データ科学センターでは、毎年各学術院(学部と大学院を含む組織)と共同で早稲田大学データサイエンスコンペティション(以下DSコンペ)を開催しています。DSコンペは、本学学生であれば誰でも参加できます。複数名でチームを組み、毎年決まったテーマに従ってデータを分析、分析結果を発表します。第一回DSコンペでは参議院選挙の予測を行いました。仮想的な選挙ではなく実際の選挙を題材にして、データに基づいて立候補者の当落を予測しました。第二回は(株)ADKマーケティング・ソリューションズに提供いただいたマーケティングデータを用いました。企業で活用されている実際のデータです。
このようにDSコンペは、毎年テーマは異なりますが、実際のデータを用いて分析を行うという特徴があります。多くの学生はデータサイエンスを授業やゼミで学んだ後にその実践の場として利用しています。実際のデータは授業などで用いられるデータとは異なるため、思うような分析結果が出ない、あるいは分析自体がうまくできないということも少なくありません。困難も多いですが、その分乗り越えたときの喜びは大きいものがあります。特にチームで参加するので仲間と共に実際のデータを用いて課題を解決することは大きな経験となります。
DSコンペと聞いて理工学部の学生の参加が多いという印象を持つ人も多いかもしれません。実際に2022年に行われたDSコンペ参加者の内訳を見ると理工学部および理工学専攻(大学院)の学生は合計で2割ほどです。いわゆる文系と呼ばれている学部、大学院に所属する学生が多く参加していることが分かるでしょう。これは早稲田のDSコンペのもう一つの特徴と関係しています。早稲田のDSコンペのもう一つの特徴は様々な学部や大学院で学んだ知識をもとにデータ分析を行うことです。2022年度のDSコンペはみずほ銀行提供の金融データを用いました。学生は金融データに対して自由に分析テーマを決定するという仕組みでしたが、例えば、学部や大学院で防災について学んだ学生が防災に関連するテーマを扱いました。また同様に公共政策について学んでいる学生はそれに基づいたテーマを設定し分析しました。このように参加する学生は学部や大学院で学んだ内容をDSコンペに活かしています。自分たちと同じデータに対して、異なる視点からの分析を見ることができるのは早稲田のDSコンペならではと言えるでしょう。