- 研究番号:19P08
- 研究分野:technology
- 研究種別:プロジェクト研究
- 研究期間:2019年04月〜2022年03月
代表研究者

尾形 哲也 教授
OGATA Tetsuya Professor
基幹理工学部 表現工学科
Department of Intermedia Art and Science
URL:https://ogata-lab.jp/ja/member_ja/ogata_ja.html
研究概要
本研究では,少子高齢化による労働力不足などを背景として,実用化が期待されている高度情報処理技術(いわゆる深層学習(ディープラーニング) などの知能化技術)とロボット技術との融合を行うための基盤技術開発とその実応用を目的とする.
これまでのロボット開発では,実世界の不確実性に起因する曖昧さの中での自律行動が極めて困難であることから,工場のような環境で一定の制限を設けて動作環境をモデル化し,ロボットの環境への作用の結果予測の下に,システムの情報表現や通信の制約を設計可能とする措置が取られていた.しかし,制限を設けにくい日常生活環境などに類似の方法論を適用してシステムを設計することが困難であることは既知の問題とされており,同様の問題が,画像認識や音声認識,機械翻訳などの高度な情報処理においても重要な課題となっている.
近年,Hintonらによって提唱された神経回路モデルを用いる深層学習の手法は,これまで設計者が行なっていた情報表現や処理過程などの設計を,実環境で収集したデータから自己組織的に構築するのが特徴であり,上記の高度な情報処理過程において従来手法を大きく上回る性能を示し,多くの研究機関や企業が採用するまでに至った.一方で,深層学習の手法は依然としてパターン認識課題への適用ばかりが目立ち,ロボットの行動制御のような時間的・空間的に連続な課題に適用する例は少ない.
そこで本研究では,申請者が実績を上げている深層学習型の神経回路モデルによるロボットの行動学習手法を発展させることで,ロボットが実際に動作することで収集したロボット自身の感覚運動情報から,環境認知や言語処理等の高次認知能力を自己組織的に獲得することができる,新たな知能情報処理基盤の手法確率を目指す.最終的には実ロボットを用いて,人間とのコミュニケーションを必要とするような実作業,すなわち「協働作業」で評価を行う.