第19回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」贈呈式 受賞者挨拶 ―佐々木 実氏

※第19回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」贈呈式 式辞・講評 はこちら

【文化貢献部門 大賞】
『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』

佐々木実氏の挨拶

※当日は、佐々木実氏はご病気のため欠席されました。奥様 の佐々木尚子氏、講談社編集者の青木肇氏よりご挨拶をいただきました。

佐々木尚子 (佐々木様御夫人)氏の挨拶

本日は、石橋湛山先生の名前を冠した素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。本人に代わりましてお礼申し上げます。

経済学者、宇沢弘文先生の評伝を書くという企画は宇沢先生がお元気なときに生まれました。宇沢先生に本格的なインタビューができると、佐々木も張り切っておりました。ですが、残念なことに、先生は東日本大震災直後にお倒れになり、2014年にお亡くなりになりました。その後、佐々木を支えてくださったのは、宇沢先生の奥様、浩子さんです。私にも、「佐々木実さんは稀有な才能をお持ちなのですよ。あなたが支えていくのですよ」とおっしゃいました。おそらく、完成していない評伝を心配されていたのでしょう。宇沢先生を支えていらしたご自身のことをおっしゃっているのだと思いました。

昨年の今頃だったと思います。初校のゲラを浩子さんにお届けしたとき、「ありがとうございました」とおっしゃって、浩子さんが深々とお辞儀されたそうです。640ページもあるゲラを、浩子さんがたった一週間で丁寧に読み終えたことに、佐々木はたいへん驚いておりました。その浩子さんは、今年の10月19日、宇沢弘文先生のもとへ旅立たれました。この受賞の知らせを受ける11日前のことでした。宇沢先生も、浩子さんも、今回の受賞を喜んでおられることと思います。

いま私が思うことは、この本は、決して佐々木だけの成果ではない、ということです。ご協力いただいたすべてのみなさまに感謝申しあげます。

青木肇 (講談社)氏の挨拶

編集者は黒子のようなもので、本来ならばご挨拶させていただく立場ではありませんが、著者である佐々木実さんがご闘病中のため、代行させていただきます。

佐々木さんからは二点、言付かって参りました。
一点目は、石橋湛山氏と宇沢弘文先生とのご関係についてです。もともと本書は、宇沢先生が主宰される研究会に佐々木さんが参加されたことが契機となって生まれたものなのですが、当初は先生から「君、石橋湛山について調べてみないか」と勧められたことがあったそうです。大正デモクラシーの時代に自由主義者として健筆をふるい続けた湛山氏のことを、宇沢先生はたいへん尊敬しておられました。それだけに、湛山氏の名を冠した賞の受賞は宇沢先生も心から喜んでくださると思う、是非それを会場の皆様に伝えてほしいと佐々木さんから言い渡された次第です。

二点目は、これは具体的なお話から入ったほうがよいかと思いますが、実は、本作は最初320ページほどの本になる予定でした。ところが、本の方向性をめぐって佐々木さんといろいろお話しているうちに、すっかり盛り上がってしまって、「宇沢弘文の評伝としてはもちろん、20世紀の経済学史としてもわかりやすい、壮大な物語にしたい」ということになりました。佐々木さんもたいへん熱い方で、「それはいい。でも、そうすると本は倍の厚さになりますよ」と仰られて、さんざん迷った末に、私は「では、そうしましょうか」と、思わず言ってしまったんです。ご承知のとおり、昨今は出版ジャーナリズムもたいへんに厳しい状態が続いておりますけれども、それでもジャーナリズムの土性骨を示すと申しますか、今回の受賞を励みとして、佐々木さんのような書き手をこれからも応援しつづけることができたらと思っております。本日はありがとうございました。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/top/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる