教育施設・児童館等の職員、学校教員・職員、国家・地方公務員、家庭裁判所調査官、企業内教育担当者、NPO/NGO職員、地域コーディネーターといった生涯教育学と関連の深い領域のみならず、さまざまな民間企業においても活躍しています。また、中学校「社会」、高校「地理歴史」「公民」、特別支援学校の教員免許、社会教育主事、社会教育士、図書館司書、博物館学芸員の資格も取得することができます。
詳しくは生涯教育学専修HPへどうぞ。
まず心理学を全分野にわたってしっかり学び、基礎的な知識と技法を習得します。そして、心理学の扱う対象がいかに広いかを理解した上で、心理学の専門職(研究者、公認心理師、公務員心理職、等)を目指すか、教職(特別支援教育を含む)を目指すか、ビジネスの世界を目指すかを決めることになるでしょう。
専門職を目指す場合は低学年より早めに「プロになる」決断をし、必要な知識・技術を獲得するための組織的な学習を行うのが必須です。最終的に試験を受験する必要がありますので、そのことを念頭に置いて学生生活を送ってください。同様に、教職を目指す場合も早めに決断し、教員採用試験に合格する実力をつける必要があります。そういった意味でなによりも「計画性」が重要です。また、公認心理師の受験資格を得るためには、学部において法で定められた25科目を修得した上で大学院に進学するのが基本となります。公認心理師等の資格を本専修(及び大学院)で取得する場合、教育(含む特別支援教育)や医療に強みのある心理臨床家として成長するものと期待されます。なお、免許に必要な科目を履修すれば、高等学校の地理歴史・公民、中学校の社会の教員免許状、特別支援学校教員免許状ならびに社会教育主事となる資格を取得することができます。
初等教育学専攻は小学校教員の養成を主たる目的とする専攻です。学校教育の出発点となる小学校は、人間の成長にとってきわめて重要な位置にあります。今日、教育をめぐる様々な課題が指摘される中、優秀な小学校教員を養成して教育界に送り出すことは、早稲田大学の重要な使命です。本専攻では、子どもたちの発達段階や個性を深く理解して魅力ある授業を展開し、豊かな人間性や確かな学力を形成することのできる教員の育成をめざします。このため、子どもの心身・教科指導に関する専門的知識・技能を習得するための科目、さらには学校での教育実習やインターンシップなど、臨床的な能力を高める科目を学習していきます。また、教育学専攻各専修の科目を選択履修することにより、教育についての学術的研究能力を高めること、あるいは他学科開講の科目を履修し、教科指導の専門性を高めることができます。
卒業後は、主として小学校教員として活躍することが期待されますが、大学院の教育学研究科に進学して専門性をさらに高めることもできます。