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第19回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」贈呈式 受賞者挨拶 ―鳥山 穣氏 ・ 神戸 金史氏

※第19回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」贈呈式 式辞・講評 はこちら

【文化貢献部門 奨励賞】
報道ドキュメンタリー「SCRATCH 差別と平成」  鳥山穣氏、神戸金史氏
(TBSラジオ、RKB毎日放送)

鳥山穣(TBSラジオ)氏の挨拶

TBSラジオの鳥山です。まずはじめに、この事件で傷を負ったすべての方にお見舞いとお悔やみを申し上げます。この番組では障がい者殺傷事件の被告との面会シーンを柱にして、音声による表現で現代の差別意識に迫りました。番組を作っている中で、自分でも気づいていなかった音声メディアの持つ確かな力を実感したと言えます。

今回、賞に選んでいただいたとき、選考委員の武田徹さんが「ラジオは個々のリスナーの心の深層に言葉を届けるメディアとなった。本作を聴取したリスナーは、視覚情報に惑わされることなく、静かに考え始めるだろう。この内省の促しこそ複雑な構造をなす差別の問題と向き合う際に必要とされるものだ」という大変光栄な講評をいただきました。

今は2019年、もうすぐ2020年になりますが、エジソンの蓄音機が1877年、日本初のラジオ放送NHKが1925年。随分、時間が経っています。音声メディアは相対的に過去のもの、力のないものと捉えられることもありますが、部数が減ったニューヨークタイムズを躍進させたのは、音声によるポッドキャスト番組だったことは皆様ご存じの通りです。今を生きる人、これからやってくる人たちに向けて、今後とも充実した番組を作れるよう、精進いたします。

神戸金史(RKB毎日放送)氏の挨拶

RKB毎日放送の神戸と申します。今回、取材・台本を担当し、鳥山君が編集を担当してくれ、二人で合作して作りました。お互い、一人ではこの番組は作れなかったという意味で、本当に共作でできたという風に思っています。

私は障がい児の父親でありまして、植松聖という殺傷事件を起こした男に対して、記者として面会を求める手紙を書きました。もちろん、私の子供が障がいがあることも明らかにしています。植松被告は私に対して「会う」と返事をくれましたが、その中には、「あなたはいつまでを子供を生かしておくのですか?」と書いてありました。

この文章を見ながら、この男に会って何か意味があるのかと思い、躊躇し、返事を書けず、十日ほど経ってから「会う」という返事を私の方から出しました。「その日に行く」と。それは、父親である立場でありますが、記者でもあり、私が面会を望んだことであったわけですから、ここから逃げるわけにはいかない、覚悟を決めるまでに要した時間です。

そして、実際に会ってみたら、極めて平凡な、ひ弱な、浅はかな青年でした。そのことに私は呆然とし、特殊な人間が起こした特殊な事件ではない、むしろ、我々の身近にいる人間がひょいと起こした事件ではないか、と思うようになり、今回の番組を制作するに至りました。面会は鳥山君と一緒に行きました。彼が一生懸命メモ役をしてくれまして、その起こしたものを、私は私、植松役は実際に聞いた鳥山君が再現しています。ですから、極めて、迫真性の高い、リアリティのあるものになったと思います。そして、この時代に生きる私たちが今後どんな時代を子供たちに引き継いでいくのか。やはり「差別のない社会を目指したい」と私は思いました。

私は、人と人の間に勝手に線を引いて、その向こうの人たちの尊厳や存在を許さないという行為が、このところ増えていることを、ヘイトスピーチも含めて感じていました。鳥山君と相談したところ、ガリガリと地面に線を引くことを英語で「scratch」と言うので、タイトルに「SCRATCH」はいかがですか?」と提案をされ、素晴らしいと思って「SCRATCH」というタイトルの番組を制作するに至ったわけです。こうやって番組を作れたことを、本当に感謝しております。

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