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Vol.16 スポーツ社会学(2/2)/
【eスポーツを大学で学ぶことの意義】移り変わる流行の変わらない構造を見定める
/ 高橋義雄教授

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Tue 25 Aug 26

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Tue 25 Aug 26

⁠⁠⁠⁠スポーツ科学学術院⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠高橋義雄教授⁠⁠⁠を迎えての後編は、高橋先生のJリーグ開幕の熱気を現地で追いかけた学生時代から始まります。 

野球の研究室からサッカー協会へ、そして高校野球の強化現場まで——「偶然の積み重なり」で広がったキャリアの裏には、一つの現象を別のものと並べて眺める“斜めから見る”視点がありました。 

高橋先生が研究者として大切にしてきたのは「メタファー(比喩)」であり、一つの現象を別の現象と比較し違う角度から見る思考の癖が研究に活きてきたと振り返ります。

eスポーツやデジタル文化の背後には変わらない構造があり、こうした“変わらない構造”から捉え直せば、移り変わりの速いeスポーツも、その本質が見えてくる。抽象度を上げて世界を読む、高橋教授の研究の流儀に触れる後編です。

 

【前編エピソードはこちら】

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ゲスト:高橋 義雄

早稲田大学スポーツ科学学術院教授。1994年東京大学大学院で教育学修士、2021年筑波大学で博士(スポーツウエルネス学)を取得。名古屋大学総合保健体育科学センター助手・講師、筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授等を経て、2024年4月より現職。スポーツ社会学・スポーツ経営学の視点から、スポーツビジネスやスポーツによる地域活性化、eスポーツなどを研究。

ホスト:井上 素子

研究戦略センター准教授。専門は研究戦略・推進、美術史学、文化財保存学。2014年 筑波大学大学院人間総合科学研究科芸術専攻博士課程後期修了 博士(芸術)。2013年 独立行政法人国立文化財機構 東京国立博物館保存修復課、2018年 東京工業大学研究・産学連携本部主任URA等を経て、2025年4月から現職。

左から、井上素子准教授、高橋義雄教授。<br />
早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリ)のスタジオで収録。<br />

左から、井上素子准教授、高橋義雄教授。
早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリ)のスタジオで収録。

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エピソード要約

-偶然の積み重ねから始まった研究者人生
高橋教授は、Jリーグ開幕をきっかけに、スポーツが地域や社会を変えていく現場に関心を持つようになりました。日本サッカー協会での実務経験や海外での研究経験、さらに高校野球の強化に携わった経験など、さまざまな出会いや偶然が現在の研究につながっています。「与えられたところで全力を尽くしてやってみる」という姿勢から、研究者としての歩みを振り返ります。

-現場経験と「比較する」視点が生む研究
高橋教授が研究者として大切にしているのは、一つの現象をそのまま捉えるのではなく、別のものと比較し、異なる角度から見てみること。スポーツ協会での実務経験や地方の高校野球強化など、理論と実践を往復してきた経験をもとに、現象を「メタファー」で捉え、そこからエビデンスを積み上げて研究へつなげる姿勢を語ります。

-変化の先にある「変わらない構造」を考える
eスポーツやデジタル文化は急速に変化していますが、その背後には、人や組織を動かす変わらない構造があります。IOCが考えるeスポーツの範囲や、スポーツにおける相手へのリスペクトなどを例に、表面的な変化だけを見るのではなく、その現象を生み出している構造を捉えることの重要性を解説。変化にすぐ飛びつくのではなく、「もう一歩考える」ことの面白さをリスナーに伝えます。

エピソード書き起こし

井上素子准教授(以下、「井上」):
早稲田大学ポッドキャスト博士一歩前。今回も村上春樹ライブラリー国際文学館2階のスタジオから、前回に引き続きスポーツ社会学、スポーツ政策、スポーツマネジメントをご専門とされる高橋義雄先生をゲストに、「スポーツの境界を問い直す―eスポーツとバーチャルスポーツが開く未来」をテーマにお届けします。
後半では、高橋先生がスポーツ研究の道に進まれた原点、スポーツが社会を動かす現場に立ち会ってこられたご経験、そして学生との向き合い方やこれからのスポーツ研究に向けたメッセージについて、さらに深くお伺いしてまいります。
高橋先生、どうぞよろしくお願いいたします。

高橋義雄教授(以下、「高橋」):
よろしくお願いします。

井上:
今日、収録日現在ですね、ちょうど2026年FIFAワールドカップが開催中ということで、大変盛り上がっていますね。
先生がスポーツを社会の側から研究していこうと思われた最初のきっかけをお伺いできますか?

高橋:
私が東京大学の大学院に入った時にサッカーのJリーグが1993年に開幕しまして、サッカーのJリーグ、特に、鹿島アントラーズができたことで、鹿島の工業地帯が多くの人たちで盛り上がるというようなことが現象で起きました。

その時、東京大学の大学院に教えに来ていただいた方が、早稲田大学の現在は名誉教授ですけれども、寒川恒夫先生なんですが、「高橋君、こんなに社会が大きくサッカーJリーグで変わるじゃないかと。現地に行って調べてこい。」ということを言われまして、鹿嶋市に大体1週間~10日ぐらい、泊まり込んで多くの人たちにインタビューして、生活がどう変わりましたかっていう話を『月刊Asahi』っていう雑誌にまとめて書きました。

私としては、元々野球の研究室、平野裕一先生のところにいたので、野球中心だったのですけれども、初めてサッカーが地域を変えるという現場の様子を目の当たりにして、私元々社会学をしたくて教育学部にいたのですけど、スポーツ社会学の分野としてこれ取り上げなきゃいけないなっていう気持ちになり、先ほど言った月刊誌に投稿させていただきました。

その月刊誌を読んだNHK出版の方から、本にしませんかと言われて、大学院時代に1冊、本を書くことになりました。また、この本を読んだ日本サッカー協会の関係者の方から、日本サッカー協会で働かないかという話もあって、どんどん広がりまして、サッカー協会で3年ほど働いていました。

で、やっぱりですね、当時1995年から1998年のサッカー協会の契約職員時代に感じたのは、日本代表はまだまだアジアの予選では勝てなくてですね。現状では野球がメインで、サッカーは野球をしない人がしている競技というような感じで、陽と陰みたいなイメージがあり、だから勝てないんだなっていうような感じがしていました。

ちょうど、98年に名古屋大学の助手になるんですけれども、スポーツのマネジメント、スポーツのビジネスについての助手、その分野の助手が欲しいということで、ちょうど私かなと思って出したら、採用していただきました。

で、そこから私、やはりサッカーJリーグが世の中を変えてきたということを感じまして、スポーツ社会学の分野をより中心に研究するようになりました。

最初はスポーツの観戦者、特にJリーグの観戦者は新しいファンなわけですから、どのような人がファンになったのかってことに注目して、観戦者にアンケート調査なんかをしました。

で、そのようなことからサッカー協会でしていた仕事が、2002年のワールドカップの準備の仕事だったんですが、当然国際的なサッカー大会を日本で開催するためには何が必要かという、政治的な、経済的な、それから物質的な条件の世界標準っていうものを学ぶことになり、日本のサッカーと世界のサッカーの違いがあるなってことが分かりました。

で、2002年のサッカーワールドカップの前に私は研究者の世界に行ったんですけれども、98年のフランスワールドカップ、それから2002年のワールドカップに日本が出るようになってですね、日本人選手がヨーロッパのサッカークラブに雇われるようになったんですよ。

そしたら外国の、エジンバラ大学のジョン・ホーン先生に、「Yoshi、この現象は面白いから研究してみろ」ってことで、エジンバラ大学にも1年間客員研究員として行かせていただいて、“ヨーロッパでなぜ日本人選手がサッカーできるようになったのか”ということを個人の資質の問題と社会経済的に彼らを取り巻く環境の変化っていう視点からまとめたものが国際的なジャーナルに載るみたいな。

これもですね、本当に出たとこ勝負で、与えられたものをこなしていくっていう私の人生のそのものなのですが、何かになろうと思ったわけじゃなくて、その場その場で与えられたお題に答えていたら、今のようになってしまったというそういう感じですかね。

なので、元々野球の研究をした時はですね、野球のゲームの研究だとか、それこそ野球のコーチングの研究とか、私の平野裕一先生は東京大学野球部の監督もされた人なので、どうしたら弱くても勝てるのかみたいなことで、私、開成高校出身なので、開成高校の野球部の学生監督をさせてもらったりとかいうことをしてたんですけど、ガラッと変わって今はスポーツの社会学とかスポーツマネジメント、特に最近は政策の分野も入ってまして、スポーツ政策の研究の中に今私の興味が移ってるところですかね。

井上:
先生の研究者としてのキャリアを振り返ってですね、研究者としてこんなことを大切にしてきましたというような視点ですとか信条があれば伺いできますか?

高橋:
実は、思ってもなかったことで私に対して指摘していただいたのが、ちょうど2021年に博士を取った時の指導教員である菊幸一先生から、「高橋君はメタファーがうまいね」って言われたんですよ。

僕そんな思いはなかったのですが、ある現象についてはこういうふうに見える、こういう比喩で言えるんじゃないかっていうのを常に物を斜めから見るとか、違ったものと同じように見えるんじゃないかっていうようなことを常に考えてました。要は違う方向からの見方。

これ、僕意識してやってたわけじゃないんだけど、そういう能力がなんか研究者にとってはすごいプラスになったんじゃないかなと思ってます。1つのものしか見えない頑固者みたいじゃなくて、その1つのものは実はこれと同じような現象じゃないのって言って、違う現象と比較してみるなんてことが性格的に好きで、それをずっと積み重ねてきたのが、そういう行動特性が研究者的なものになれたのかなって思ってます。

だから授業でも1つの現象が起きてるけど、こういうふうにも見えんじゃないのって常に学生には問いかけるようにしていて、そうじゃないと、その1つのことをそのまま同じようにしか理解しないんですよ。でも違うように見えない?って。違う環境だったらこういうことになるんじゃないって。あくまでもエビデンスなく言ってるので非常に問題なんですけど(笑)、類推してね、比喩的に考えると非常に大事だなと思ってます。

で、その時に本来研究者であれば気をつけなきゃいけないのは、私もですが、言いっぱなしにしないで、こう見えるんじゃないって言ったら、それのちゃんとエビデンスを取って、どこが同じなのか、まあ、いわゆる抽象的に考えればここは共通してるよねっていうようなところに持っていけると、それが論文になるなっていうような実感はあります。

井上:
なるほど。興味深いですね。その行動特性って今おっしゃいましたけども、こうメタファーにしていく。これは学生さんへのご指導の中で、今おっしゃってるってことですが、成長していける部分ですか?

 高橋:
多分、癖ですかね。1つのものをそのまま受け取るんじゃなくて、これってこれと似てるよねみたいな。多分癖ですね。食べ物でもこのハンバーガーはこっちの会社のと似てるよねみたいな。別にそんなこと考えなくてもいいのに考えるみたいな。

そういう興味関心と、比較するってことはすごい大事で、学生には常に研究はとにかく比較だからって。同じようなもの何?違ってるもの何?って常に言ってねっていうようなことは卒論レベルでも言ってます。

井上:
お話をお伺いしてますと、現場経験と言いますか、サッカー協会のことですとか、ワールドカップの日韓大会が始まる頃ですとか、そういった現場に立っていらっしゃった。で、メタファーのお話であるとか、こういろんな解像度で見ていらっしゃったんだなというふうに思いますけれども、現場で起きていることを研究として見る時に、こういったことに気をつけていますっていうことありますでしょうか?
今おっしゃったように、こう、2つのものを比較するように出すというか、複数のものを比較するようにとか、違った見方でこうも見えないっていうふうに言うようにしてるだとかいうお話がありましたが、もし他にあれば。

高橋:
僕3年間のサッカー協会の契約職員の経験でしたけど、ワールドカップのための仕事をしているんだけど、どこか冷めた、多分これ野球じゃなかったのがいいのかな?今、先生に言われて気づきました。野球だったら冷めた目で、これはこういうことかなって思わなかったかもしれません。

サッカーの3年間非常に大きくて、違う競技だし、全く分からなかったことだったので、あ、こういうことが起きるんだっていう見方の職員時代だったんですよ。今言われてみてハッとすると、自分の思っている好きなもの、好きな競技以外のことにちょっとやってみると、元ある経験と全く違うから、そこで発想力とかが磨かれるのかもしれません。

サッカー協会はね、非常に面白くて、脱線しますけど、私、リフティングもできずにサッカー協会にいたので、会議中に私の上司が、頭を冷やすためにちょっと廊下でリフティングしてから帰ってこいとか言ってですね(笑)。

で、面白いのは、そういうこと自由に言える雰囲気がサッカー協会にあるってことなんですよ。当時はね、今ちょっと協会の状況は分からないですけど。

普通の競技って大体大学までやって、競技成績があるっていう方々だから、おふざけ的な空気はないんですよ。サッカーは急激に大きくなったから、サッカーをやってない人も職員にいたもんだから、当時誕生日になると事務局長、小倉事務局長がケーキ持ってきたりとかいうような、ふんわりした職場であったってことと、一緒にフットサル大会を休みの日にやってみたりとかね。そういう意味では非常に風通しの良い組織、だからこそサッカー界って広がったのかもしれません。これも仮説レベルですけどね。他の競技ってのはやっぱり関係者しかいないから、他の競技の人を取り込まないし、他の競技に対してあまり興味がない方が中心になっちゃってるから、広がりがね、ないんですよね。

で、サッカーの本当に広がったのは協会のそういった、まあ、経営学的に言うと組織文化っていうことになるかもしれませんけど、があるのかなっていう風に思いますね。

井上:
ちなみに先生、サッカー協会入られる前は全くサッカー経験なく入られてる?

高橋:
そうです。部活動もなくて、体育の実技でやったぐらいですかね。

で、まあ、逆に言うと、そのおかげでその後ですね、秋田県の高校野球の強化を頼まれまして、全くの部外者である私が強化副委員長として10年関わって、金足農業の準優勝までですね、なんとか引き上げるっていう仕事をさせていただきました。

これはまあ非常に強化の理論を使って様々な課題を解決していくと、徐々に強くなっていくわけですけど、まさしく実践と理論を掛け合わせた研究、アクションリサーチなわけですけど、それをですね、「ちょうどコロナ禍の時間があいたら高橋君まとめなさい」って言ったのが、先ほどメタファーうまいねって言った菊先生なんですよ。

だからそういう意味で言うと本当に偶然、偶然も重なってますし、野球も全く活きなかったわけじゃなくて、私の博士論文には野球の科学的な知識を教えてくれた東京大学の最初の平野先生の知識もプラスになってるっていう。

いろんなね、偶然の積み重なりなので、まあ、学生にもそれは言いたいと思っていて、偶然ってすごい大事だから、与えられたとこで全力尽くしてやってみたらって。だから自分が何になりたいからこれはやらない方がいいとか、「選ぶ立場か」って言いたいんだけど、とにかくそれを全力でまずやってみろ、というようなことは学生に伝えたいなと思って、日々会話の中ではそういう感じで言ってますけどね。

井上:
地方自治体のスポーツ強化っていうところにも、フィールドワークだけではなくて、データ分析を活かされてご活躍されているということなんですね。

ここで少し話題を変えましてですね、研究の現場のお話と、聞いてくださっている方へのメッセージとしていくつかお尋ねできればと思います。

これ私もとても関心あるところなんですが、eスポーツやデジタル文化っていうのは非常に開発の速度が速い分野ではないかなと思います。技術ですとか流行が次々と変わり続ける分野。こういったところっていうのは、一面ではこう伝統的な学問を教えている大学とは別に、例えば専門学校ですとか、そういったところでも教育されてる部分なのかなと思うんですが、そこをあえて大学で教えることの意義ですとか、何か先生が意識されていること、あえて大学で学ぶとどんな良いことがあるとか、そういったことがあれば教えていただけますか?

高橋:
おっしゃったようにeスポーツとかデジタル文化はどんどんどんどん変わっていくんですね、流行とかね。だけど変わっていく中にも実は変わらない構造だとかがあって、普段は見えないのですが、同じパターンで人が動くなとかいうのは、それは社会学だとか心理学の世界では見えてくるわけです。

で、全体的なその政策だとか、全体的な経営って考えると、表面的な変化よりは、物事を動かす根本的なところの構造を知っている、もしくはその構造を大きく変えるような努力をした方が、逆に近道であったりすると、ということはあるので、大学に来る意味は、まさしく1つ抽象度を上げて、その現象の変化が起きる、背景にある構造を知るってことだと思っています。

なので、私の授業もeスポーツの表面的な話はするんだけど、IOCがどう思っているか、その思い方はどのように意思決定されてるのかみたいなことも話すようにしていて、そこはあまり変わらないんですよ、コアな部分は。

だけどゲーム業界は様々なバージョンアップしていくから、表面的なゲームは変わってるんだけど、変わらない一線がある。例えば、ゲームで言うとですね、IOCが言うのは、血が出るとか人が殺される状態が映るっていうのはダメだって言うんですよ。

つまり『ストリートファイター』は“ダウン”であって死んでないんですよ。なので銃撃をして人が倒れるというのはIOCが言うeスポーツの範疇にないんですね。だからそういうことが分かっていると、スポーツとスポーツでない範疇ってどこなのっていう構造が分かるわけです。

なので、いわゆる銃撃で人が撃たれて倒れるゲームは盛んに行われていますけど、IOCは取り扱わないので、スポーツ庁だとか、いわゆる教育的なスポーツという意味での範疇では語られないし、それを作ったところで学校には売れないとかいうことが見えてくるわけですよ。

実際にですね、だからIOCは銃撃のゲームは人でなくてですね、物にプログラムを変えたりさせてます。だからそこにラインがあるんだなっていうのを知ると知らないとでは全く違うんですよね。でもスポーツってそうなんですよ。相手をね、痛めつけて死んじゃったらね、二度と楽しめないから。

相手は死なない前にダウンして、相手もリスペクトした状態で終わらないといけないんですよ。スポーツのこれ哲学的なとこになっちゃうんだけど、スポーツはどこまでなのかっていう。

井上:
アテネで始まったオリンピックのスポーツと近代オリンピックとの違いとか、なんかそういったところにも思いが及びますし、銃っていう意味で言うと、射撃があるけれども、あれは的を当てるのであってだし、剣で相手を刺すっていう行為も攻撃的だけれどもフェンシングは最終的に突き刺すところまでいかないようになっていてって。

高橋:
だからフェンシングもそうじゃないですかってゲーマーの人が言うんだけど、そこはだから一線があるんですね。

井上:
例えば海外でも世界的にヒットしている日本製で有名なロールプレイングゲームで敵と戦うってことあるわけですが、戦った後に“やっつけた”っていう表現をしますよね。

高橋:
そうですね。ここ、非常に重要で、ゲームの中で人をやっつけるのと、人が亡くなる表現ってのは全く違うっていうのがIOCの考え方です。で、IOCは人が亡くなる表現はスポーツにとっては相手が二度とスポーツができなくなるので、スポーツでないっていうふうに判断してます。

で、スポーツはやっぱり相手をリスペクトして、再度相手と争いたい、ゲームをしたいっていう気持ちが生まれるようにできている。だからこそお互いがコミュニティとして、お互いが仲良くなる。イコール、オリンピックムーブメントは平和につながるっていう論理構成なので。

井上:
なるほど。そういうところに共通点があるということなんですね。
ありがとうございます。まだまだお伺いしたいこと色々ありつつもですね、お時間もそろそろございますので、最後に収録を終えての感想ですとか、リスナーの皆さんにメッセージがあればお願いいたします。

高橋:
私も移り変わる諸々の研究はしてるんですけど、その背後にある変わらない構造、考え方。それも多分ゆっくりとは変わってるのかもしれません。ゆっくりとか、まあ、非常に保守的な発想だけど、ゆっくりとは変わってるものってのは何なのかっていうのを、見定めるってことが重要で、表面的な変化に反応すると、あんまり得策じゃないんじゃないかなと思っていて。

ぜひリスナーの方もですね、もう一歩離れて、その現象って一体何が起こしてるのっていうようなことを考えていただくと、大学人としてですね、面白いんじゃないかなと思ってます。ぜひそんな方と一緒に語りたいなと思って私もゼミを開いておるんですけど、学生はとにかく変化したものにすぐ飛びついちゃうんですね。

変化したものにすぐ飛びつく。そういうものはあるのは押さえた上で、もう一歩考えるってことが大事かなというふうに思ってます。

井上:
ありがとうございます。

早稲田大学ポッドキャスト博士一歩前。
高橋義雄先生と一緒に「スポーツの境界を問い直す―eスポーツとバーチャルスポーツが開く未来」をテーマにお届けしてまいりました。
eスポーツやバーチャルスポーツの可能性から、地域、教育、産業、政策、そして先生ご自身の現場起点の研究者としての歩みまで、スポーツが社会を映し出し、また社会を変えていく力を感じる時間となりました。

改めて本日お招きしたのは、早稲田大学スポーツ科学学術院スポーツ科学部の高橋義雄先生でした。

高橋先生、ありがとうございました。

高橋:
ありがとうございました。

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