早稲田大学では、2009年より、佐賀県唐津市との交流事業の一環として、市と大学の共催で「こども科学教室」を毎年開催しています。
佐賀県は早稲田大学の創立者・大隈重信の出身地であり、唐津市は2010年に早稲田大学の系属校である早稲田佐賀中学校・高等学校が開校した場所という早稲田大学とは非常にゆかりの深い土地です。
記念すべき第10回目のこども科学教室は、唐津市内の小学生を対象に、2018年9月15日に早稲田佐賀中学校・高等学校にて開催しました。今年度もたくさんの参加があり、昨年度に続いて参加したというリピーターも数多くいらっしゃいました。
ゆらゆらテーブルを作って地震に強い構造を知ろう
小学校3~4年生を対象に行われた午前の部。『ゆらゆらテーブルを作って地震に強い構造を知ろう!』と題して、地震に強い建物構造を学ぶ実験教室を実施しました。日頃、理工系学部の大学生に実験指導をしている技術職員が小学生向けに開発したプログラムです。
単に与えられたやり方を試すのではなく、自ら考えて試行錯誤しながら経験的に学びを得てもらいたい、という想いで創られたこの実験では、前半で学んだ知識や【発見・気づき】の内容を後半の【自ら考えるアクティビティ】に活かすことができる構成となっています。
まず始めに学ぶのは「共振」という現象です。ゆらゆらゆれる小さなテーブルの上に、高さの異なる花をつけて、揺らす速さを変えることで、早く揺らしたときは短い花が、遅く揺らしたときは大きな花がより大きく揺れます。参加者ひとりひとりが実際に揺らしながら、その違いを体感しました。
次に、ゆらゆらテーブルの上に、家に見立てた建物モデルをたて、どのようにしたら、揺れに強い構造になるのか、スパゲッティを補強材にして、実際に揺らしながら試行錯誤しました。
最後に、地震を再現した一定時間の揺れに耐えられた中で、一番高い建物を作ることができた人が優勝という競技を行いました。建物は発砲スチロールとスパゲッティを使いました。
前半で学んだ「共振現象」やスパゲッティを使った「地震に強い補強方法」を活かしきれるかが勝敗を分けます。今回の優勝者は71cmでした。実験教室の参加者ひとりひとりに、修了証が手渡されました。
電子回路工作「はぶらむし」を作ってみよう!~センサーと電子回路の不思議~
世界ではじめての二足歩行ロボットを誕生させるなど、早稲田大学のロボット研究はとても有名です。そんなロボット研究のエッセンスを感じてもらう実験が、『電子回路工作「はぶらむし」を作ってみよう!~センサーと電子回路の不思議~』(対象:小学校5~6年生)です。
ロボットはどのようにして動いているのだろう?という素朴な疑問からはじまり、自分で電子回路を組み立てながらセンサーや回路の仕組みを学んでいきます。最終的に、はぶらし状の足をした暗いところで動く小さなロボット「はぶらむし」を作ります。
部品を出して確認し、実際に基板の上に回路を組み立てます。
自分の組み立てたロボットを実際に動かしてみます。
参加者の皆様が、それぞれに試行錯誤しながら、真剣な顔で、また楽しみつつ、実験に取り組んでいる姿が印象的でした。今回の科学教室で、五感を使って楽しみながら行ったこの実験が、唐津市の子どもたちにとって、将来につながる貴重な経験となれば幸いです。
[記事作成:教務部高大接続推進課、理工センター技術部]