子どもたちの“理科が好き”を育む③

子どもたちの“理科が好き!”を育む 科学実験教室「ユニラブ」開催

科学実験教室「ユニラブ」開催

2019年8月7日(水)、小中学生のための科学実験教室「ユニラブ」が早稲田大学西早稲田キャンパスで開催。同イベントは今年で32回目となり、大盛況の一日となりました。イベントの魅力と当日の様子を、主催者・出展者のインタビューを交えてレポートします。全3回連載の今回は第3回最終回です。

ユニラブに出会い、早稲田で科学を

ユニラブ参加者座談会

早稲田大学理工学術院が主催する、小中学生のための科学実験教室「ユニラブ」。1988年以来毎年開催されており、2019年8月に32回目を迎えています。長い歴史の中で、かつてユニラブに参加して科学に興味を抱き、本学に入学した参加者も少なくありません。今回、理工学術院へ進んだ3人の学生が、ユニラブの魅力を語り合いました。

左から土屋さん、本村さん、山木さん

Profile

本村勇人さん

早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 数学応用数理専攻 修士1年。小学生〜中学生にかけて5回以上ユニラブに参加し、その経験が早稲田大学を目指すきっかけになった。

山木大樹さん

早稲田大学大学院 先進理工学研究科 電気・情報生命専攻 修士2年。小学生の時にユニラブに参加。早稲田大学高等学院時代に、3年間ユニラブで出展を実施した。

土屋志高さん

早稲田大学大学院 先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 修士1年。小学生の時にユニラブに参加した。

ユニラブに参加したきっかけは?

本村) 私は小学3年生の時、初めてユニラブに参加しました。「ガシャポンプ」というガチャガチャのカプセルから人工心臓の模型をつくるプログラムに参加したのですが、おもちゃが科学の道具になることに衝撃を受けたのを覚えています。もっと行きたいと思い、その後自ら何度も応募して、結局5回も参加しました。

土屋) 5回はすごい! 他にどんなプログラムに参加したんですか?

本村) 建築学科が企画した土壁づくりの体験や、唾液からDNA鑑定を行う実験などが印象的でした。それぞれのレジュメや修了証書(参加証明書)を全て保管しています。どのプログラムも面白く、「何事もよく観察すれば、発見につながる」と幼い頃に知ったことが、自分の科学的な価値観につながったのだと思います。

土屋) 私は小学校4年生の時に参加しました。祖父が早稲田の教授だったので、そのつながりでユニラブを紹介してもらい、埼玉から参加しました。私もガシャポンプだったので、もしかしたら本村くんと出会っていたかもしれませんね(笑)。自分はこの実験を小学校の自由研究に活用した記憶があります。

本村) ユニラブでやったことをそのまま自由研究にもっていくと、クラスの人気ものになれるんですよね(笑)。

土屋) レベルが高いですからね。当時私は、教授が学校の授業のようにレクチャーするイメージを抱いて参加したのですが、自分の年齢に近い学生さんが、体験を通じて解説してくれたので、授業との違いが新鮮でした。

山木) 私は小学校6年生の時です。ソーラーカーをつくって走らせるプログラムでした。ちょうど理科の授業で電池の直列つなぎについて学習していたので、電流を倍にしたらスピードも倍になると思ったら、そうならない。疑問を感じて、学生さんとディスカッションをしたのを覚えています。するとていねいに、納得が行くまで教えてくれました。教科書の理論と実世界で起こる現象が違うということを、初めて学びました。当時一人でペットボトルロケットをつくっていて、その製作工程にも役立ちました。

本村) 小学生でそこまで疑問を抱けるのはすごい(笑)。開発者気質だったんですね。

どうして早稲田の理工学部を目指したの?

本村) ユニラブで科学に興味を抱いたのはもちろんですが、学生さんが集まって楽しそうに子どもに解説している姿を見て、早稲田大学に行きたいと思いました。

山木) 私も早稲田の理系一択で、そのために猛勉強したのを覚えています。

土屋) 祖父の影響で早稲田に行くのは決めていたのですが、ユニラブに参加した頃から理系に進むことを決めていましたね。

山木) 高校は早稲田大学高等学院で、その時にユニラブに出展者としても参加しています。高等学院を選んだきっかけの一つがユニラブに出展できることでした。自分が味わった楽しさを、子どもたちに伝えたいと思ったからです。

本村) うらやましいです。私は大学入学後、ユニラブの事務局からどのような企画が面白いかと助言を求められ、大数の法則を理解するためのサイコロの実験を提案したんですが、採用されませんでした(笑)。

山木) ちょっと難すぎるのかも(笑)。最近ならAIのような流行にのったものがいいと思います。もし私が企画するとしたらLED。材料を変えると発光の色が変わるので、その変化を子どもたちに見せてあげたいなと思います。

土屋) どの大学もオープンキャンパスなどでは体験型ブースを設けたりするのですが、小学生は、より自発的に体感できる企画がマッチすると思うので、その辺りに配慮するのは意外と難しい。あらためてユニラブってすごいんだなと思いますね。

将来の夢や目標は?

本村) 私は現在、数学の分野でAIを研究しており、将来はその知見を生かしたいと思っています。ものをつくる人と買う人がうまく結びつく世の中にしたいので、広告やIT業界に進みたいと思っています。

土屋) コンピュータービジョンやコンピューターグラフィックスの開発やシミュレーションをする研究室に進み、そこでディープラーニングの研究をしています。将来は人が「楽しい」と思えるものをつくりたいので、早稲田で得た技術を生かして、AIを活用した動画をつくってみたいです。

山木) 私は電子の分野で半導体の研究を行っていて、自動車メーカーの研究職への就職が決まっています。半導体は普段目に見えるものではないので、自動車のように目に見えるものをつくる一員になりたいと思いました。ユニラブでソーラーカーに夢中になったくらいですから、子どもの頃から自動車が好きだったんですね。

土屋) かつてユニラブで交わしたディスカッションが将来生きるわけですね!

山木) 理工系の研究は「なぜ?」の追求だと思うので、自分で疑問を感じる最初の一瞬が大事。子どもの時にその思考回路が芽生えることはとても有意義ですよね。

土屋) もちろん科学に限らず、他のジャンルでもいいと思います。大切なのは押し付けられるのでなく、自発的に一番興味を持てる分野を発見すること。私の場合、ユニラブが科学という選択肢を設けてくれたことがありがたかったです。

本村) 「世の中は不思議なことであふれている」と感じながら、それまでなんとも思わなかったことに疑問を抱くようになれば、どんどん探求や発見ができるはず。たとえそれが科学じゃなかったとしても、自分の好きなものにどんどん気持ちを向けられれば、世の中に良い価値を、その人なりの形でどんどん届けられるはず。私たちの場合、そのきっかけがユニラブだったようですね。

取材時に本村さんが持ってきてくれた、過去に参加したユニラブのグッズ。現在も大切に保管しているという

科学実験教室「ユニラブ」とは?

早稲田大学理工学術院が主催する「ユニラブ」は、実験や工作の体験を通じて、小中学生が科学や技術に対する知的好奇心を高める機会を提供するとともに、大学の技術力・研究力を広く社会に公開することを目的にしたイベント。理工系の学部が集まる西早稲田キャンパスで1日がかりで行われ、キャンパス内の教室などを活用して、事前予約制の「実験教室」や予約なしでも参加できる「実験体験コーナー」を提供します。それぞれの企画は、早稲田大学の研究室や学生団体によって運営されており、子どもたちが研究者や学生と交流しながら科学を学ぶことができるのが最大の特徴です。大学の専門実験室や実験装置を活用するため、小中学校の授業では味わうことのできない貴重な体験を提供しています。

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