早稲田経由、北京大学へ ダブルディグリー経験者の今

すべてが結びつくグローバルな時代 国際的ビジネスリーダーになるための秘訣とは?

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台湾系アメリカ人の早稲田ビジネススクール1年生コウ・ウィリアムさんは謙虚な物腰とは対照的に、学部生時代、二つものテクノロジー系スタートアップを起業した野心あふれるビジネスマンであり学生です。社会科学部の英語学位プログラムに入学後、ダブルディグリープログラム※を通し北京大学留学などの経験を経て自身の努力によって着実にキャリアを積み上げてきています。

※ダブルディグリープログラムとは

本学在学中にダブルディグリーのカリキュラムを提供する大学に留学し、所定の要件を満たせば、卒業する際に本学の学位と留学先大学所定の学位の両方を取得できるプログラム。ご参考サイト(英語のみ)

「早稲田に行くと決めていた」

好奇心をそそる環境と気質

コウさんが卒業した台湾のインターナショナルスクールでは、多くの卒業生がアメリカ、カナダ、オーストラリアなどの大学へ留学しており、その中で、日本の早稲田大学へ進学するというコウさんの選択は当初なかなか理解してもらえなかったようです。「早稲田に行く」と決めていたのは、早稲田大学の世界的知名度や影響力、また著名な校友に加え、早稲田大学教旨の「学問の独立」と「学問の活用」が心に響いたと言います。

早稲田大学の特徴を、「早稲田大学には好奇心をそそる環境と気質がある。学生は向上心や自主性が強く、授業で主張する学生の姿を初めて見たとき、その積極的な態度に驚きました。先生は学生に大きなフレームワークを示し、学生の自主性を尊重した研究活動を後押ししてくれます。このような環境は日本では珍しく、早稲田ならではではないでしょうか」と語ります。

「日本的な視点を持ち、ユニークで多様な知的フレームワークを作り、国際的に活躍したい」と語るコウさんが、現在経営している会社の社風は、日本で学んだ「改善」というコンセプト、そして日本のシンプルさ、上品さから成り立っているそう。「日本人の仕事に対しての熱心さ、勤勉さから学ぶことは多い。このような視野の広い考え方で会社は競合他社との差別化を図ることができた」と話しました。

ダブルディグリープログラムで北京へ留学

DSC_0305早稲田大学社会科学部の英語学位プログラム、Contemporary Japanese Studies Program (CJSP)で、コウさんは社会科学に必要な分析力とビジネス、経済学、政治学、カルチュラルスタディーズ、歴史学、そして文学など様々な分野において基礎知識を身につけました。それぞれの分野、例えば政治や経済の重要なつながりをひも解くための基礎を固め、さらに、早稲田大学のダブルディグリープログラムを通し、高校生の時から興味があった北京大学へ留学しました。

「ここ30年ほどにわたる中国の政治的・経済的そして社会的発展でなしえたこと、さらに国際的影響力にずっと圧倒され敬意を払ってきました。このようにめまぐるしく、注目すべき功績を残してきた国へ渡り、たくさんのことを経験し、学びたいと思いました」と留学の動機を語ります。

舵のない小さなボートが大海に

早稲田大学の留学センターからのサポートによって北京大学への留学手続きは問題なくスムーズに進み、北京大学で国際政治と国内政治・経済・文化そして社会の絡み合った関係についての学びをスタート。しかし、大学での最初の何週間は「舵のない小さなボートが、優美な豪華客船が多く漂う大海に放り出されたような気持ちになった」と説明しました。

Classroom

北京大学の授業風景

「初めての講義に出たとき、想像できないほどの高いレベルの知識と意欲を持つ北京大学の学生と向き合うのに、自分がどれだけ準備が足りていないかを突き付けられた気分になりました」

社会科学部での総合的な教育に対し、北京大学では、学生を修学中の分野のエキスパートとみなし、一コマ1,2時間のクラスの中で20個ほどの学説を学ぶ授業もあったそうです。そのようなハードな環境は、負けず嫌いなコウさんのモチベーションを高め、さらに勉学に励み、北京大学での9か月間は確固たる知識が広がる期間になったと言います。

「授業中学んだことを深く理解するためにいろいろと教えてもらっていた、戦友とも呼べる中国人のクラスメートに会うことが日課になっていました。北京大学での勉強はとても大変だったけれど、そのカフェでクラスメートと一緒に過ごした時間を思い出すと元気になり、エネルギーと力が湧いてきて、目の前に立ちはだかるどのような困難にも立ち向かっていける気持ちになります」と、クラス、食堂、そしてお気に入りのカフェで授業の復習、勉強、息抜きをした仲間達を懐かしそうに思い出します。

改めて経験を振り返り、コウさんは北京大学を「努力を惜しまず、未知なる領域に踏み込んでみたい学生にとっては、インキュベーターのような場所」と説明。

「集中力を身に着け、困難を乗り越えることに喜びを見出し、そして競争力の高い環境に身を置いて訓練する場所としてはパーフェクトでした」

コウさんはダブルディグリープログラムを通して視野を広げ、忍耐力を養い、ビジネス界での逆境に立ち向かう情熱を持つ事ができたそうです。また、常に自身やチームのやる気を意識するようになったそうです。

将来の目標

コウさんはプロダクトのコンセプトを考える段階から、デザイン、マーケティングと流通、さらに技術面までほぼすべてに関わっており、「経験も、資金も、人材も不足していました。ですから、最初の二年間で新しいテクノロジーを創造し、それを世に売り出すことはとても大変でした」と会社設立当初の苦労を語りました。

DD Post-exam Gathering

試験後、DDプログラムの仲間と

その後の北京大学で苦労した経験から学んだことや、そこで知り合った早稲田・北京大学の学生と作り上げたネットワークで、「ビジネスマンとして、また人として成長することができた。これらの経験はすべて私にとってとても貴重なものです。これを体験したからこそ、どのような壁に立ちはだかっても根気強く、どんなに困難であっても答えを探して向かっていくことができるのだと思います」と話しました。

今以上にビジネス全般の知識を深めるため、現在、戦略的マネージメント、マーケティング、会計、ファイナンスなどを早稲田大学大学院経営管理研究科のグローバルプログラムで学んでいます。同時に、コウさんの家族が経営する会社の小売部門のチーフマーケティングオフィサーとして働いています。

一番大切な基礎を私に植えつけてくれた

「300人以上の従業員がいる部門のチーフレベルマネージャーを務めるには、リーダシップや経営のノウハウだけではなく、ビジネスにおいての決断を管理、計画、そして実行するために、現代の多様で適切な知の土台が必要になります。その土台と、幅広い様々な分野を繋げるということや、多様な価値観という、一番大切な基礎を私に植えつけてくれたのは、言うまでもなく、早稲田大学です」

コウさんの夢は壮大で、次なる目標は家族が経営している会社の代表になる、というもの。60年以上も日本の公営・民間企業との強いつながりを持ちながら、発展してきた家業を、日本との関係をより一層深め、精力的な改革を行い、ビジネスを次のレベルへ底上げをして、国際的にも強く、持続する会社にする事を目指しています。その先に見据えるのは、中国も含めたて東アジアの経済的・文化的発展と目標を語ります。

「家族が経営してきた会社を国際化し、それを中国、日本、そして台湾がビジネスや文化的交流を結ぶハブにしたい」

DDを検討している学生へのアドバイス

どのような試練が待っているかを知るため、DDプログラムに参加した学生に体験談を聞くのが一番だと思います。また、北京大学の先生はもうすでに基礎があると思い学生と接しているので、そこの準備や予習が大事です。どの分野に関しても、意欲を高く持ち、集中力を保つように自分を追い込まなくてはなりません。私は毎日10~12時間(授業外で6~7時間)勉強し、3~4時間ほどしか毎晩寝られませんでした。けれども、とても満たされる、充実した経験でした。先生が何を言っているかわかるようになったときの結果に比べれば、苦労なんて全くたいしたことではないのです。自分のことを誇らしく思えるようになるはずです。

日本へ留学を考えている高校生へ

早稲田大学で、私はより闊達な人になりました。これは企業家だけではなく、ビジネスパーソンになる道のりとして大事なことです。日本はどこと比べても、とてもユニークで立派な文化を持っています。テクノロジー、ファッション、デザインなどで日本は今でもたくさんのトレンドをリードしており、これらを肌で経験するのは大変貴重なことです。例えば、大学での思い出深い体験のひとつとしてゼミのメンバーと一緒にトヨタの工場へ行ったときの話です。私は年中無休で働くロボットのアームに驚き、ロボットと人間が一心同体になって働く姿を見てたくさんのことを学べました。こういうことを日本では体験できるのです。

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