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【わせとしょ探検隊!】第7回 図書館で解き明かす、ゴジラと日本・アメリカ

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(C)AFP PHOTO / YOSHIKAZU TSUNO

上記画像とアイコン画像は、許諾を得て契約データベース AFP World Academic Archiveより引用利用しています。

はじめまして!LIVSメンバーの蔭山です。今回で第7回となりました『わせとしょ探検隊!』。いよいよ最終回です!

新入生の皆さん、中央図書館にはもう行きましたか?せっかく早稲田生になったのに、まだ行ったことが無いという人はいませんか?「図書館なんてどうせ勉強する場所だし退屈だ」「堅苦しい本ばかりでしょ?」等と思っていませんか?

それはもったいない!図書館は使い方によって無限の楽しみ方があることを声を大にして主張します。

というわけで今回調べるテーマは、日本人なら誰もが名前くらいご存知であろうこの方、「ゴジラ」についてです。ゴジラという一見突拍子もない虚構を、早稲田の図書館を使って調べ、そこからかつての時代の世相を見ていこうという企画です。

「ゴジラなんて、図書館でそんなことまで調べられるの?」
「こんな蔵書、資料があったの?」

といった嬉しい驚きを皆さんに提供できればと思います。そして、皆さんに「図書館に行ってみようかな?」と感じてもらえるきっかけになれば嬉しいです。

はじめに-まずは映像を見てみよう-

「そもそもゴジラを観たことが無い!」という方にも分かるように進めて行こうと思いますが、1954年の最初のゴジラ、まずは実際に観てみたくはないですか?でもそのためにDVDをレンタルするのもなあ…どこかで手軽に観られないかなあ…


はい、『ゴジラ(1954)』、この名作映画はなんと図書館で観られます!WINEのキーワード検索で「ゴジラ」をAV資料に限定して検索した結果の画面ですが、なんと中央図書館4FのAVルームに初代ゴジラのDVDが所蔵されています!早稲田大学図書館の所蔵資料の広さ、素晴らしすぎますね。皆さんもこの傑作日本映画を是非是非お楽しみください。因みに英語版も国際教養学部学生読書室に所蔵があります。

『ゴジラ(1954)』について-海外の新聞を見てみよう-

では、1954年版のゴジラを見ていきましょう。この作品は「ビキニ水爆実験で目覚めた古代生物が、放射能を吐きながら東京を火の海にする」という内容となっていて核兵器への批判や反戦などのメッセージが読み取れます。

一方で、当時核実験を行っていたアメリカでは、このゴジラという作品はどのように受け入れられたのでしょうか。例えばアメリカの新聞から世論や反応を調べることができたら便利なのですが…

というわけで、図書館で海外の新聞を探しましょう!


早稲田大学図書館Webサイトの「資料の検索」から「リサーチNAVI」を選んでください。


そこから「新聞記事を探す」を選択して…


アメリカの新聞がないかなと見ていくと…ありました!「ProQuest Newspapers」 というデータベースにはNew York Timesの記事が収録されています。


収録内容を確認すると、なんと創刊号から現在までのすべてが含まれているようです!このように大学が契約している有料データベースが利用できるのも早稲田生の強みです。

このデータベースで「godzilla 1954」とキーワード検索して、記事を色々と探してみると、2005年5月1日に掲載された“Godzilla vs. the giant scissors: Cutting the antiwar heart out of a classic.”というタイトルの興味深い記事がありました。記事の抄録を読むと、

A fire-breathing reptile is pretty much the same in any language. But the butchered version of the film that swept the world after release in the United States was stripped of the political subtext — and the anti-American, antinuclear messages — that had saturated the original.
*Staples, B. (2005, May 01). Godzilla vs. the giant scissors: Cutting the antiwar heart out of a classic. New York Times より引用

とあり、なんと1954年、アメリカで公開されたゴジラからは反核・反戦要素がカットされ、日本版本来のメッセージは当時のアメリカの観客には伝わらない内容にされていたようなのです。

しかし、2005年になってこのような記事が書かれていることから、今となっては日本版本来のメッセージがアメリカでも受け入れらているということだと思いますが、始めはただのモンスター映画として公開されていたということが分かりました。それが政治的配慮か、はたまたエンターテイメントの為だったのかは分かりませんが、結果的に日本とアメリカでは、ゴジラは全く別のものとして捉えられていたのですね。

因みに、早稲田大学図書館ではNew York Timesが紙の形でも一年分保存されています。


また、マイクロ資料という形では1851年9月から2010年まで、およそ160年分のバックナンバーが所蔵されています。未来に過去の資料を残すため、様々な工夫がなされているのですね。

ゴジラシリーズについて-ゴジラの研究書を読もう-

さて、全てのゴジラ映画を見ていくには時間が足りません。なので、ゴジラについて研究した資料を探して、初代ゴジラ以後のゴジラシリーズについて考えていきましょう。

え?「ゴジラのようなフィクションについての研究とか研究書が存在するのか」って?それなら、試してみましょう。

早稲田大学図書館の蔵書を検索できるWINEを開きます。


「キーワード検索」で「ゴジラ」と検索すると…


はい、でました!こんなにたくさん!その数なんと30,000件を超えています。研究書があるという点で「流石のゴジラ」ですが、それらがしっかり所蔵されているという点では「流石の早稲田」です。いやはやゴジラファンにとっては見ているだけで垂涎ものの豊富なラインナップ、ゴジラ研究には困りません。

この中から良さそうなものが二冊ありましたので、実際に見に行ってみましょう。

まず一つ目は『ゴジラ傳 : 怪獣ゴジラの文藝学』。


もう一つは『ゴジラとアメリカの半世紀』です。


どちらの資料も中央図書館地下二階の研究書庫に所蔵がありました。というわけで、地下二階へ向かいます!


請求記号の778は映画関連を示す数字。棚を見ると、700番は芸術の分野です。映画は芸術扱いなのですねえ…


さて、このあたりにあるはずですが…


ありました!『ゴジラ傳』と、


『ゴジラとアメリカの半世紀』です!こちらではゴジラのコスプレをするほどゴジラが大好きなアメリカ人のゴジラ分析を読むことができます。


これから話すのは、これら二点の資料から見える少し前の時代までの日米ゴジラ史です。

(1)昭和シリーズ

それでは見ていきましょう。まずは昭和シリーズ。

初代ゴジラではとにかく戦争や核兵器を思い起こさせる要素が積み上げられ、極めてシリアスなストーリーが展開されていきました。しかし、その後のシリーズでは全体的に戦争の要素は薄くなり、ゴジラが「ヒーロー」になっていくのが分かります。他の怪獣が人類の敵として現れたところを見ると、公害やいじめなど、より社会的に身近な脅威が現れてきたことが影響したようです。

また、キングコングと対決するなど、どんどんとポップでコミカルな存在へ変わっていきます。多くのアメリカ人にとってのゴジラのイメージはこのころのイメージが強いようで、当初のゴジラの「反戦」「反核」「シリアス」のイメージからは余計に乖離していくことになります。

そして、やがてシリーズは息切れを起こします。簡単に言えば飽きられてしまい、シリーズの制作は中断されてしまいました。

(2)ゴジラ(1984)

次にゴジラが復活するのは1984年。「子どもむけ」を意識せず、久々にゴジラ単体の映画、それもかつてのようなシリアスな内容の映画が作られました。冷戦真っただ中という時代背景もあり、核の抑止力を前提とした外交政策に警鐘を鳴らす内容でした。ゴジラも、昭和シリーズのポップでコミカルな存在から、「怖い」「悪い」存在というイメージが強調されました。

ちなみに、これがアメリカ版ではどうなったかというと…「会議シーンは退屈」「ゴジラはもっと愉快なもの」というイメージが根強かったようで、やはり大幅にカット、編集されてしまったようです。やはり日本とアメリカでは、ゴジラの楽しみ方が根本的に違うのかもしれません。

(3)平成シリーズ

「怖い」「悪い」存在として人類の敵に戻ったゴジラですが、1998年にハリウッドでゴジラが制作されるなど、再びエンターテイメントとしての側面が強まり、反戦・反核要素が薄くなっていきます。これには批評家やファンからも厳しい意見が多々あったようです。ハリウッド版も結果的にはファンの不興を買ってしまいました。この失敗によって、アメリカのファン層にも一時ゴジラを敬遠するムードが漂っていたようです。1999年からはこれまでの伝統にとらわれないゴジラ映画が生み出される新たな流れも始まりましたが、最終的には人気低迷によって、再びゴジラシリーズは中断してしまいます。

新たなゴジラ-活字のゴジラ創作を読もう-

みたび、ゴジラシリーズが息を吹き返したのは2014年、日本ではなくハリウッド映画『GODZILLA ゴジラ』によってでした。本作のゴジラはより現実のトカゲや恐竜に寄せられた姿となっていきます。内容はハリウッドの王道のような流れで、ゴジラはヒーローとして描かれています。登場人物にウインクをするなどチャーミングな面も強調されています。

一方日本でも、2016年に『シン・ゴジラ』が公開され、大ヒットしました。これは皆さんにも記憶に新しいのではないでしょうか。こちらのゴジラは原点回帰ということで、純粋に「人類の脅威、敵」として描かれます。ハリウッド映画とは真逆であり、ここでも日米のゴジラの齟齬が現れています。アメリカにとっては人気怪獣ゴジラの原点は、やはりポップなヒーローの頃のゴジラのようです。

さて、この『シン・ゴジラ』のヒットがどれほど凄まじかったかというと、芸術総合雑誌の『ユリイカ』2016年11月第48巻17号シン・ゴジラの特集を組んだり、劇中世界に生きる架空の人物が書いたという設定の『ゴジラ幻論』が発行されたりするほどで、一大ブームを巻き起こしました。因みに『シン・ゴジラ論』というシン・ゴジラ単体の研究書まであります。

しかし早稲田大学図書館には研究書はいっぱいあるけど、そんな創作なんて持っているのかな?雑誌の特集号まで所蔵しているのかな?



心配ご無用、『ユリイカ』『ゴジラ幻論』どちらも所蔵しています。

『ユリイカ』は創刊号からほぼ全ての号を揃えているので、当然シン・ゴジラの特集号も所蔵しています。

また、『シン・ゴジラ論』の方も所蔵しています。


ちょっとバックナンバー書庫まで『ユリイカ』シン・ゴジラ特集号を見に行ってみましょう。


バックナンバー書庫の資料は製本されて、どれも似たような表紙になっていますね。


肝心の『ユリイカ』は…


一番上の段にありました。高い!脚立を使って取り出します。


こんな感じになっているのですね。

これらの資料を読むと、『シン・ゴジラ』が3.11を経験した日本にとってどれほど大きな衝撃を与えたかが分かります。この作品はあの大震災を経験した日本だからこそ作れたもののようです。

更に2017年からアニメの三部作ゴジラ映画がスタートし、その前日譚となる小説も発表されました。流石にゴジラの小説のような読み物は持っていないだろうな…


はい、これも所蔵しています。中央図書館ではなく法学部学生読書室の所蔵ですが、先述の国際教養学部学生読書室同様に、早稲田の学生なら誰でも利用することができます。堅苦しい研究書だけではなく、娯楽や読み物も豊富に揃えられているのがが早稲田大学図書館です。

『シン・ゴジラ』は原点である1954年版のゴジラを意識した内容になっていて、様々な点で政治、災害、原発などと結び付けられ、考察され、その結果色々な研究書、解説書が刊行されました。それに対してアニメ版は、エンターテイメントとしてのゴジラの新たな挑戦と位置付けることができるかもしれません。2014年版ハリウッドのゴジラもアニメ版のゴジラも「地球環境の保護者」という描かれ方をしています。しかし、人類に対する態度や、キャラクターとしての雰囲気などがかなり毛色の違うものだということが、これまで紹介した資料を読んだだけでも分かってきます。

まとめ

今回の調査で、ゴジラが辿ってきた道のりや、ゴジラにまとわりつく日本の世相、日米の意識の差について、簡単にですが明らかにすることができました。戦争を背景に誕生した怪獣が、日本の復興や、新たな危機によって、ヒーローになったり、人類に害をなす存在になったり、アニメにもなったりしました。日本では戦争や核兵器の象徴だったものが、アメリカではかっこいい恐竜になったり、愉快な隣人になったりもしました。同じものを見て、同じものを創ろうとしているようでも、国や文化、時代の違いで方向性が大きく異なってしまっていることがよく分かる例です。エンターテイメントといえども文化です。掘っていくことで、様々なことが見えてきます。今回は紹介しきれなかったゴジラに関する資料、ゴジラ作品もまだまだ沢山、早稲田大学図書館にはありますので、是非ご自身で探してみて下さい。

因みに

今回はゴジラに関しての話題に絞りましたが、他の映画についても興味がある方もいらっしゃると思います。そんなあなたにオススメなのが請求記号778です。映画に関係する資料の大半にはこの番号が与えられています。AV資料とともに利用すれば、あなたの映画欲を満たすこと間違いなしです!

778の分類のところにある資料はこんな感じです。


こちらはAVルームの入り口です。

終わりの挨拶

さて皆さん、早稲田大学図書館の蔵書が如何に奥深いか、お分かりいただけましたか?

ゴジラひとつとってもこんなにも多種多様、たくさんの資料が見つかるわけです。当然他の分野、トピックでも同じことが言えます。大真面目な研究書から小説、映像、更には大学が契約したデータベースまでもが閲覧可能!早稲田生になったのに、この豊富な情報源を活用しない手はありません!
みなさんも自分が好きな事について調べ、探し、早稲田LIFEを楽しんでください!

更に、図書館をもっと楽しみたい方のために存在するのが我々LIVSです。主に中央図書館で企画、展示を行っており、図書館をより楽しく、親しみやすい場所にするため、活動しています。興味がある方、是非図書館を一緒に盛り上げていきましょう!

今回の発掘成果

バックナンバー

* この記事の図書館書庫内の画像、資料の写真、データベースの画像は、早稲田大学図書館・各データベース提供元の許可を得て撮影・掲載したものです。図書館内あるいは 図書館資料・データベースを許可なく撮影すること、インターネット掲載は厳禁です。またこれらの画像の無断転用を禁止します。

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