第19回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」贈呈式 受賞者挨拶 ―滝本 匠氏

※第19回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」贈呈式 式辞・講評 はこちら

【公共奉仕部門 奨励賞】
県知事選などを巡るファクトチェック報道とフェイク発信源を追う一連の企画 (琉球新報)

取材班代表 滝本匠(琉球新報社)氏の挨拶

ご紹介いただきました、琉球新報の滝本と申します。本日はこのような栄誉ある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。丁度1年前、第18回のジャーナリズム大賞で、弊社の記者である島袋良太が大賞を頂戴いたしました。その時、私は逆に皆様がいらっしゃるところにおりまして、まさに取材をしてカメラで写真を撮って、記事を書いて送ったことを覚えておりますが、その私がこちらの檀上に上がらせて頂くということは夢にも思っておりませんでした。

私は代表ということでこちらに立たせて頂いておりますが、取材班ということで、去年の沖縄県知事選のときには、知事選取材班という選挙取材をするチームでファクトチェックを併せて行っておりました。知事選が終わった後もそのファクトチェックを続けているわけですが、本日、私と同じような立場で、その後の取材をしてくれている池田哲平記者、安富智希記者、宮城久緒記者 が中心になってこの取材班をまわしておりました。その中での奨励賞ということで、まさにますます「しっかりとやらんかい」ということをご指摘いただいているような賞だと思っております。

今年に入ってからか、というように実感しておりますが、各紙、他の新聞社のほうでも「ファクトチェック」というワッペンといいますか、記事の中にそのようなフレーズで、いろいろな記事を出されるような形がありました。丁度参院選のときも、別の新聞社が安倍首相の発言をファクトチェックというような形で続けて出しておられたり、放送でもそのような動きがありました。

いろいろな形でまさにそのファクトチェックのワッペンが、他のメディアにも広がってきているのではないのかなという意味で、「ファクトチェック元年」などというような形になったらいいなと今年の初めのころ思っていましたが、この年末になって、じわじわと来ているのだなと実感をもっております。流行語大賞に入るのではないかと実は密かに期待をしていましたが、それは特にノミネートもされませんでしたので、そういう意味でまだまだやるべきことはあるなということで、ますます励んでいきたいなと思っています。

大きくファクトチェックというのは、今も継続して政治家の発言、それこそ安倍首相の発言や菅官房長官の発言だったりということも、沖縄のことで、辺野古新基地の埋め立てに関するようなこと、あるいは普天間の飛行場を返還することについての日米合意、そういうようなことについての政治家の発言の、なにかこうある方向へ持って行きたいようなイメージで、実はファクトをちょっと変えて伝えているのではないかと感じていることがあり、そういうようなところをファクトチェックしています。一番最初、ファクトチェックというのは知事選で始めたのですけれども、選挙でそういう選挙期間中に従来の選挙報道の中ではなかなかやってこなかったというか、新たな試みとしてやらせていただいたというところをご評価いただいたのだと思います。

その後、参議院選も含め、いろいろ広がりというところで続けておりますが、そもそも、公文書クライシス様のほうでもありましたように、我々としても民主主義、つまり有権者が投票する際になにかすり替えられた、あるいは、誤った、ファクトではない、フェイクニュースでそれを信じて誤って投票しまっていないのか、そのようなことが起きてしまっては本来民主主義としての一票が有効に機能しないのではないかと、そういうことがあってはならないよな、と選挙期間中にそういう報道をしたというところで、始めたところでもありました。また、やはりその意味ではファクトチェックとしても、民主主義を支える方法の在り方の一つ、あるいは昨今、なかなか信頼感が失われつつあるメディアへの現在の状況の中で、これまで普通に真摯にやってきた、この事実を積み重ねて記事を書いていくという、我々としては当たり前のことですし、やってきているつもりはあるのですが、ある意味手の内というか、こういう風にチェックしてこういう風に書いているんですよという部分を開示することで、読者のあるいはネット空間での信頼感獲得につながっていければと考えております。

今回の受賞作では、ファクトチェックイニシアティブ様とも連携させていただいておりますが、ファクトチェックイニシアティブ様のデマをキャッチする、AIを使ったシステムというようなところもあったりして、より幅広くみなさまが使えるような形で広がっていき、多くの目でファクトチェックできればいいなというように、来年も新しい年になっていければいいなというように思っております。この賞をいただきながら、ますます取り組んで参りたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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