2017年度 早稲田大学リサーチアワード WASEDA RESEARCH AWARD の受賞者が決定

早稲田大学では、独創的研究の推進と国際的な情報発信力の強化を目的として、2014年に早稲田大学リサーチアワードを設け、大規模な研究を主導的に推進している研究者および国際発信力の高い研究業績をあげている若手研究者を表彰しています。

本アワードには、大型研究プロジェクト推進(Large Research Project)と国際研究発信力(High-Impact Publication)があり、それぞれ正賞(賞状)ならびに副賞(大型研究プロジェクト推進は賞金50万円、国際研究発信力は賞金10万円)が授与されます。

早稲田大学リサーチアワード(大型研究プロジェクト推進)受賞者
WASEDA RESEARCH AWARD(Large Research Project)
(50音順)

2017年度
※前年度実績に基づく

氏名 研究課題名 研究費受入箇所名
大木 義路 電気・計装設備の長期健全性評価技術調査研究 理工学術院総合研究所
巽 宏平 自動車向けSiC耐熱モジュール実装技術の研究開発 情報生産システム研究センター
林 泰弘 汎用的な実証基盤体系を利用したシナリオ対応型分散協調EMS実現手法の創出 スマート社会技術融合研究機構

早稲田大学リサーチアワード(国際研究発信力)受賞者
WASEDA RESEARCH AWARD(High-Impact Publication)
(50音順)

青木 則幸 青木氏の研究は、アメリカの担保取引に関するものである。伝統的には大陸法の研究者が多い日本の民法学界において、今日、コモンロー圏の法制度の研究は不可欠であり、候補者の詳細かつ周到な研究はそうした新たな社会的要請に応えるものである。同氏による研究は、同分野においてこれまで日本で紹介されたことのないテーマについて、新たな着眼点から、詳細な資料及び文献の分析を展開している点と、そのような周到な分析が関連分野も俯瞰した広い視点からのものである点が高く評価される。こうした学術的評価に加え、同氏は、米国留学後、米国の学者との学術的交流や助手・大学院生の交流に非常に積極的であり、中国、韓国との研究交流においても、日本の担保法に関する研究成果を発表・公刊している。これらの成果は、多くの国際シンポジウムの企画に反映されている。同氏によるこれらの研究活動は、今後日本の民法を英語で国際的に発信していくための基礎となるものであり、今後のさらなる研究の発展とその発信が期待される。
入山 章栄 入山氏は、近時の経営学の中核分野である「経営戦略論」「国際経営論」を研究分野とし、有能な研究者が世界的にしのぎを削る競争の激しい同分野において、卓越した研究業績を残している。また、国際的な研究発信力の面でも、わが国で最も注目されている若手研究者の一人である。同氏は、この数年間で国際的な学術誌に査読付き論文を7本掲載しているが、うち3本は、世界的にインパクトの高いトップジャーナル(Strategic Management Journal、Strategic Entrepreneurship Journal、ならびにJournal of International Business Studies)に掲載されている。また、国際学会でもコンスタントに報告を重ねており、特に、経営学の領域において世界で最も権威のある学会の1つとされるAcademy of Managementでは、同氏の報告が高く評価され、ベストペーパー候補に選出された。このように、同氏は日本の研究状況の国際化に少なからず貢献しており、研究内容の先進性および国際発信力ともに、今後さらなる活躍が期待できる研究者である。
佐藤 政充 佐藤氏は、第一減数分裂における正確な染色体の分配様式を精力的に研究されてきた。真核生物で細胞周期の中心的役割を果たすCdk1をターゲットにして減数分裂における細胞周期の研究を行ってきた。また、染色体分配に関するMad1やCut7の発見なども特筆すべき点である。佐藤氏はこのような研究フィールドにおいて国際的にも高く評価され、英国ロンドンでの国際学会のオーガナイザーとして、日本学術振興会からの指名を受け「日仏先端科学シンポジュウム」のメンバーとして活躍された。また、国際学会での発表や国際誌での論文発表も順調であり、研究成果が新聞などのメディアにも取り上げられており、早稲田大学の生命科学系の教員の中でも抜きんでた存在であり、今後も大いに期待したいところである。減数分裂時の染色体分配機構に関わる研究であるため、不妊の原因にも関連する可能性があり、社会的波及効果も大きい。
下嶋 敦 下嶋氏は、有機化合物にシリル基やシロキサン基が結合した前駆物質の自己組織化を利用して、多様な有機シリカ系ナノ構造体の合成を達成してきた。同氏は、前駆物質の設計により、界面活性剤などの構造規定剤の添加なしに様々なナノ構造体を誘起できること、そして、縮合反応によりシロキサン骨格を形成することで、ナノ構造体を安定化できることを示した。これは、学術的にも実用的にも重要であり、これら成果を世界的に認められたハイインパクトな雑誌にて数多く発表し、また多くの国際会議において招待講演を行うなど、極めて高いレベルで国際的な情報発信をしてきた。同氏が手がけてきた有機シリカ系材料は、地球上に豊富に存在する元素から成り、ナノ構造の制御により特異な機能の発現が期待されることから、元素戦略的に重要である。このような同氏の取り組みは先駆的であり、今後の展開が期待される。
福永 有夏 福永氏は、国際経済法において重視される法制度であるWTO紛争解決制度の深い理解の上に、国内経済関係規制について定めるWTO協定の重要問題の優れた研究を行い、その成果を国際投資紛争仲裁の検討に生かそうという意欲的な試みを行っている。同氏による近年の学術論文は、広く参考文献・資料および多数のWTO判例や仲裁判例を参照した実証性の高いもので、それぞれの論旨は高い説得力を持っている。それらの論文は国際的に有力な雑誌に掲載されており、扱われるテーマも世界レベルの学会でも先端的なものであることから、国内外で発表された同分野の研究を凌ぐものとして、大変に高く評価されるべきである。また同氏は、単に学問的な素養だけではなく、WTO上級委員会事務局の研修員やハーグの常設仲裁裁判所法務官補佐を歴任し、紛争処理の現場での実務経験も豊かであるといえ、そうした経験からも今後のさらなる研究の深化と国際的な活躍が期待される。
ホブソン クリストファー ホブソン氏は、政治学・国際関係論の分野、特に民主主義・民主化の国際的展開に関する概念史研究の分野で、優れた国際発信力を発揮している。同氏が今まで公刊した論文・著書は被引用数も多く、その客観的指標であるh-indexも高い。諸国内での政治的変容と民主主義が拡張する世界的な状況とが相互に作用しあう現象に注目して多くの論文・共著書を公刊している同氏は、2015年に単著(The Rise of Democracy: Revolution, War and Transformations in International Politics since 1776, Edinburgh University Press)を出版している。本書は、「民主主義の質」が問われる21世紀において、民主主義の歴史を遡り、グローバルな視座から民主主義の拡張を論じる学術的研究として高く評価できる。本書がDemocratization誌などで学術的に評価されているだけでなく、Foreign Affairs誌で評価されていることは、同氏の研究が社会的な波及効果も持つことを示している。以上のような一連の研究以外にも、同氏が国際関係論の幅広い分野で学術誌特集号や書籍の編集・公刊に携わり、研究成果を広く一般社会や政策機関等に発信していることも評価できる。
松本 淳 松本氏は、従来行ってきたレーザーを用いた分光学的手法による大気中のNOx成分の超高感度測定技術を背景に、手法を発展させ、大気中で消費された極微量のオゾン濃度を高精度で測定する手法を確立し、大気や植物から放出される反応性物質の測定に成功した。この測定技術の発想は世界的にも大変独創的で、松本氏が作製した測定装置は世界に先駆けた成果の賜ということができる。また、この技術は、これまでとは全く異なる視点を大気環境化学研究に導入するものであり、今後の大気環境化学研究を大きく推進してゆく可能性をもっており、将来的には光化学オキシダント(光化学オゾン)や微小粒子(PM2.5)の測定への応用も期待されるものである。このような発見と装置開発により、松本氏は多くの国際会議にて招待講演を含めてその高度で独創的な技術を世界に発信しており、その業績は、大気環境モニタリング技術の面から環境先進国としての日本を支えるものとして高く評価される。
鷲崎 弘宜 鷲崎氏はソフトウェア工学の分野で顕著な業績を誇る。特にソフトウェアのパターン抽出と分析、リバースエンジニアリング、セキュリティモデリング、品質保証に関して先駆的な数多くの研究成果を挙げている。リバースエンジニアリングの研究においては、これまでプログラムの表現方法(メタモデル)が乱立状態であったものを、同氏が新たに分類法を考案し、トップカンファレンスであるソフトウェア保守工学国際会議ICSMEで提案した。同氏はICSMEに限らずICSE、ASE、CAiSEなどトップクラスの国際会議、さらにIEEEなどの主要な国際論文誌に多数の論文を発表しており、日本人研究者の中で同氏のアクティビティの高さは際立っている。国際会議において役員・委員を務め、国際標準化の活動(ISO)においてもConvenerとして活躍している。また同氏はソフトウェア工学・プログラミング教育にも深く関与し、教育に関する研究論文をCSEE&TやSIGCSEなどの国際会議において多数発表するなど、幅広い分野での活躍が認められる。また同氏は多数の企業との共同研究や積極的な産学連携活動も推進しており、今後も学術的、社会的波及効果を有した国際的な活躍が期待される研究者である。
渡邉 孝信 渡邉氏は、半導体デバイスの分野で高い知名度を誇る。特に金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の研究分野における若手・中堅の代表的研究者である。同氏の代表的な研究成果は、すでに世界的な第一人者としての地位を固めている「分子動力学シミュレーション法」の技術を応用して微細トランジスタ中の物理素過程を解明したものであり、独創性や独自性にあふれた解析を提示している。同氏は Physical Review B、Applied Physics Lettersなど国際的な一流学術誌および重要な国際会議において論文発表を行い、着実に研究業績を積み重ねている。国際電子素子会議 (International Electron Devices Meeting, IEDM)は半導体デバイス分野のオリンピックとも言われている主要な国際会議であり、世界中の半導体メーカ、研究機関、大学が最新の成果を競い合う場として知られているが、当該会議において論文が採択される日本の大学が限られている中で、同氏が5年間で2件(2014年、2012年)の発表を果たしたことは、その後の反響をみても分かるように同氏の存在感を大いに高めた業績である。さらに同氏は、JST-CREST研究プロジェクトの代表研究者としてリーダーシップを発揮しており、これまでの業績に加え、今後についてもおおいに期待される研究者である。

 

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