【公共奉仕部門 大賞】
兵庫県知事選等めぐるキャンペーン報道
~SNSと選挙・広がる誹謗中傷~
TBSテレビ「報道特集」
村瀬 健介 氏の挨拶

このたびは、栄えある「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」をいただきまして、誠にありがとうございます。私たちが取り組んだ兵庫県の問題をめぐっては、今月に入り捜査当局の大きな動きがありました。ただ、この「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」については、この捜査当局の動きがある前に、私たちに対する授賞を決めていただきました。私たち「報道特集」のスタッフ一同、孤立無援を感じることが多かっただけに、このような励ましをいただいたことは誠に大きな意義があり、大きな励みとなりました。本当にありがとうございました。
冒頭から個人的なことで大変恐縮ですが、今回、公共奉仕部門ということで顕彰していただいたことを大変嬉しく思っております。学生時代、将来少しでも社会の奉仕につながるような仕事をしたいと思い、この職業を志した者としましては、この公共奉仕という言葉を使った賞をいただくことに特別な意義があります。
さて、私たち「報道特集」は一年余りにわたって兵庫県の問題について、スタッフ一同一丸となって、いわばチーム取材としてこれに取り組んでまいりました。私は、そのチームのほんの一端を担ったに過ぎませんが、チームを代表しまして一言ご挨拶を申し上げます。
兵庫県の問題は、知事の公益通報者の対応をめぐる問題から始まり、この公益通報者の自死、さらには兵庫県知事選挙におけるデマや誹謗中傷の拡散、そして、百条委員を務めた元県議が自死するという、非常に深刻な社会問題に発展していきました。ただ、私たち「報道特集」がこの一連の問題を報じることには、大きな困難が伴いました。私たちの報道に対して、多くの批判や抗議が寄せられ、いわば私たち自身が炎上する状態になったからです。
それでも、私たち報道特集のスタッフ一同は、この問題を報じ続けることに一つの迷いもありませんでした。それは、公益通報をした人物が公然と不当な扱いを受ける、あるいは、全く根拠のないデマ・誹謗中傷で、人が追い詰められ、それがネット上で消費される。こんなことが許される社会でいいのか、そういう思いをスタッフ一同が終始一貫して共有していたからです。そのように私たちスタッフ一同が一丸となってこの報道に取り組めたのも、辻真プロデューサー、そして曺琴袖プロデューサーという本当に強力なリーダーシップがあったからだと思っています。
そして何より、私たちの報道を可能にしてくれたのは、多くの取材協力者の方々です。とりわけ、この兵庫県問題について「報道特集」の取材に協力するということは、大きなリスクを伴うことでした。それにもかかわらず、私たちの報道の意義を共有してくださり、そのリスクを背負ってくださった方々がたくさんいます。そうした方々の献身と勇気に心から敬意を表し、この場を借りて感謝の言葉を述べさせていただきたいと思います。
今日、このように私たちを表彰してくださったこと、私たちスタッフ一同にとっては大きな励ましになります。また、明日からこれを糧にして、社会に少しでも奉仕できる仕事に精進していきたいと思います。本日はありがとうございました。
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