ケネディ家 半世紀ぶりに大隈講堂へ

ケネディ大使、クリントン元大統領、安倍首相が講演
「JFKの遺産」テーマに大隈講堂でシンポジウム

アメリカ合衆国の故ジョン・F・ケネディ第35代大統領の功績を振り返り、世界が抱える様々な問題の解決策を探る国際シンポジウム「ケネディ大統領のトーチ~引き継がれるその遺産」が18日、大隈記念講堂で開催されました。早稲田大学とジョン・F・ケネディ図書館財団の共催によるもので、科学やイノベーションの限界を超えてより平和な世界を実現するよう市民に呼びかけたケネディ大統領の就任演説をテーマに、長女であるキャロライン・ケネディ駐日米国大使が特別講演を、ビル・クリントン元大統領、さらに安倍晋三首相が基調講演を行いました。学生と招待客ら約1100人が参加しました。 1392504_589109024477377_1055302455_n

大隈記念講堂では1962年2月、ケネディ大統領の実弟であるロバート・F・ケネディ司法長官(当時)が講演を行いました。約3,000人の学生らが詰めかける中、来日に反対する学生が長官に質問状を突きつけて騒ぎ出し、講堂にはヤジと怒号が飛び交いました。長官は学生を壇上に登らせて真摯な姿勢で討論していたところ、応援部の学生が突然、早稲田大学校歌を歌い出しました。すると講堂は「都の西北」「早稲田、早稲田」の大合唱に包まれ、混乱は収束していきました。

これは1960年安保条約締結後の冷え込んだ日米関係の変化の兆しを象徴するエピソードとして今も語り継がれており、国際協調を重視したケネディ大統領の“レガシー(遺産)”を受け継ぎ、世界が直面する課題を解決するための手がかりを探る今回のシンポジウムを開催するのにふさわしい場所ということで、大隈記念講堂が会場に選ばれました。

ケネディ大使「平和に向けて、みなさんの知恵を次世代に」

CKennedy特別講演を行ったキャロライン・ケネディ大使は、叔父が演説を行った場所で半世紀ぶりに講演できることに感謝を述べ、第二次大戦中、ケネディ大統領が艦長を務めた魚雷艇が、日本軍の駆逐艦に沈められたものの、九死に一生を得て生き延び、その後、駆逐艦艦長と交流を持った話を紹介。国立公文書館で開かれている「JFK-その生涯と遺産」展で、「艦長だった花見弘平氏の妻とご子息に出会った。感動的な体験だった」と話し、戦後、花見氏がケネディ大統領と何度も交わしていたという書簡の一部を紹介しました。

また、ケネディ大統領がアメリカン大学で語った「もっと実際的で実現可能な平和に目を向けましょう。人間社会の段階的な進歩に基づく平和です。平和は多くの国・人々の行動によって作り出されます。新しい課題が浮かび上がるたびに対応できるものでなければなりません。平和とは過程であり、問題解決の手段であるからです」という演説を紹介し、「70年以上もの間、数えきれない犠牲、勇気、和解、そして友好を通して、私たちの親や先祖が連携関係を築き、それが世界に安定をもたらしました。これは当然のものと考えてはならない資産です。私たちにはこれを継続していく役目があります。本日、ここでの議論をきっかけに、みなさんが自由と民主主義のためにどのような貢献ができるかを考える助けになり、今から50年後、平和に向けて、知恵を次世代に継いでいってほしいと考えています」と結びました。

鎌田総長「学生にとってかけがえのない未来への道標となる」

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大隈記念講堂の貴賓室で記念撮影。(左から)鎌田薫総長、キャロライン・ケネディ大使、大使の長男・ジャック・シュロスバーグ氏

鎌田薫総長も開会の挨拶を行い、ロバート・F・ケネディ氏の講演がきっかけとなり同氏の寄付によって「ロバ-ト・ケネディ奨学金」が作られたこと、同氏の自宅には早稲田大学校歌のオルゴールがあり、「早稲田、早稲田」と口ずさんでいたこともあったことなど、早稲田大学とケネディ家の関わりを紹介。「本日のシンポジウムにおいて、ケネディ大統領の理念、手法を振り返り、現代だけでなく、未来へのメッセージ汲み取ることは大変、意義深い。世界に羽ばたく志を持った早稲田の学生にとって、かけがえのない未来への道標となると確信しています」などと話しました。

キューバ危機の回避、部分的核実験禁止条約の調印、人類初の月面着陸を成功させたアポロ計画、差別と闘った公民権運動の保護等のケネディ大統領が成し遂げた偉業。その根底にある世界平和の追及、新たな世界を切り開いていく信念、奉仕の心や科学技術発展への挑戦等、ケネディ大統領が遺した理念を題材に、2部構成でパネルディスカッションも開催され、日米の研究者、ビジネスリーダー、政府関係者や宇宙飛行士の方々が、「ニューフロンティア」と「平和戦略」とテーマに議論しました。学生も活発に質問をしていました。

クリントン氏「ケネディ大統領から受け継いだ月の石」

Clinton 1993年7月以来、22年ぶりの来学となったクリントン元大統領は、高校生のころにケネディ大統領と握手している写真などを背景に講演。「ジョン・F・ケネディは、宇宙開発の実現だけでなく、未開拓の分野でも新たな道を切り開いた」とし、「自分が大統領だったころ、36億年前のものという月の石を受け取った。ケネディ大統領から引き継いだもののように感じて、執務室のデスクに置いていた。政府内の議論が過熱すると、月の石を見せて『36億年という年月に比べれば小さなものだ』といった。すると、みんな心が静まり、問題をじっくり考えるようになって、いつもうまくいった」などと、思い出を披露しました。

安倍首相「アジアと共に日本を夢見る国に」

Abe 一方、安倍首相は「(ケネディ司法長官の大隈講堂での演説について)これには後日談があります。聴衆の中にいた一人の若者が、のちにワシントンDCにいって、『あのとき、聞いていた一人です』と、だめだろうと思いつつ、長官に面談を申し込んだら、実現しました。この時の若者が小渕恵三首相(一文卒)です」と、早稲田大学とケネディ家の縁を紹介しました。

さらに「留学生の送り出し、受け入れ。国際化は、早稲田大学は日本の先頭をきっています。中国、台湾、韓国に行って『早稲田』と言ってください。みなさんが思っている以上に早稲田はアジアで愛されています。理由は明らかで早稲田は明治の昔から、どんな時でも一貫して、中国や韓国、台湾の留学生を受け入れ、高田馬場の街で昼も夜も、彼らを慈しんできた歴史があるからです」と述べました。

また、ケネディ大統領の理念を称え、「日本はアジアの仲間たちにとって、夢見る場所、夢を形にする場所でなくてはなりません。私はこれから先の日本を、中国や韓国、アジアのたくさんの人たちと一緒に夢を見ることができる国にしていきたいと考えています。夢を見る力を育て、差別をなくし、人権を重んじる決意をいよいよ堅固にして、一緒に世界を少しでもよい場所にしていきたい。それが、ケネディ大統領のレガシーに報いる道だと思います」と締めくくりました。

当日プログラム

第一部 15:00-16:30

OkumaAuditorium 主催者挨拶 鎌田薫早稲田大学総長 特別講演 キャロライン・ケネディ駐日米国大使 ショートビデオ上映 パネルディスカッション「ニューフロンティア」~科学とイノベーション~ ケネディ大統領政権下の宇宙開発計画などの科学・技術への貢献について議論

モデレーター

  • 米倉誠一郎(一橋大学イノベーション研究センター教授)

パネリスト

  • チャールズ・ボールデン(米国 NASA 長官、宇宙飛行士)
  • キャロル・フルプ(パートナーシップ社長兼CEO)
  • 樋口 清司(国際宇宙航行連盟(IAF)会長、宇宙航空研究開発機構(JAXA)副理事長)
  • 大島 まり(東京大学大学院情報学環及び生産技術研究所教授)
  • 若田 光一(宇宙飛行士)

 

第二部 17:00-19:00

パネルディスカッション「平和戦略」~危機時の外交、核不拡散~ 現在、世界のリーダーたちが直面している課題や、JFK の遺産がいかに今を生きる我々の思考に影響しているかについて議論

モデレーター

  • クリス・マシューズ(米国政治評論家、『JACK KENNEDY Elusive Hero』著者)

パネリスト

  • グレアム・アリソン(ハーバード大学ケネディ行政大学院教授)
  • クリス・ドッド(前米国連邦上院議員、アメリカ映画協会会長兼CEO)
  • 久保 文明(東京大学法学部・大学院法学政治学研究科教授、アメリカ政治・アメリカ政治史専門)
  • 村田 晃嗣(同志社大学学長)
  • 篠原 初枝(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)

イントロダクション ケネディ大統領ご令孫 ジャック・シュロスバーグ氏

米国側基調講演 ビル・クリントン第 42 代米国大統領

イントロダクション キャロライン・ケネディ駐日米国大使

日本側基調講演 安倍晋三首相

閉会の辞 ヘザー・キャンピオン ジョン・F・ケネディ図書館財団CEO

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