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【わせとしょ探検隊!】第5回 早稲田生だけど意外と知らない!? 會津八一とは

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こんにちは!3年も終わりだけど出来ればこのまま早稲田の図書館に住みたい…LIVSメンバーの橋詰です笑 今回は前回の坪内逍遙の記事に続き、早稲田にゆかりの深い人物について調べていきたいと思います。

ゆかりの深い人物…皆さん誰が浮かびますか?キャンパス内にも名前を冠した建物がある人物ですよ! 坪内逍遙博士記念演劇博物館を紹介したら、もう一つの博物館は…え?名前が思い出せない?どこにあるかって?

ズバリ!會津八一記念博物館!!
華の3号館の目の前にある学内の博物館です!!!


でもそもそも會津八一って誰??よくわかんないし、行ったことない…という方、多いのではないでしょうか。會津八一記念博物館は入館無料の学内施設。これはせっかく早稲田大学にいるのにもったいないことをしているのでは…汗

そこで今回は、大隈重信や高田早苗、坪内逍遙らに比べると早稲田生にいまひとつなじみが薄い「會津八一」とは誰か?、という疑問を図書館の資料を探索しつつ解き明かし、ワンランク上の早稲田生を目指そうという企画なのです。早稲田大学歴3年、高まりつつある愛校心とともにいざ!

人物の調べ方

まず、何から調べるかという問題があります。試しに「会津八一」でWINEのキーワード検索をしてみましたが、1912件もヒットしてしまいました…(2018年3月6日現在)
でも!人物について調べているんですから、まずは人物事典を引いてみたらいいんじゃないでしょうか!?それではあらゆる事典類がそろう中央図書館2F参考図書コーナーへ行ってみましょう…!



人物事典の類はR281の棚にあります。それにしても思った以上に人物事典がたくさん…こういう時は『人物レファレンス事典』を使うと良いそうです!『人物レファレンス事典』を引けば、調べたい人物がどの事典に載っているのかが分かります。情報も詳細で、様々な角度から調べることが出来そうです。


それでは、『人物レファレンス事典 明治・大正/昭和(戦前)編 あ〜し』で「會津八一」と引いてみましょう。すると、意外にも會津八一は10種類以上の辞典に載っていることが分かりました。どれを見るのがいいか分かりませんが…ここは一番上に書かれていた『近代日本哲学思想家辞典』を引いてみます!


約1ページに渡り、随分詳しく會津八一のことが書かれていました!少しかいつまんで引用します。

会津八一 あいず・やいち 1881.8.1-1956.11.21
号は秋艸道人[しゅうそうどうじん]、渾斎[こんさい]。早稲田大学英文科卒業。1926以降早大で日本および東洋美術史を講義, 1931教授, 『法隆寺、法起寺、法輪寺建立年代研究』(東洋文庫)で文学博士。[…]生涯孤高の文化人としての姿勢を崩さなかった。[…]和歌は奈良旅行に始まる彼のライフワーク。(『近代日本哲学思想家辞典』)

八一という名前は、8月1日生まれが由来であるようです。この他、會津八一の著書が詳しく載っていました。

また、會津八一のように大学に縁の深い人物を調べる場合は「早稲田大学人名データーベース」を使うことも出来ます。先ほどと同様に、号・生年月日・学歴にほか早稲田に関する年表が出て来ました。やはりここでも、著書が多く取り上げられています。會津八一の活動について探るには彼の著書を調べることが重要になりそうです。

著書を調べよう

そうと決まれば、WINEで著者名等検索してみましょう!WINEのトップページから著者名等検索で「會津八一」と入力します。著者名等検索は姓名の間にスペースが必要なので要注意です。


真っ先にヒットしたのは、『仏教美術特殊研究講義』という本!タイトルからして講義用の資料でしょうか…

また、會津八一の学位論文と思わしきものもヒットしました!

この2件の検索結果の共通点について、皆さんお気づきのことはないでしょうか…そう、これら會津八一の資料がともに文庫06に収蔵されているみたいなのです!文庫6といえば早稲田大学図書館名物、前回の記事でも話題になった坪内逍遙の旧蔵書「逍遙文庫」です!

 


なんと會津八一と坪内逍遙は早稲田大学で師弟の間柄。長坂吉和著『會津八一をめぐる人々』p.17 「會津八一  才多き孤独な芸術家」にこんな記述がありました。

[會津八一は]新潟市古町に百年もつづいた會津屋という料亭に生まれ、[…]文才の方は早熟で[…]ことに逍遥を慕って早稲田へ進んだことは生涯の師を見出したと言っていい。(長坂吉和「會津八一  才多き孤独な芸術家」『會津八一をめぐる人々』, p.17)

また、先ほど『近代日本哲学思想家辞典』で「和歌は奈良旅行に始まる彼のライフワーク」とありましたが、これは「教師生活三年目、画家渡部文子との恋愛関係が実らず、傷心を抱いて訪れた奈良地方で風物を詠んだ」ものだそうです。坪内逍遙と會津八一の関係を探るうちに思いがけず恋愛事情まで知ることが出来ました…笑

ともかくも、會津八一を調べる上で逍遙文庫が期待度大だということは十分わかりました!早速、逍遙文庫の棚にまで行ってみましょう。

このコーナーではおなじみ!わせとしょの底力、地下1階研究書庫にまでやってきました。


逍遙文庫の棚にて、先ほどWINEで見つけた 『仏教美術特殊研究講義』と…

會津八一の博士論文『法隆寺・法起寺・法輪寺建立年代の研究』を見つけることが出来ました!

逍遙文庫の棚を見てみると、他にも坪内逍遙が會津八一から受け取ったと思しき論文や資料が他にも多数見受けられました。『仏教美術特殊研究講義』には會津八一のものと思われる書き込みも…!

どうやらこの資料は、東京美術学校(東京芸術大学の前身)で會津八一が講義した際の資料のようです。冒頭の仏像の図版に説明が付いている模様。当時の雰囲気を感じられる、図書館ならではの資料でした。

仏教美術関連でもう一つ!逍遙文庫の隣の津田文庫にも會津八一の資料を見つけました。特殊コレクション(文庫)のページによると、津田文庫は、早稲田大学の名誉教授・津田左右吉の旧蔵資料のようです。資料の配架場所を確認すると、4階貴重書庫や地下1階研究書庫のほかに、2号館(會津八一記念博物館)津田記念室に一部あり、とあります。會津八一記念博物館に津田記念室というものがあるくらいですから、會津八一との親交も深かったものと思われます。


津田文庫の一角には雑誌の抜き刷りがたくさんあるコーナーが…!その中で見つけた資料はこちら!『観仏三昧』です。

ボ、ボロボロ…かなり年季が入っております。こちらも表紙に津田に向けたものと思われる直筆の書が。『観仏三昧』は仏像に関する歌がひたすら書かれたものでした。著者名となっている秋艸道人というのは會津八一の”号”で、資料から頻繁にこの号を使っていたことが伺われます。

博物館について調べる

會津八一自身について少しわかったところで、博物館についても興味が湧いて来たので、調べたいと思います。試しにWINEで「會津八一記念博物館」とキーワード検索してみましょう。こうすると、博物館の図録が100件近くヒットしてきます。

もう少し博物館の成り立ちがわかるような資料を探してみたい…そこで!博物館の歴史は大学内の歴史に刻まれているのでは??というアイデアに基づき、『早稲田大学百年史』でヒントを探ってみたいと思います!

ちなみに昨年まで分厚い本で調べなければならなかった百年史…


なんと2017年12月4日よりWiki版『早稲田大学百年史』が公開され、ウェブ上から調べることが出来るようになりました!!調べやすくなっているはずなので早速使ってみましょう。キーワード検索の窓に「會津八一記念博物館」と入力して検索してみたところ…

…まさかの検索結果なし!?
いやいやそんなはずは…と思い、「会津八一」で検索してみたところ、気になる記述を見つけました!

戦前からの研究遺産を引き継いでいるという点では、いわゆる会津コレクションの保管・陳列および研究を目的とした会津博士記念東洋美術陳列室にも言及しなければなるまい。会津八一が[…]自らの生活を切り詰め、また時に恩師坪内逍遙や市島春城[※初代図書館長]の後援を受けて蒐集してきた美術資料は、会津に本格的な博物館設置を構想させたのであるが、[…]東洋美術研究室として構想の一端が実現されたのであった。(『早稲田大学百年史. 第4巻』「第九編 新制早稲田大学の発足 第五章 研究体制・事務組織の整備と拡充」より。下線・強調・注記は筆者による)

つまり會津八一記念博物館は、1998年に現在の形で設立される以前は「会津博士記念東洋美術陳列室」という施設だったようです!早稲田大学の創立百年は1982年なので、まだ會津八一記念博物館の設立前。百年史にはまだ會津八一記念博物館のことは載っていないのですね。「東洋美術陳列室」、これは博物館の歴史を探るうえで有力なキーワードになりそうです…!

WINEで東洋美術陳列室をキーワード検索すると以下のようになりました。


「早稲田大学會津博士記念東洋美術陳列室」が発行している図録があるようです!試しに、その中で一番古いと思しき資料を探してみると…こちらの『古代東洋鏡鑑展覧会』でしょうか。


配架場所は文庫24。他のものも見てみましたが、どうやら東洋美術陳列室が刊行した図録の多くは文庫24にあるようです。文庫24は千厓(せんがい)文庫と言い、「第一高等学院時代に会津八一博士との出会いがあって以来、日本金石文の研究を続けてきた」という、元図書館副館長でもある加藤諄先生の収集資料が集められているようです。この文庫も図書館や博物館にとてもゆかりの深いもののようですね。


というわけで、今度は千厓文庫の棚にまでやってきました。資料を探すと…


ありました!これが今の會津八一記念博物館の前身、東洋美術陳列室で行われた展覧会の図録、『古代東洋鏡鑑展覧会』の表紙です。WINEの注記には「会期:昭和27年12月11~12日」とありますから、戦後間もない時期に開かれた展覧会のようです。謄写版(ガリ版)であるというあたりも雰囲気を感じさせます。冒頭の文には、陳列室の復興に関する切実な思いが綴られていました。こんな資料に直に接するとこができるのも早稲田大学図書館の魅力ですね!

ところで、先ほどの大学百年史の続きを読み進めてみました。

[會津八一は、]美術史の研究は実物と文献との両面から成すべしとする年来の主張から、私費を投じ三千余点の明器その他の資料を蒐集した。昭和九年その一切をあげて本学に寄附し、東洋美術陳列室を旧恩賜館に開設したのである。(『早稲田大学百年史. 別巻1』「第一編 学部 第三章 文学部」より。下線は筆者による)

會津八一の「美術史の研究は実物と文献との両面から成すべし」という実学の精神から陳列室が出来たというのは興味深いですね。

しかしこの努力は悲劇的な運命をたどる。[…]東洋美術研究室のある恩賜記念館そのものが[…]東京空襲で焼失してしまったのである。[…]空襲で下落合の居宅秋艸堂[※會津八一宅]が研究資料とともに灰燼に帰すと、会津は[…]郷里新潟県に帰ってしまう。終戦後、コレクションは[…]漸く図書館二階の小部屋に東洋美術陳列室が設けられ、展示されることになった。[…]その価値への認識は高まり、[…]『三万の学徒は朝の八時から晩の九時まで入れかわりたちかわり殺到し』た(『早稲田学報』昭和二十五年四月発行第四巻第四号二五頁)とあるように、学苑図書館の誇る施設の一つとなったのである。(『早稲田大学百年史. 第4巻』「第九編 新制早稲田大学の発足 第五章 研究体制・事務組織の整備と拡充」より。下線・注記は筆者による)

旧図書館のこととはいえ、学生の研究のためを思い會津八一が心血を注いで集めたコレクションが「学苑図書館の誇る施設の一つとなった」とあり、早稲田では図書館と博物館が強く結びついてきていたことが分かります。しかも、會津八一記念博物館のウェブサイトにも書かれているように、今はかつての旧図書館(2号館)が再生されて會津八一記念博物館となったわけですから、なおさら図書館と博物館の縁を感じずにはいられません。

ところで大切な研究資料が「灰燼に帰す」と同時にコレクションを置いて新潟に帰ってしまった會津八一が郷里で懸命に集めたと思われる資料は現在の地下書庫に残されています!


師と慕った坪内逍遙の書棚の近くにひっそりと立つ會津文庫。やはり仏教美術や歌・書に関する資料が多く、會津八一の堅実な性格を感じました。



データーベース検索

ここまで来ると、少しは會津八一記念博物館に興味が湧いてきたのでは…?え?そんなことは無い??そう、悲しいことを仰らずに…會津八一記念博物館に何が収蔵されているかだけでも気になってみてください笑

博物館の収蔵品は、WINEトップページからリンクされている学術情報検索で「會津八一」と検索するとヒットするデータベースで調べることができます。


具体的には以下のデータベースで博物館収蔵資料の一部を見ることができます!

この機会にどんな資料があるのか、少しでいいので覗いてみるといいのではないでしょうか!

まとめ

會津八一を巡る長い長い「わせとしょ探検」はひとまずこれで終わりですが、どうだったでしょうか。會津八一が坪内逍遙の弟子だったり、意外にも図書館との結びつきが強かったりと発見が多かった探検でした。また本は勉強するためのものと思っていたのですが、今回図書館の資料を探索する中で、本・論文のやりとりを通じて人物の交友関係が見られたのが面白かったです。

まだまだ紹介しきれなかった資料や涙を呑んで削った資料がたくさんあります!この機会に是非図書館に足を運んで見てください!

 

参考資料

今回の発掘成果

バックナンバー

* この記事の図書館書庫内の画像、資料の写真、データベースの画像は、早稲田大学図書館・各データベース提供元の許可を得て撮影・掲載したものです。図書館内あるいは 図書館資料・データベースを許可なく撮影すること、インターネット掲載は厳禁です。またこれらの画像の無断転用を禁止します。

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