2018年3月22日、陳宝生・中華人民共和国教育大臣が早稲田大学を訪れ、大隈記念講堂小講堂で特別講演会を開催しました。
講演会に先立って行われた鎌田薫総長との懇談では、本学が1899年に中国から初の留学生を受け入れ、一時は全学生数の約2割を中国からの留学生が占めるほど多くの中国人留学生を受け入れていた歴史や、そのなかにはのちの中国の近代化に多大な貢献をした人物が多く含まれていたことなどについて懇談しました。また、早稲田大学清国留学生部の学生たちが、卒業記念に詩文・画等を寄せた「鴻跡帖」を、陳教育大臣にご紹介しました。
陳宝生教育大臣のごあいさつ
早稲田大学は中国と深い関わりのある大学として、中国でも早くからよく知られております。
100余年来、早稲田大学は、学問の独立を全うし、学問の活用を効し、模範国民を造就することを以て建学の本旨となし、絶えず東洋文明と世界文明との調和と融合を促し、竹下登、海部俊樹、福田康夫など数多くの著名な政治家や優れた人材を輩出し、世界一流大学へ仲間入りしました。100余年来、早稲田大学は中日両国交流の歴史的舞台であり、宮崎滔天、浅沼稲次郎、松村謙三など、数多くの中日友好交流事業の促進に携わる代表的人物を輩出し、また廖仲愷、李大釗、陳独秀、澎湃など中国近代革命の先駆者の留学の足跡を残しました。
ここで、私はこれほどまでに多くの人材を輩出した早稲田大学に、心より感服と敬意の念を表します。
このような伝統に満ちた素晴らしい舞台において、私は喜んで皆様に、近年の中国の教育への取り組みや成果などを紹介し、また皆様にとってご関心のある教育についての話題、および今後の中日教育協力交流について、意見交換をさせていただきたいと思います。
共に手を携えて開く日中教育交流の新ページ
陳教育大臣は「共に手を携えて開く日中教育交流の新ページ」をテーマに、日中の教育交流について、歴史を振り返りつつ今後の展望を語りました。「中国では、2.7億人の児童・生徒・学生、1,600万人の教職員を抱え、初等・中等教育の就学率は中・高所得国家の平均レベルを上回っています。この成果はわずか数十年間で達成したもので、飛躍的な発展を実現しました」と、陳教育大臣は中国における教育の現状について紹介しました。また日中間の学生交流について、「国交正常化以来、中日両国教育交流協力のレベルが顕著に向上し、豊かな成果を享受しています。中国は1979年に初めて日本に公費留学生を派遣し、以後十数年来、日本留学の中国人学生数が絶えず増加し続けています。2017年には在日本中国人公費留学生は日本における留学生全体の40%以上を占め、在日外国人留学生のトップです。在中国の日本人留学生数も増加し続けており、中国留学は日本人学生の海外留学先の上位となっています」と、交流の飛躍的発展を強調しました。その上で、世界一流大学の建設やイノベーション人材の共同育成、青少年の交流促進、人類運命共同体の構築という四つの面において、日中間協力への期待を述べました。
本学は2016年度に7,156人の留学生を受け入れ、また4,086人の学生を海外に派遣しました。今後は受入留学生数・海外派遣学生数をともに大きく増やしていく方針であり、中国との学生交流もより一層の発展を見込んでいます。これからも中国の大学・研究機関との学術交流をさらに強化していきます。