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第14回-2014年度 授賞作品

第14回(2014年度)石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞 授賞作品

公共奉仕部門 大賞

  • 受賞者氏名:NNNドキュメント取材班 代表 ディレクター 大島千佳
  • 受賞作品名:NNNドキュメント14「自衛隊の闇 ~不正を暴いた現役自衛官~」
  • 発表媒体名:日本テレビ
  • 発表年月日(期間):2014年2月23日
  • 授賞理由:自衛艦を見学したとき、艦内の食堂に「団結」と大書されてあるのを見て驚かされた。戦闘集団には団結が最大のモラルなのだ。団結は少数意見を排除する。まだ殺し合いの惨劇を体験していない自衛隊が、いまでさえ民間よりもはるかに自殺率の高いのは、密閉集団の中で、異物を排撃し団結を求めるからだ。ミサイル搭載護衛艦「たちかぜ」の21歳の乗組員の自殺は、「いじめ自殺だった」と裁判官が判断できたのは、自衛官の内部告発の証言があったからだ。この番組は組織内にあって、組織の明朗性をもとめて、毅然として証言台に立った自衛官を描いている。秘密保護法実施前の、あるいは自民党の憲法改定案にある「軍隊内審判所〈軍事法廷〉設置」の前に、自衛官の勇気を映像化した意味は大きい。たった一人でもできることがある、という実践が日本全体を密閉集団化させない道を拓く。(鎌田慧)
  • 受賞者コメント:自衛官いじめ自殺裁判の二審取材中の衝撃でした。現役自衛官3佐が「自衛隊の文書隠蔽」を証言したのです。「私は自衛隊のためではなく国民のために働いている」――彼の確固たる正義に、文書が暴かれ、自衛隊幹部が謝罪。裁判をも覆した3佐の志そのものが受賞に相応しいと感じます。闇に光を当てる尊さを胸に刻みたいと思います。

草の根民主主義部門 大賞

  • 受賞者氏名:下野新聞社編集局「子どもの希望」取材班 代表 下野新聞社編集局社会部長代理 山崎一洋
  • 受賞作品名:「希望って何ですか ~貧困の中の子ども~」
  • 発表媒体名:下野新聞
  • 発表年月日(期間):2014年1月1日~6月28日
  • 授賞理由:経済のグローバル化が進むとともに、貧富の格差もまた、拡大していく。しわ寄せは、経済力の弱い母と子の家庭に。働けど、働けど、暮らしは楽にならないワーキングプアの母親に、世間の風は冷たい。子どもの心は閉ざされ、自分を語ろうとしなくなる。親から子への貧困の連鎖を断ち切るには、どうすればよいのか。この子どもたちに希望の光は射すのか。誰もがあえて目を向けようとはしない現代社会の構造的な問題に、真正面から切り込んでいった労作。一人ひとりの少年や少女の運命に寄り添いながら、広く、深く取材し、英国の事例まで取り上げて、解決の方向を探る。説得力のある長期キャンペーンに読者の反響は大きく、問題の所在が次第に浮き彫りになっていく。時代を切り取り、時代とともに歩むジャーナリズムの原点を見るような取材班の仕事に、拍手を送りたい。(秋山耿太郎)
  • 受賞者コメント:子どもの貧困問題に目を凝らし当事者の声に耳を傾けてきた取材班3記者は、「子どもの貧困は人権が脅かされているのに、見過ごされている現実である」と思い知らされました。対策の政府大綱を見ても、貧困の中に置かれた子どもたちの状況は厳しいと言わざるを得ません。受賞を大きな励みとして、子どもの未来を考え続けたいと思います。

文化貢献部門 大賞

  • 受賞者氏名:与那原恵
  • 受賞作品名:『首里城への坂道 ~鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像~』
  • 発表媒体名:書籍(筑摩書房刊)
  • 発表年月日(期間):2013年7月10日
  • 授賞理由:最近のノンフィクションの「詳しさ」には密度すなわちコクがありません。それはパソコン検索に頼ってしまいがちだからです。それに対して与那原さんの『首里城への坂道』はコクに満ちています。30年という時間をかけた熟成。このノンフィクションの主人公は鎌倉芳太郎(彼が近代沖縄史において、いや日本近代史において、これほど重要な人物であることを私は初めて知りました)ですが、その鎌倉を中心に様々な人が交差していく。ただ調べただけのノンフィクションなら、それらの人物を登場させるだけで手いっぱいで、彼(彼女)らそれぞれのキャラクターを描きわけるところまでいかない。けれど30年の熟成によってそれらの脇役が時に主役をくってしまうほど躍動する。それから首里城の数奇な運命! 1992年の復元工事竣工は実はただの「復元」ではなかったのです。(坪内祐三)
  • 受賞者コメント:大正末から昭和初期にかけて大々的な琉球芸術調査をなした鎌倉芳太郎。彼を中心にして、沖縄近代から現在までの時間、沖縄学の系譜などを描く試みでした。取材を通じて「在野」にいることの心地よさを味わいました。これからも野を自由に歩き、ときに立ち止まって空を見上げていたいと思います。

草の根民主主義部門 奨励賞

  • 受賞者氏名:有限会社ホームルーム ドキュメンタリー・ディレクター 伊藤めぐみ
  • 受賞作品名:「ファルージャ ~イラク戦争 日本人人質事件…そして~」
  • 発表媒体名:映画(新宿バルト9、渋谷アップリンク他全国各地の劇場にて上映)
  • 発表年月日(期間):2013年12月7日公開
  • 授賞理由:「自己責任」という言葉が日本社会の格差や歪みを助長したとはいえないだろうか。10年前、イラクで人質となった3人は「自己責任」を問うバッシングにあった。当時そのことに違和感を覚えた人もいたはずだが、事件は忘れ去られた。だがその違和感を大切に育て、自分の表現としたのが当時高校生だった伊藤めぐみ監督。人質のうちの2人の現在を追う映画は、構成は不器用でも、見る者の心を揺さぶる映像や言葉に満ちている。そして考えさせられる。マスコミのあり方、いじめや引きこもりを生む社会のありよう、日本の自衛隊派遣の問題、米軍の掃討作戦後イラクに増える先天異常児のこと・・・。全編を貫いているのは、伊藤めぐみの問いかけだ。こんな世の中でいいのかという。問いは、映画を見る「私」に向けられている。個人の中の小さな違和感を普遍性のある社会問題として提起していく姿勢こそ、ジャーナリストの原点。今後が大いに期待される。(山根基世)
  • 受賞者コメント:この度は草の根民主主義部門奨励賞を頂きありがとうございます。イスラム国の進出が大きく報じられていますが、今回の映画で訪れた病院はイラク軍による爆撃を受けています。また日本での集団的自衛権の行使容認は、改めて日本の在り方、国際社会との関係を問われていると思います。このような時期に受賞となった重みを感じています。
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