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「「〇〇人」の境界から社会を分析する」文化構想学部 有賀ゆうアニース准教授(任期付)(新任教員紹介)

「「〇〇人」の境界から社会を分析する」文化構想学部 有賀ゆうアニース准教授(任期付)(新任教員紹介)
Posted
Thu, 07 May 2026

 

自己紹介

文化構想学部現代人間論系で主にエスニシティ論に関する授業を担当しています。エスニシティとは、砕いて言えば、〇〇人という境界のしくみ、国民や民族や人種といった集団の線引がどのように行われていて、それが私たちの生活や社会のあり方をどう形づくっているのかを調べたり考えたりするための概念です。現代世界では、国家間の外交や戦争、国内における移民の受け入れやその子孫の社会統合、学校や職場での文化を異にする人たちの同僚・友人関係、恋人や結婚相手の選択、はては映画やテレビやゲームなどのポピュラー文化におけるキャラクターの描写など、実に社会生活のさまざまな場面でエスニシティが重要な意味をもちます。

こうしたトピックに関心を持ち始めたのは2014年に早稲田大学文化構想学部に入学した前後のことです。当時、外国にルーツをもつ人たちへのヘイトスピーチが社会問題として大々的に議論されるようになったり、外国ルーツの人々の人権保障に取り組むNPOの活動にボランティアとして関わるようになったこともあり、エスニシティにかかわる問題を考えたいと思うようになりました。大学卒業後は大学院に進学して、日本と外国の両方にルーツをもつ――いわゆるハーフ/ミックスと呼ばれる――人々を対象にしたいろいろな研究を進めました。特に力を入れたのは、戦後、連合国軍占領下の日本でアメリカ軍兵士と日本人女性の間に生まれた人々の研究です。当時「混血児」と呼ばれたかれらを日米の政府がどう処遇していたのか、学校や児童福祉施設や市井の人々がかれらにどう関与していたのか、そうした関係のなかで当事者がどんな人生を営んできたのか――これらについてまとめ、修士論文や博士論文を執筆しました。博士論文は大幅に加筆修正のうえ、『「混血児問題」の歴史社会学――戦後日本の人種的境界』という書籍として刊行しました。

『「混血児問題」の歴史社会学――戦後日本の人種的境界』(新曜社、2026年)

私の専門分野、ここが面白い!

現在は、より若年世代のハーフ/ミックスの人々やかれらを取り巻くさまざまな社会的関係をテーマとして研究をしています。かれらがどんな日常生活を営んでいるのか、国・民族・人種・性別・家庭環境⋯⋯等々の多様な背景がかれらの生活や意識にどんな影響を与えているのか、かれらを周囲の人々や社会のしくみがどう処遇しているのか――当事者へのインタビュー、アンケートデータの分析、メディア上の描写の分析などをつうじてこうした課題に取り組んでいます。

さまざまな背景をもつハーフ/ミックスの人々
(Okki, United States Navy, Lhcollins, Humor Multishow, 樂活高縣, Rudra Nayan Das (original works); Mess (derivative work), CC BY-SA 4.0)

大阪府生野区の大阪コリアタウン
Naokijp, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

エスニシティが面白いのは、冒頭にも書いたように、それが社会生活のありとあらゆる領域に関係するからです。当然、私が対象とするような人々以外にも、社会にはさまざまなエスニシティをもつ人たち――それにはいわゆる「ふつうの日本人」も含まれます――がいます。扱う社会・時代・集団・領域は問わず、なんであれ、〇〇人という境界がもつ意味について少しでも調べたり考えたり話し合ってみたい――そんな学生の皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

 

プロフィール

あるが  ゆうあにーす。1995年長野県生まれ。2019年早稲田大学文化構想学部社会構築論系卒業。2024年東京大学学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。大阪公立大学経済学研究科特別研究員PDを経て、2026年4月より現職。専門は社会学・エスニシティ論。特に、日本と外国の両方にルーツをもつ人々のアイデンティティ・言説の質的・量的研究に従事している。主要著作に『「混血児問題」の歴史社会学――戦後日本の人種的境界』(新曜社、2026年)ほか。

(2026年5月作成)