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【わせとしょ探検隊!】第3回 バレンタインデーの秘密に迫る

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初めまして! 早稲田大学図書館ボランティアスタッフLIVSの酒井です。

突然ですが、あと何日か寝ればついにあの日がやってきますね。ある人にとってはとても幸せな日。しかしある人にとっては地獄のような日。
そう、バレンタインデーです!
もちろん僕は、生まれてからこの日をずっと恨んできた人間で、「バレンタインデーなんてチョコレート会社の陰謀に過ぎないよ! みんなは資本主義の掌の上で踊らされているんだ!」と主張し続けてきました。
しかし、僕の主張はいつも、ただの妬みとしてぞんざいに扱われるだけでした。
そこで今回は、早稲田大学図書館の豊富な蔵書を頼りに、「バレンタインデー=チョコレート会社の陰謀」を証明し、バレンタインデーにうつつを抜かす人の目を覚ましたいと思います!

バレンタインデーに関する本をWINEで調べてみる

それではさっそく、WINEで資料を検索することにしましょう。ひとまず「バレンタインデー」でキーワード検索をしてみます。


おっ、面白そうな本が出てきましたね。『バレンタインデーの秘密:愛の宗教文化史』ですか。こちらをクリックしてみましょう。


下の件名に「愛」とあるのが面白いですね! さすがはバレンタインデーの本といったところでしょうか。そして、「宗教 — 歴史」という件名も。確かにこの本のタイトルにも「愛の宗教文化史」とありますが、バレンタインデーがどうして宗教と結び付くのでしょうか?
好奇心がそそられますね! それでは、請求記号「158 ハ」を頼りに、本の元に向かいましょう!


2F一般図書の100類の棚を探すと…ありました! これですね。隣に『悪についての試論』『根源悪の系譜』という名前の本があるのがまた面白いです。悪に挟まれたバレンタインデー……!

見てみると、どうやら新書のようです。ということで読んでみると……面白い! 僕が今まで知らなかったことがたくさん記載されていました。

バレンタインデー成立の秘密

まず驚いたのは、バレンタインデーには元となった祭りがあったことです。その祭りは「ルペルカリア祭」といって、古代ローマで行われていました。どんちゃん騒ぎを伴う、少しエロチックなお祭りだったようです。

しかし、キリスト教の発展期だった四九六年に転機が訪れます。ここでは本文を引用しましょう。

ローマ教皇ゲラシウス一世は、二月十五日のルペルカリア祭の前夜祭を、聖バレンタインデーという日に変更した。(『バレンタインデーの秘密:愛の宗教文化史』p.38より)

キリスト教の倫理観からすると、ルペルカリア祭のどんちゃん騒ぎは容認できるものではなかったようです。だから、ルペルカリア祭を中止しようとしたのですね!

しかし、ルペルカリア祭は民衆から人気のあったお祭りですから、中止するのはなかなか難しい。そこでゲラシウス一世は、聖バレンタインデーという代替の日を設けました。聖バレンタインデー、直訳すれば聖バレンタインの日ですね。それでは、この聖バレンタインとは何者なのでしょうか?

この聖人には一つの伝説があります。聖バレンタインが生きていた時代は、兵士の結婚は禁じられていました。しかし聖バレンタインは、その禁止令に反して相愛の男女を結びつけたために、その罪を問われて二月十四日(!)に斬首されました。

しかし、聖バレンタインデーが成立したのは、聖バレンタインの殉教からおよそ二百年後です。なぜこのようなタイムラグが……?

先ほども書きましたが、キリスト教の倫理観はルペルカリア祭を容認できませんでした。そこで、なんとかルペルカリア祭を中止したいと考えたキリスト教の偉い方々は、斬首された日が偶然(!)ルペルカリア祭の前夜祭と重なっている聖バレンタインをかつぎ上げてきたようなのです。だからタイムラグが生まれたのですね。

バレンタインデーの成立には、このような大人の事情があったようです。面白いですね!

地下書庫とバックナンバー書庫の資料を探しに……

……おっと、バレンタインデーの成立背景が面白くて、つい本来の目的を忘れてしまいました。「バレンタインデー=チョコレート会社の陰謀説」を早く証明しなくては……!

ということで、先ほどから取り上げている『バレンタインデーの秘密:愛の宗教文化史』の八章「舞台は日本へ」を読んでいきます。するとこのような記述が……。

日本におけるバレンタインデー受容の研究としては、小笠原祐子氏の『OLたちの〈レジスタンス〉』と山田晴通氏の「「バレンタイン・チョコレート」はどこからきたのか(1)」が重要である。(『バレンタインデーの秘密:愛の宗教文化史』p.217より。太字強調筆者)

どうやら他にもバレンタインデーについて述べている資料があるようです。一つの資料から、新たに二つの資料の情報をゲットしました! このような文献の漁り方を、図書館では「芋づる式検索」と呼んでいます。レポートを書くときに役に立ちますね!
せっかく新たな資料の情報をゲットしたので、WINEで検索してみましょう! まずは『OLたちの〈レジスタンス〉』からゴー!


ここをクリックして……。


先ほどの資料は件名が「愛」と「宗教 — 歴史」だったのですが、これはなんと「女性労働者」! バレンタインデーひとつとっても、これだけ件名にばらつきがあるのは面白い……!

さてさて、どうやらこの資料は中央図書館では「2F一般図書」と「B2研究書庫」に一冊ずつ所蔵があるようです。せっかくなので、ここは地下書庫に行くことにしましょう!

まずは階段を下りて、荷物をロッカーに預けます。


それから受付で学生証を見せ、いよいよ地下書庫へ!


目的の資料がある地下二階までやってきました!

請求記号は「366.3 00168」だったので、奥へどんどん進んでいくと……。


これですね!

本を手に取り、一階の受付で貸出手続きを済ませます。向かって右にいる方に本と学生証を渡せばオーケーです! なお、地下書庫には貸出ができない資料もあるのでご注意を!

すぐにでも『OLたちの〈レジスタンス〉』を読みたいのですが、そこはグッとこらえて「「バレンタイン・チョコレート」はどこからきたのか(1)」も検索しましょう。

先ほど読んだ『バレンタインデーの秘密:愛の宗教文化史』の参考文献一覧を見るに、どうやら「「バレンタイン・チョコレート」はどこからきたのか(1)」は、東京経済大学の『人文自然科学論集』という雑誌の、2007年に刊行された124号に収められた論文のようです。なのでWINEに戻り、「東京経済大学 and 人文自然科学論集」というキーワードで検索してみましょう。


すぐに発見! これをクリックします。


配架場所は「中央 3F雑誌」、請求記号は「サイ 0640」、そして図書館所蔵は「1-124〈1962-2007〉」のようですね! お目当ての雑誌は2007年に出版された124号なので、図書館にありそうです。しかし、上に「118-124<2004-2007>:本庄1階」と少し気になる表記がありますが、はたしてこれは何を意味するのでしょうか……?

少し不安ではありますが、ひとまず三階のバックナンバー書庫に向かいましょう! この書庫に入る時も、地下書庫の時と同じように、荷物をロッカーに入れてから入口で受付を済ませなければなりません。勝手に入ってはいけませんよ!


さて、この受付で学生証を提示し、バックナンバー書庫に入ると、このような看板が……。


お目当ての資料の請求記号は「サイ 0640」なので、どうやら4Fにあるようです。この看板、とても親切ですね!

それでは階段を上って目的の論文集のある本棚へ。

さてお目当ての124号は……、


な、ない……!?

何度も確認しましたが、2004年発行の117号が最後のようです。先ほどの不安が、的中したのか……? あわててWINEを開き、先ほどのページに戻ります。そして、「所蔵一覧の表示/特定の巻を検索」のボタンをクリックしてみます。そうすると……、


2007年発行のものは「中央 雑誌(本庄別置)」とありますね! さらにここをクリックしてみると、こんな画面が出てきました。


「中央 3F雑誌(本庄別置)」の「備考(利用申し込み先など)」の欄には「最寄りの図書館カウンター」と書いてあります。どうやら本庄別置の資料を閲覧するには、カウンターに申し出て取り寄せてもらわなければならないようです。バックナンバー書庫にはそのような資料もあるんですね!

ただ、もう少し調べてみたところ、この論文は東京経済大学学術機関リポジトリに登録されているようで、無料でオンライン上から閲覧することができるようです。最近は書庫のスペースを節約するために、このようにオンラインで公開されている分は「本庄保存書庫」に別置されている雑誌も増えているそうです。こちらのリンクからこの論文を実際に閲覧できますので、皆さんもぜひ読んでみてください!

しかし、今回はせっかくなので、実際に現物を本庄から取り寄せてみようと思い、中央図書館2階のヘルプデスクに申請に行きました!

……すると、このような紙を渡されました。


どうやら、今はMyWasedaからオンライン申請することもできるようです。資料が中央図書館にまで届くのには、平日であれば一日ほどかかるようです。少し手間ですが、もちろんやりましょう!

……そして翌日の夕方。


本庄から現物が届きました! 確かにこの資料はインターネットで閲覧もできますが、実際に紙で読むのもいいですねー。

初のバレンタインデーの広告に迫る

さて、資料もそろったところでさくさくと読み進めていったのですが……うーん、目から鱗の連続でした!

要点をいくつか紹介しましょう。

まず、手元にある三つの資料はどれも「モロゾフ」という人物に触れています。この「モロゾフ」……何者!?

この人は、日本で初めてバレンタインデーとチョコレートを関連させた広告を出した人、だそうです。1936年、『The Japan Advertiser』という英字新聞にその広告は載りました。広告を見ると、上に大きく「For Your VALENTINE」と書いてあります。「あなたのバレンタイン(愛しい人)へ」という意味のようですね!

この広告を生で見てみたいと思ったので、WINEを開き、「Japan Advertiser」でキーワード検索してみました。


うーん、どうやら早稲田の図書館にはないようです。そこで、次は日本の大学図書館の所蔵を調べることができるCiNii Booksを開き、「Japan Advertiser」を検索してみます。すると……、


*国立情報学研究所「CiNii Books – 大学図書館の本を探す」より
一橋大学の図書館は1936年の『The Japan Advertiser』を所蔵しているようですね!

残念ながら、初めてのバレンタインデーに関する広告が掲載された新聞は、早稲田大学図書館では所蔵がないものでした。
しかし心配ご無用。早稲田にない資料も、図書館に依頼をすればコピーを取り寄せてもらうことができます! 日本はもちろん、世界中の図書館の資料に、早稲田の図書館を仲介してアクセスができるようになっています。また、早稲田大学と一橋大学は図書館相互利用協定もあり、早大生は一橋大学附属図書館にも学生証で入ることができます。僕も、卒業するまでに見に行きたいです!

日本でバレンタインデーが根付いた経緯を調べる

さて話を戻しまして、モロゾフさんはこのように日本で初めてチョコレートとバレンタインデーを関連させた広告を出しました。しかし、バレンタインデーにチョコレートを贈るという習慣を日本に根付かせるまでには至らなかったようです。もちろん、モロゾフさんの慧眼は素晴らしいものですけどね!

再びこの「バレンタインデー」という言葉が持ち上げられるのは、1950年代になってからです。しかしこの動きは何もチョコレート業界に限った話ではなく、ケーキ業界の一部にもあったようですし、チョコレートに特化せず、お菓子全般を売ろうとしていた会社もあったようです。それに、「女性が男性へ贈り物をする」という構図も、最初は固まっていなかったようですね! バレンタインデーには様々な方向に向かう可能性があったようです!

その後、1960年代にも様々な取り組みがなされましたが、ブームとまではいきませんでした。バレンタインデーが本格的に加熱するのは、高度成長期を迎えた1970年代からだそうです。

しかもこれには、なんと必然的な社会背景があったようですね。『バレンタインデーの秘密:愛の宗教文化史』をここで再び参考にします。1970年代といえば、ちょうど高度成長期を迎えた頃ですので、女性が企業に進出し始め、さまざまな夢が持てるようになりましたが、女性から男性への愛の告白はまだタブー視されていたそうです。しかし、バレンタインデーは「女性が男性へ愛を告白して良い日」とされていたので、女性に広く受け入れられたようです(p.221)。なるほど……!

さて、バレンタインデーが日本に定着した大まかな流れはわかりました。しかし、当時の具体的な動向がもう少し知りたい……! そう思ったので、新聞のデータベースを調べることにしました!


まずはWINEを開き、右下の「学術情報検索」をクリックします。


その次に中央の「おすすめのデータベース」を押します。五種類の新聞が選べますが、今回は「9.朝日新聞:聞蔵Ⅱビジュアル」を選択しました!


*朝日新聞記事データベース「聞蔵IIビジュアル」より

そしてログインしたら、「朝日新聞縮刷版1879~1999」を選択し、「バレンタイン」で検索してみました!


*朝日新聞記事データベース「聞蔵IIビジュアル」より
なるほど、朝日新聞では1957年に初めてバレンタインデーが特集されたようですね。その六年後の1963年には、「スミレの花で愛の募金 聖バレンタインの日_会・催し」という記事が掲載されています。まだ方向性が定まっていない時期だから、このようなニュースが生まれたのでしょうね!

そして、1970年代からバレンタインに関する記事の量が増えていることも確認できました。

また、調べていくうちに面白そうな記事もたくさん見つかりました!


*朝日新聞記事データベース「聞蔵IIビジュアル」より

1983年2月14日の東京/夕刊 11頁 6段
「女心狙った罰当たり女スリ デパートのチョコ売場 バレンタインを荒らす」
→こ、これはどのような状況なのでしょうか……?

1984年2月14日の東京/朝刊 21頁 1段
「バレンタインデー “脱チョコ”考えてみませんか 他人をいたわる日に」
→1984年の段階で「脱チョコ」などという概念が提唱されていたとは……!

他にも面白そうな記事があったので、皆さんも検索してみてください!

よりよいバレンタインデーに……

さて、話がだいぶ明後日の方向に向かってしまいましたが、僕はそもそも「バレンタインデー=チョコレート会社の陰謀」説を論証し、バレンタインデーに浮かれる人々の目を覚ましてあげようとしていたのでした。

しかし、今まで見てきたように、バレンタインデーは、チョコレート会社が全てを仕組み、誘導してきたわけではなく、そこには社会背景なども絡んでいました。ですから、「チョコレート会社の陰謀だ!」と騒ぐのは少し不正確と言えるでしょう。

また、バレンタインデーについて勉強していく中で、この行事が戦後労働者、ひいてはジェンダーの問題と深く結び付いていることもわかりました。上でも見てきましたが、バレンタインデーがブームになった要因の一つに、女性から男性への愛の告白のタブー視があったそうです。このタブー、やはり不平等ですよね。
ですので、女性が男性に一方的に贈り物をする日本型のバレンタインデーは、不平等の上に成り立っていると言えるかもしれません。
海外では男性が贈り物をすることも多いようですし、日本でも最近はバレンタインデーのあり方が変わっているとも聞きます。日本のバレンタインデーの形がこれからさらによい方向に変わっていくといいですね! 僕も率先して変えていかねば……!

少なくとも、「バレンタインデーなんてチョコレート会社の陰謀に過ぎないよ! みんなは資本主義の掌の上で踊らされているんだ!」なんて言って満足せず、もっと様々な角度から見ることができるようにならないといけませんね!

なんだかミイラ取りがミイラになってしまった感がありますが、今回に関しては決して悪いことではないと思います。

それでは皆様、良いバレンタインデーを!

今回の発掘成果

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* この記事の図書館書庫内の画像、資料の写真、データベースの画像は、早稲田大学図書館・各データベース提供元の許可を得て撮影・掲載したものです。図書館内あるいは 図書館資料・データベースを許可なく撮影すること、インターネット掲載は厳禁です。またこれらの画像の無断転用を禁止します。

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