「ユニークな経歴も私の個性であり強み」【卒業生インタビュー】尾川さん(理工学部卒業)

ワンダーフォーゲル部でクライミングに出合い
プロへの道を自力で開拓

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早稲田に入学した時点での将来の夢は宇宙飛行士になることでした。応用物理を専攻するかたわら理工ワンダーフォーゲル部に入ったのは、中学生のときに宇宙に近い場所に立ちたくて富士山に登り、登山の楽しさを知ったからです。部のトレーニングでクライミングを始めたことが人生の転機になりました。国体山岳競技のメンバーに誘われ、半年にわたる猛特訓の末、総合2位に。フリークライミングにのめりこんでいきました。

卒業が迫るなか、競技に専念するか、大学院進学か、就職かで悩みに悩んだ末、本当にやりたいことを追求しようとクライミングを選びました。PR資料を自作してスポンサー探しに奔走しましたが、卒業の時点でスポンサーはゼロ。先の見通しは立たず、葛藤もありましたが、一方で「なんとかなる」という自信のようなものもありました。卒業後はアルバイトをいくつも掛け持ちしながら、競技と営業活動を並行させ、ようやく初のスポンサーがついたのは1年がたったころでした。私は「生活の安定」よりも「夢を追うこと」を選んだわけですが、どちらが正しいということはなく、自分にとってより価値のある方を考え、決断するしかないのだと思います。

フリークライミングの中でもロープを使わないボルダリングに集中し、2012年には難度V14のルートを世界の女性で初めて完登しました。3年がかりで約700回ものトライを重ねるという気の遠くなるような挑戦を続けられたのは、目標にたどりつくには小さなステップを積み上げていくほかにないことを、それまでの経験で学んだからです。いきなり10センチ進もうとするのではなく、指を置く場所をミリ単位で変えながら、昨日よりもほんのわずかでも前に進むことに意識を集中しました。スポーツに限らず、継続する大切さは何にでも言えることだと思います。「ちりも積もれば山となる」の言葉通り、小さな積み重ねの先にたどりつく高みを信じて、みなさんも夢に向かって挑戦を続けてください。

国内外で挑戦を重ね心身ともタフに

理工ワンダーフォーゲル部では同学年に女子は私だけ。とはいえ練習内容も、山での荷物の分担も、女子だからと手加減されることはなく、気づけば心身ともタフになりましたね。休みの時期を利用して1人でカナダに自転車ツーリングに出かけたことも。今につながるフットワークやチャレンジ精神が培われました。

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ユニークな経歴も私の個性であり強み

競技に加えて、現在は講演活動にも力を入れています。宇宙飛行士を目指していてクライミングに出合い方向転換したこと、早稲田を卒業してプロ競技者になったことなど、異色の経歴はほかの誰とも違う私のアピールポイントであり強みです。2歳になる息子と、将来一緒にクライミングを楽しむことが今の一番の夢です。


 

尾川 智子
プロクライマー
2003年理工学部卒業

Pick Up
「ないサークルはない」と言われる早稲田。大学公認サークルだけでその数は約570にのぼり、文化系からスポーツ系まで幅広いジャンルが存在します。尾川さんが活動した理工ワンダーフォーゲル部のように、各学術院が承認するサークルもあります。

※掲載情報は2015年度内の取材当時のものです。

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