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アジア太平洋地域の歴史学や社会科学領域研究のリーダーを育てる ハーバード燕京研究所トレーニングプログラムを開催

2018年6月25日から7月5日まで、早稲田大学スーパーグローバル大学創成支援事業・グローバルアジア研究拠点は、ハーバード燕京研究所(HYI)と共催で「Advanced Training Program on New Approaches in Asia-Pacific Historical and Contemporary Studies」を開催しました。


HYIトレーニングプログラムでは、アジア圏の人文学・社会科学研究領域のさまざまなテーマに沿って、有望な若手研究者を訓練生とし、研究所の所在地であるマサチューセッツ州ケンブリッジ市やアジア各国の都市へ招待し、その分野の専門家との交流の場を設けてきました。本プログラムは、現在研究が盛んなアジア太平洋地域の政治や経済、軍事、文化などに関する多国籍(transnational)、もしくは太平洋横断的(transoceanic)な歴史学・社会科学研究への新しいアプローチを探ることを目的に開催されました。

プログラムマネージャーであり、早稲田大学留学センター所長の社会科学学術院・篠田徹教授は、「南米から中東まで、世界中から100件近く応募があったことで、改めてアジア研究というものに対する関心の幅広さがわかりました。また、本プログラムを開催したことで、アカデミックな点でも、早稲田大学のグローバル化の飛躍のきっかけになればよいと思っており、大きな意義や任務を感じます。世界中の人たちが早稲田にきて、一緒に勉強する。早稲田大学の夏は熱いのです」と語りました。

世界各国から集まった20名の大学院生や若手研究者

今回、世界各国から20名の大学院生や若手研究者が集まりました。東ドイツ、ベトナム、そして北朝鮮の独裁政治を比較する歴史社会学を専門とする院生や、教育家・アイヌ研究家であった小谷部全一郎について研究している助教など、出身国、所属大学、研究分野はそれぞれ異なります。プログラム委員長を務めたハーバード大学のアンドリュー・ゴードン教授は、「このような多様性が私たちのディスカッションに影響を与えることは間違いありません。このプログラムが、ただ単に訓練生らの背中を押し、直線的にプロジェクト進行を促すのではなく、クリエイティブに揺さぶることで、動揺させることを期待している」、と話しました。

プログラム教員には、ハーバード大学のデイビッド・アルミタージュ教授、ペンシルバニア大学の東栄一郎教授、ブリティッシュコロンビア大学のティモシー・ブルック教授などを含む講師陣が招かれ、訓練生たちは教員や訓練生同士のディスカッションなどを通して、それぞれの専門に関連した今後実施してみたいプロジェクトについて案を練りました。プログラムの最終日には、そのプロジェクト案についてプレゼンテーションを行いました。

プレゼンテーション終了後、もう一人のプログラム委員長であった早稲田大学政治経済学術院・梅森直之教授は、「ここで終了するのではなく、ここからが新たなアカデミックネットワークと国際交流の始まりです。このプログラムが皆さんに対して、将来、アジア太平洋地域の歴史学や社会科学領域研究のリーダーとして育つインキュベータの役割を果たすことを期待しています」、とコメントしました。

体験談

本間美紀さんは現在、文学研究科の博士課程に在籍し、ペルシャ美術における中国美術の影響について研究しています。今回トレーニングプログラムに参加した感想を聞きました。

本間 美紀さん、早稲田大学大学院文学研究科美術史学コース博士後期課程在籍

HYIトレーニングプログラムに参加した理由

それぞれの分野で屈指の先生方の講義を受け、アジア太平洋地域の研究に関わる同世代の研究者たちと討論し、人脈を広げるというプログラムに魅力を感じたためです。また、”New Approaches” というタイトルに惹かれて、今後の研究に向けて新たな視点が得られれば良いと思い、参加しました。早稲田大学で開催されるという点も自分にとっては、応募しようと思う大きな動機でした。

他大学の若手研究者との交流について

研究の話はもちろん、雑談も有意義でした。プログラム途中からグループワークがあったり、SNSで連絡を取り合ったり、授業後に飲みに行ったりと、頻繁なやりとりがありました。私は、これから博士論文に取り組む段階ですが、すでに博士号を取得した参加者は、「次はどの国際会議で発表するか?」、「パネルディスカッションを組むには?」、「本を出版するには?」、「研究資金を得るには?」、といった話をしており、周りから学ぶことが多かったです。また、将来的にも交流を続けるというのが、本プログラムの趣旨の一つでもあり、定期的に集まって近況報告したり、パネルを組もうという話も出ているので、この交流が今後どう発展していくか楽しみです。

プログラムを通じて学んだこと、得たこと

本プログラムは、政治・経済を主としたアジア太平洋地域の研究に関する講義とディスカッションで構成され、美術史を研究する身にとっては難しい面もありましたが、“trans-national,” “trans-oceanic”といったキーワードを軸に展開されていき、地域研究にとっても大変価値がありました。私の研究テーマである、美術品の東西交流に当てはめてみると、美術品は、必ず制作地として、「日本美術」、「中国美術」といったように、作品の所属が定められますが、美術品が国を超えて運ばれて新たな影響を生み出したり、中国美術と称していて実は他の国で生産されていた場合、日本や中国といった概念はどこまで通用するのか、という疑問が生じます。私は、作品の描写に「中国風」という言葉をよく使っていたので、具体的に何を指していたのだろうと自分でも考え直しました。この概念をいかに定義していくかは、今後の私の研究にとって大きな課題です。

また、知り合った国内外の様々な参加者との交流も大きな収穫です。研究方法や資料に関して色々な意見をもらい、今後も切磋琢磨し合える仲間と出会えたと思うと、励みになります。

プログラム参加者・教員と一緒に大隈重信銅像の前で

これからの研究について

今は博士後期課程に在籍中ですので、まずは、博士論文の執筆が目標です。研究テーマは、ペルシア・イスラーム絵画における中国美術からの影響で、今のところ、ティムール朝(1370-1507年)と明(1368-1644年)の交流に焦点を当てています。本プログラムを受け、美術交流とは、外交政策や人の移動、お金の移動を伴うものと改めて認識させられました。将来的には、もっと考察の対象を広げたり、他の分野の研究とリンクできないか思案しています。将来は、日中の美術史交流の研究成果を組み込んだ、イスラーム美術史の研究者を目指しています。

HYIトレーニングプログラムで印象的だったこと

よく言われることですが、日本語の論理と英語の論理は違うので、論文の書き方やプレゼンの仕方は、発表する言語と相手で、全く変わるものであると実感しました。今回のプログラムは、非ネイティブ同士の会話が中心で、多少の苦労は伴いましたが、伝えるという思いが大事だと感じました。

参加者20名以上のうち、日本人参加者は3人で、英語での授業が終わったと思ったら、周りの大半が中国語で話し始めるという点が印象的でした。国内外の様々な参加者たちと共に時間を過ごす中で、自分のアイデンティティーを振り返ることができました。

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