文芸・ジャーナリズム論系では、文学や文化現象について国や言語や時代に縛られずに領域横断的に学びます。翻訳も積極的に用いて、古今東西の文学作品に親しみ、小説、詩歌、戯曲、批評・評論、エッセイなどさまざまな文芸ジャンルについての知見を深めていきます。
一人ひとりが作品とよりよい関係を結ぶことができるよう、世界文学研究やジェンダー・セクシュアリティ研究を初めとするさまざまな方法論を学ぶ授業も用意しています。
そうした学術的な知見をしっかり習得することを前提に、実際に創作や翻訳に挑戦できる演習が用意されているところも、本論系の特徴のひとつと言えます。
作品は変化しなくとも、それを受容する社会とそこに生きる人間のありようは変化します。ひとつの作品の評価が、時代によって——新しい時代が可能にした視点によって——大きく変わることがあります。そのようにして明らかになる作品の可能性や見過ごされてきた問題点などを学ぶことを通じて、私たちの世界理解、他者認識・自己認識はより豊かなものになっていくと信じます。文学作品や文化的事象について学術的かつ創造的にアプローチすることを通して、世界の諸地域と人間存在の多様性についての理解を深めること。本論系での学びが、学生のみなさんにとって、文化、言語、セクシュアリティ、ディスアビリティなどの差異を尊重し、他者への深い関心と共感を涵養することの一助になることを願います。
・人間のさまざまな営為のうちでも、「ことば」による創造行為とその文化的背景に関心があり、それらをよりよく理解するために、文学と文化に関わるさまざまな学際的アプローチを積極的に学ぶ意欲がある。
・自分とは異なる背景を持つ他者を尊重し、その「ことば」に真摯に耳を傾けることができる。
・ジャンルを問わず読書をすることが好きで、みずから文章を書くことにも興味がある。
多様な言語作品を喜びとともに享受するだけではなく、その緻密な学術的読解・分析から得られたものを、自分自身や現代社会の問いと結びつけて思考することができる——そのようなしなやかな感性と知性を本論系の学びを通して培ってください。
世界文学論、文学とジェンダー、文芸批評理論など、文芸と文化をめぐる新しい思考の潮流に触れながら「読み方」を学ぶ科目や、そうした読解・分析方法を学んだ上でみずから創作や翻訳など表現活動にチャレンジする科目など、多様な講義と演習が用意されています。こうした科目を履修して、自身の視野と知識を広げてください。秋学期には、3年次からのゼミを決定するか卒業研究を行うかの選択をすることになりますので、春学期のうちから興味のある主題や分野に関する授業を積極的に履修するとよいでしょう。
3年次では、2年次までと同様に、論系内に用意された数多くの演習と講義、および文化構想学部と文学部共通のブリッジ科目での学習を通じて、ジャンルを問わずさまざまな言語作品に親しみながら、それらを読解・分析するための学術的アプローチを学びます。同時に、ゼミを選択した学生は、所属ゼミでのゼミ生との議論を重ねることで、また、卒業研究を選択した学生は卒業研究計画書の作成・仮指導を受けることで、みずからの関心を専門的に深めることが期待されます。
最終学年である4年次は、大学での学びの集大成の時期です。ゼミ履修者は「ゼミ論文」を、卒業研究選択者は「卒業研究」を完成させることが最大の目標となります。2年次3年次と、文芸作品や文化現象の読解・分析を通じて、人間存在と世界の多様性への理解を深めてきたと思います。そうした学びを土台にして、各自がとりわけ深い関心を寄せる主題を掘り下げ、みずからの言葉で表現するのが、「ゼミ論文」であり「卒業研究」です。満足のいく成果が得られるよう、各人の関心に沿ったサポートを行います。
文芸・ジャーナリズム論系では、ゼミは特定のプログラムに所属しません。
ゼミ・演習に関連するテーマ | ゼミ・演習名 |
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文芸批評、ジェンダー論 | 【ゼミ】 文芸研究・批評ゼミ1/文芸研究・批評ゼミ2/文芸・研究批評ゼミ3/テクスト読解・批評ゼミ1/テクスト読解・批評ゼミ2/テクスト読解・批評ゼミ3/編集と批評ゼミ |
【演習】 近代からの日本文学/テクスト論/思想と文学/同時代文学論/読者認識論 など |
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世界文学研究、外国文学研究 | 【ゼミ】 世界文学研究ゼミ1/世界文学研究ゼミ2 |
【演習】 21世紀と文学の古典/横断文学論/ジェンダーの視点から見た世界文学 など |
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翻訳論、テキスト分析 | 【ゼミ】 翻訳・批評ゼミ1/翻訳・批評ゼミ2 |
【演習】 翻訳表現/比較翻訳論 など |
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創作論、テキスト分析 | 【ゼミ】 批評・創作ゼミ1/ノンフィクション・創作ゼミ/テクスト読解・批評ゼミ4 |
【演習】 小説表現/短詩型表現/ノンフィクション表現 など |
論系が用意した講義や演習やゼミ、そして文学部・文化構想学部共通のブリッジ科目などを活用し、みずからの好奇心や関心に沿って自分だけの学習のデザインを作り上げてください。
みなさんがどのような科目を履修すべきか迷われた場合には、論系の教員をはじめ、論系室の助手・助教にどうか気軽に尋ねてください。
フェミニズム、クィア批評に興味がある。
多様な人びとがともに生きる社会をつくる視点を持った活動をできるようになれば、どのフィールドでも活躍できます。
英語をはじめ興味がある言語
「文学とジェンダー」「文芸批評理論」「暴力と文学」
「文芸・ジャーナリズム論系演習(ジェンダーの視点からみた世界文学)」、「文芸・ジャーナリズム論系演習(テクスト論2(表象論))」など、フェミニズム、クィア批評に関連するゼミ・演習
日本近現代文学とメディアに興味がある。
どんなところでも。
英語、および自分が関心のある言語
文学・メディア関係の科目
日本近現代文学・メディア・検閲に関するゼミや演習
外国文学を読むことに興味がある。
どんなところでも。
英語、および自分が好きな文学作品が書かれた言語
外国文学関係の科目
世界文学や翻訳に関するゼミや演習
国内外を問わず、文学全般、および創作・表現活動に興味がある。
メディア、教育関係、その他
英語、自分が関心のある言語
文学、語学、思想関係の科目
批評・創作ゼミ、近現代文学・世界文学・翻訳に関する演習
語学が好きで、自分で翻訳をすることに興味がある。
直接言語に関わる仕事をすることもできるが、翻訳は人と人とのコミュニケーションの根幹にある行為だと考えれば、さまざまな分野で活かせる。
英語、および初習外国語をぜひ中級レベルまで!
外国文学関係の科目、出版文化論など
世界文学や翻訳に関するゼミや演習
小説をはじめ、コンテンツの構造や受容メカニズムに興味のあるひと。
コンテンツに限らず、社会や経済の構造やシステムなど、さまざまな領域に応用できる基礎を身につけていけるとよいと思います。
類似の事象が異なる記述言語間でどのようにエンコードされるかを知るために、日本語以外の言語(数学やコンピュータの言語も含め)を知ることが望まれます。
文学に加えて、哲学、メディア、経済学、社会学など幅広い分野の科目をお薦めします。
構造批評とメディア論についてのゼミ、表象論や受容理論についての演習など。