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【わせとしょ探検隊!】第1回 年賀状から広がる図書館の世界

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みなさん、初めまして!早稲田大学図書館ボランティアスタッフLIVSの弦間です。
大好評だった昨年につづき、今年も中央図書館のBBN、すなわち地下書庫(Basement)とバックナンバー書庫(Back Number)の魅力をお伝えする季節がやってまいりました。
図書館をよく利用する方からあまり利用しない方まで、多くの方に楽しんでいただける内容をお届けしていきたいと思います。

さて、先日お年玉つき年賀郵便はがきの当選番号が発表されましたね。みなさんは年賀状を出していますか。近年メールやSNSの普及により、年賀状を出す人が減っているという話も耳にしますが、今回はそんな年賀状をテーマに中央図書館を探検してみたいと思います。

WINEで年賀状について調べてみる

では、さっそく蔵書検索WINEを使って検索してみましょう。
キーワード検索で「年賀状」を調べると…。


結果は348件と少なくないですが、あまり面白そうなものがありません。そこで検索結果を広げるため、キーワードを「年賀 and はがき」に変えてみます。
すると、1884件。


かなり増えてしまいましたが、2番目に『浅井忠年賀葉書』というものが出てきました。ご存知の方も多いと思いますが、浅井忠といえば明治時代に活躍した画家。検索結果にも1901年(明治34年)とあります。どのような年賀葉書なのか気になりますね。「古典籍」となっておりBBNからは少し離れますが、画像情報を見てみます。


『浅井忠年賀葉書』(ヌ6 9217-4)

花と女性の顔が描かれた美しい年賀葉書です。冒頭には謹賀新年とあり、「巴里にて」と書かれていることから、新年に合わせてパリから送られたものであることが想像できます。
年賀状について調べているつもりが、明治時代の浅井忠の年賀葉書に辿り着くなんて!こういった思いがけない貴重な資料が多く所蔵されているのも、中央図書館の大きな魅力の1つですね。

年賀状を送る習慣について調べてみる

さて、浅井忠の年賀葉書から、少なくとも20世紀初頭には年賀状を送る習慣があったことがうかがえます。では、年賀状は当時、どのような習慣として人々に受け入れられていたのでしょうか。ここでは年賀状を年中行事の1つととらえ、調べてみたいと思います。年中行事に関するものをまとめて検索したいので、資料のテーマや分類から検索する「件名検索」を使います。件名とは、図書館が資料の内容に応じて付与しているもので、その件名に関する資料をまとめて探し出すことができます。「年中行事」で件名検索をしてみると…さらにいくつかに分かれているようです。


「年中行事–日本」を選び、なるべく出版年が古いものを探していくと、1924年の『新しき年中行事』という本が見つかりました。この本ならば、1924年当時の年賀状にまつわる習慣が載っているかもしれません!配架場所は「B1研究書庫」、いよいよBBNです。ところで中央図書館のB1研究書庫では、早稲田分類と呼ばれる独自の分類方法が用いられています。


お目当の本は「ヲ6」で、ヲが「社会」、6が「風俗、習慣、民俗学(日本)」を表していることがわかります。
「ヲ6」は電動書架にあるので、中に入ったらまっすぐ進みます。


電動書架を利用する時は探している本がある棚のボタンを押し、緑のランプをつけます。


奥へ進むと該当の場所には箱に入った本が…!


中には美しい表紙の本が入っていました。


劣化が進んでいる本は、このように箱に入れて保管しているのですね。丁寧に扱いましょう。「新年に行ふ行事」の章を見ていくと、年賀という見出しがありました!

年賀は(略)元日に親戚、知己を訪れて回禮して祝詞を交換するので、遠地へは葉書や書狀を以て祝辭を述ぶる。年賀狀が即ちこれである。(略)親しい人々の間では年玉贈る。(『新しき年中行事』p.10より)

とあり、年賀状をお正月に会えない人々に贈るという習慣は当時から変わっていないようです。また、末尾には年玉に関する記述が見られます。現在のお年玉との関連など、年玉に関する歴史を調べてみるのも面白そうですね!

新聞記事データベースから年賀状の習慣について調査してみる

次に、学術情報検索から新聞記事データベースを使って調査をしてみます。昔の世相や当時の習慣を調べるためには、古い新聞の調査も有効です。今回は「朝日新聞:聞蔵Ⅱビジュアル」を選びます。


それでは、朝日新聞で年賀状のことが取り上げられた古い記事を検索してみましょう。「朝日新聞縮刷版1879-1999」で「年賀状」と入力、古い順で検索します。


*朝日新聞記事データベース 聞蔵IIビジュアル」より

すると、初出は1888年1月16日の記事ですが、次の1892年1月5日の記事に着目したいと思います。見出しは「年頭郵便物の増加」、気になりますね。紙面イメージを確認してみると…

逓信省にて本年一月一二の両日間府下郵便局に於て取扱たる郵便物を統計したる所例年より著るしき増加にて即ち一日ハ一百六十萬個二日ハ六十萬個昨年より増加せし由(「年頭郵便物の増加」『朝日新聞』1892年1月5日 東京/朝刊 2頁)

内容は、年頭の郵便物が著しく増加していることを当時の議会解散の影響ではないかと、情勢と絡めて紹介するもので、冒頭に逓信省という言葉が見えます。聞き慣れないかもしれませんが、逓信省は当時の内閣各省の1つで、郵便・電信・電話などに関する業務をつかさどっていました。

他にも1900年12月12日の年賀状特別取扱開始、配達の苦労、書き方、戦中の年賀状自粛の呼びかけなど、実に様々な記事が見られます。「年賀はがき」と検索してみると、1949年9月30日の「いよいよ実施」という記事あり、今も続いているお年玉つき年賀郵便はがきが1949年に始まったことがわかります。
なお、3階のバックナンバー書庫では、朝日新聞を縮刷版の形で見ることもできます。

逓信省についての本を探してみる

ここまでの調査で、明治時代には、年頭の郵便物増加が新聞記事で問題として取り上げられるほどに、年賀状を送る習慣が一般に根付いていたこと、その当時の郵便をつかさどっていたのは逓信省だったことがわかりました。

ここで、先ほど触れたこの逓信省について、一体どんな組織だったのか調べてみましょう。再びWINEに戻り、「逓信省」でキーワード検索すると、『逓信省五十年略史』という本がありました。


出版事項を見ると、「[東京] : 遞信省, 1936.8」とあり、どうやら1936年に逓信省が自らの歴史について記したもののようで、とても貴重そうな資料です。配架場所は「B2研究書庫」、こちらでは通常の図書分類法であるNDC(日本十進分類法)が用いられています。
さっそく探しに行くと…。


お目当ての本は矢印のあたりにあります

随分と上の方に配架されているようです!このままでは本を手に取ることができません。
そんな時は、活躍するのが次のような可動式の階段。


登ってみると、無事に見つかりました!


表紙は布製で金の箔押しが施されています。郵便事業の章、「年賀郵便」の項目を見ると、

年賀郵便は我習俗よりする社交儀礼の所産で、明治三十三年年賀状の差出其の他に関する特例を設けて以来、一の行事として益其の改善を図つて来た(中略)近く昭和十年末に於ては七億八千萬通を算し(以下略)(『逓信省五十年略史』p.78より)

このように記載がありました。1900年(明治33年)に特例を設けて行事として改善を図ってきたと書かれていて、これは朝日新聞での調査で判明した内容とも一致していました。

切手についての資料を探してみる

さて、朝日新聞記事の調査で、その開始は1949年と判明したお年玉つき年賀郵便はがき。今の年賀はがきは切手があらかじめ印刷されていますが、通常手紙を出す際には切手が欠かせませんよね。

最後に切手について調べてみたいと思います。過去にどのような切手があったのでしょうか。「切手」でWINEをキーワード検索してみると…。


「切手」という単語を含むものすべてが対象になるため、「小切手」に関する本まで出てきてしまいました。そこで件名検索に切り替え、件名「郵便切手」を選び、一番古い本を探してみると、出てきたのは1923年発行の『趣味の郵便切手』


そして別の件名の「郵便切手–歴史」を選ぶと、


1945年発行の『大日本郵便切手沿革帖』という資料が見つかりました。この2冊は戦前の発行で、特に内容が面白そうなので、先ほどと同じようにB1研究書庫で探します。

 
左側の『大日本郵便切手沿革帖』は1945年、右側の『趣味の郵便切手』は1923年にそれぞれ出版されたそうです。どちらも時代を感じさせる古い本で、大切に扱われてきたことが伝わってきますね。

『大日本郵便切手沿革帖』には過去の切手がずらっと並んでいて、まるで標本のようです。
奥付を見ると…。


昭和二十年一月一日発行と書かれている隣に、「限定五百部之内 第 号」と書かれています。ひょっとして、これは非常に貴重なものなのかもしれないと思い、『大日本郵便切手沿革帖』についてインターネットで調べてみました。すると、逓信省が昭和二十年一月一日に刊行した『大日本郵便切手沿革帖』は、今も古書業界で高値で取引がされている大変貴重なものだということがわかりました!

…しかし、今回の『大日本郵便切手沿革帖』の奥付を改めてよく見ると、上の画像の通り逓信省ではなく日本郵便切手会の刊行であり、さらに端には郵便切手類模造方東京逓信局許可という印字もあり、おそらく当時逓信省の許可を得てレプリカ・普及版のような形で作られたものではないかと考えられます。とはいっても、めずらしいものであることに違いはないようです。

続いて『趣味の郵便切手』の中も見てみましょう。


I am 18 age my dear sir

内容もさることながら、目次のページ上部に何やら書き込みが!図書館の本への書き込みは禁止されていて許されることではありませんが、長くこの資料が図書館で利用されてきていることが伝わってきます。文体からも時代を感じることができ、歴史の長い図書館ならではのことで興味深いですね。
※繰り返しになりますが、図書館の本に書き込みをしてはいけません!

今回のわせとしょ探検はここまでです。

年賀状という1つのものに着目するだけでも、多くのツールを用いたり、視点を変えたりすることで様々な情報を手に入れることができました。

中央図書館には多彩で豊富な資料があり、特に今回の調査で出会った年中行事に関する本、逓信省に関する歴史の本、戦前の切手に関する本などのような、調べたいことに関する戦前の資料が当たり前のように眠っているのが地下書庫の魅力です。 検索方法をうまく組み合わせることで、あっと驚くような発見ができるかもしれませんよ!

それでは次回もお楽しみに!

今回の発掘成果

* この記事の図書館書庫内の画像、資料の写真、データベースの画像は、早稲田大学図書館・各データベース提供元の許可を得て撮影・掲載したものです。図書館内あるいは 図書館資料・データベースを許可なく撮影すること、インターネット掲載は厳禁です。またこれらの画像の無断転用を禁止します。

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