第8回-2008年度 授賞作品

第8回(2008年度)石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞 授賞作品

公共奉仕部門 大賞

  • 作品名:連載「新聞と戦争」
  • 受賞者:朝日新聞 「新聞と戦争」取材班 キャップ 藤森研
  • 発表媒体:朝日新聞
  • 発表年月日:2007年4月2日~2008年3月30日
  • 授賞理由:かつて日本が戦争にむかったとき、新聞がなにをしたのか、なにをしなかったか、それへの痛烈な自省がおなじ過ちを防ぐ、との記者と読者の想いが一致した連載記事である。先輩の仕事を検証し、過去を剔抉しようとする真摯さが行間に滲んでいて、「なにをいまさら」との批判を封じた。いざとなったら命を懸けて戦 争に反対する、との戦前の「大覚悟」は不発に終わっている。いますでに、各社が「筆を揃え」て戦争を食い止めるような状況にもない。過ちの記憶を引き出し 点検するこの作業を、「最初にして最後」の禊ぎとせず、日常の「小覚悟」と強靱な歴史意識によって、私たちは書き続けるしかない。(鎌田慧)
  • 受賞コメント:新聞はかつて、なぜ戦争に加担してしまったのか。それを検証する中で、「あの時代、仕方がなかった」という安易な結論に逃げ込む誘惑といつも闘いました。 「仕方なかった」と思考停止した瞬間に、自省の緊張は失われます。
    いや当時も「別の道」はあったのだ。そう確信させてくれるのは、植民地放棄を敢然と主張していた石橋湛山の偉大な存在でした。連載にも書かせてもらいました。その名を冠した賞をいただけることは、私たちにとって光栄なことです。有り難うございました。

草の根民主主義部門 大賞

  • 作品名:「やねだん~人口300人、ボーナスが出る集落~」
  • 受賞者:南日本放送 「やねだん」取材班 代表 山縣由美子
  • 発表媒体:南日本放送
  • 発表年月日:2008年5月29日(木)
  • 授賞理由:「明るい」「痛快だ」「お年寄りをはじめ、300人の皆さんが見えてくる」・・・審査員の大多数の口から自然な声がほとばしりでてきた。10年間の継続取材の成果だろう。
    欧米で常識の「草の根民主主義」。日本では国や行政への要求自治、予算獲得が当たり前。それを逆手にとった自分たちの力、ビジネス感覚は立派。
    いま”民放”に対する社会の目は厳しい。「やねだん」の受賞は在京キー局などへの、強い批判の裏返しでもある。(岡村黎明)
  • 受賞コメント:私たちローカル局の使命……それは、地方の小さな取り組みの中に大きな可能性を見つけ、それをより多くの人に紹介することです。進む過疎・高齢化を自分 たちの知恵と工夫、そして地域の力で吹き飛ばそうというやねだんの取材がまさにそれでした。10年にわたるローカルニュースの積み重ねが評価され喜びにたえません。

文化貢献部門 大賞

  • 作品名:探検ロマン世界遺産スペシャル「記憶の遺産~アウシュビッツ・ヒロシマからのメッセージ~」
  • 受賞者:日本放送協会「探検ロマン世界遺産」取材班 代表 寺井友秀
  • 発表媒体:日本放送協会 探検ロマン世界遺産スペシャル
  • 発表年月日:2008年3月29日
  • 授賞理由: 石橋湛山賞にふさわしい大きな構えをもった作品である。アウシュビッツの収容所から奇跡的に逃れたポーランド人と、ヒロシマで被爆した韓国人の目を通し て、二十世紀が残した「負の世界遺産」を描いた力業は、見るものを圧倒せずにはおかない。この作品を貫いているのは、記憶と記録の関係である。人間は、記 録されたものでしか記憶できない不確かで、危険な動物である。それを静かに訴えたこのドキュメンタリーは、激賞に値する。(佐野眞一)
  • 受賞コメント: 現在878件ある世界遺産は、輝かしい文明が生み出したものだけではありません。アウシュビッツ強制収容所と広島原爆ドームという人類の「負の歴史」を物 語る二つの世界遺産を舞台に、「悲劇を記憶し後世に伝えることの意味」を真摯に問うたこの番組が、高い評価をいただいたことは、スタッフ全員にとって至上の喜びです。
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