EMS 新宿実証センター 
EMS Shinjuku R&D Center

EMS(エネルギーマネジメントシステム) 新宿実証センター

「EMS 新宿実証センター」設置の背景

 東日本大震災の発生により生じた電力の供給力不足により、計画停電の実施や、夏季に向けて国を挙げた節電を行ったことは、記憶に新しいことと思います。

 電力供給に関する考え方は、長い間「電力の使用量に応じて発電量を調整する」というものでした。しかし、震災後の電力需給ひっ迫を契機に、「電力供給量に応じて需要側・負荷側の需要量を管理、制御する」という需要応答(デマンドレスポンス)を実現するための枠組みの実現が急務となっています。

 早稲田大学では、2012年から経済産業省の実証事業である「エネルギーマネジメントシステム標準化における接続・制御技術研究事業」に参画し、特に「デマンドレスポンス実現に向けた国際標準化に係わる先端研究」のテーマで実証事業に取り組んできました。この実証を進める為に、日本を代表する25社の企業から多大な協力を得て設置したのが「EMS 新宿実証センター」です。

組織図

デマンドレスポンス技術についての実証・評価研究

EMS 新宿実証センター 正面

EMS 新宿実証センター 正面

センター全景

センター全景


設備の紹介

「EMS 新宿実証センター」の設備は、大きく3つに分けられます。

  •  通信機能を持つスマートメーター、エネルギー機器を装備したスマートハウス
  •  デマンドレスポンス信号送受信サーバ(DRAS)
  •  電力系統(配電系統)の状態を検証するシミュレータ

スマートハウス

 スマートハウスは、大きな教室の中に小さな家が4軒すっぽり入っており、初めて訪問された方は驚かれることもあります。この小さな家は、ただの家ではなく、最新のエネルギー設備が満載です。具体的には、電力会社側・宅内側の2方向の通信機能を持つスマートメーターを始め、エアコン、エコキュート(ヒートポンプ式給湯機)、蓄電池、太陽光発電システム、電気自動車、エネファーム(燃料電池)などです。これらの機器の中心に位置するHEMSが頭脳となり、各機器の制御を行います。HEMSと各機器を接続する通信規格には、ECHONET Liteや米国で検討が進んでいるSEP2.0を利用しています。ポイントの一つは、複数社の機器を同一ネットワークの中で自由に接続、実証を行っている事です。

 複数のプロトコルを実装しているのは、世界各国の標準を調査し、各々の得失などを検証するためで、実際に動作させて規格の考え方の差を実感しながら実証しています。更に、新たに欧州のビル業界を中心に普及しているKNXの試験を始めようとしています。その他、残念ながらネットワークにつながっていませんが、IH調理器、洗濯機、冷蔵庫などの一般家電機器も設置し、実際の負荷として使用しています。

 太陽光発電は、実際の太陽光パネルではなく、直流電源シミュレータで模擬しています。この為、データさえ入手すれば、世界各地・各季節の発電条件を模擬することができ、幅の広い試験を行うことが可能です。実際の天候に左右されず、夜間においても試験できます。

 家庭内の負荷についても、実際の機器以外にインバータで電力負荷を模擬出来る構成としてるので、独身、夫婦のみ、夫婦+子供、3世代同居など、あらゆる居住者のパターン、また、店舗併設型の家など特殊なパターンでも、自由な設定で電力負荷を模擬することが可能です。

 更に、分電盤は特別な設計を行い、停電が発生した時に、蓄電池等からの電力だけで家庭の負荷を賄う(自立運転)試験なども実施できる構成です。

 今後社会に展開されていくスマートメーターも実器を設置し、通信ネットワーク(通称「Aルート」)を経由して電力会社側設備の模擬装置(GridEMS)に接続しており、自動検針動作など、Aルートを使用した各種試験を実施が可能です。

デマンドレスポンス信号送受信サーバ(DRAS)

 電力会社設置向けの機能をもつ電力DRAS4台、アグリゲータ向け機能を持つアグリゲータDRAS4台、計8台を備えています。サーバ間の通信には、国内の標準として適用することになったOpenADR2.0を実装しています。この試験環境は、世界的にも非常に早い段階でOpenADR2.0を実装したもので、米国のOpenADRアライアンスが日本国内のベンダーを集めて相互接続を確認するイベント等にも活用されました。現在までに国内の4地域実証等への送信、経済産業省のインセンティブ型DR実証事業などへの活用が進んでいます。

配電系統シミュレータ

 6.6kVの電圧で運用される実際の配電線を400Vの電圧で模擬し、等価な電気回路を構成することで、一部屋の中に数kmの配電線が再現される機能を持っています。配電線路の電圧を計測・開閉する装置、また、電圧を調整する装置なども、実際の配電線と同等の仕様の設備を導入しており、実際の電気現象に従って高精度かつリアルな配電系統のシミュレーションが可能です。

 この系統シミュレータから、スマートハウスへ給電をすることも可能で、スマートハウス側での機器の制御が、逆に配電系統へ与える影響の評価も可能としています。

設   備
スマートハウス1(白虎)

スマートハウス1(白虎)

スマートハウス(4棟)

スマートハウス(4棟)

ヒートポンプ給湯機

ヒートポンプ給湯機

蓄電池

蓄電池

分電盤/太陽光パワコン

分電盤/太陽光パワコン

燃料電池

燃料電池

PHV/EV

PHV/EV

スマートメーター

スマートメーター

エアコン

エアコン

配電系統模擬システム ANSWER

配電系統模擬システム ANSWER

電源・負荷シミュレータ

電源・負荷シミュレータ

シミュレータ操作コンソール画面

シミュレータ操作コンソール画面


実証事例と活用の広がり

 これまで、「EMS 新宿実証センター」の設備では、上記に述べた経済産業省の実証事業として下記の実証や試験を実施しました。

  • スマートメーター ~HEMS~ 各機器を一気通貫に接続し、総合的に制御する実証
  • デマンドレスポンス指令とHEMSとの連動試験
  • 停電時の蓄電池による自立運転の実証
  • スマートハウスと配電系統との連係試験

 今後も、基本的な設備については継続的に利用する事で、システム開発、アルゴリズム開発に役立てることは勿論、現在実施中の光と睡眠の相関の研究など、様々な用途に活用頂ける様にしていく予定です。「EMS 新宿実証センター」の今後にご期待下さい。

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