計算材料科学特別セミナー ソフトマター の第3回「ソフトマターのための分子動力学:ストレステンソル制御法」が2月8日に開催されました。
分子動力学シミュレーションは、物質を構成する原子・分子の集団としての振る舞いを力学的に計算する手法です。ソフトマターは熱ゆらぎや外力によって簡単に変形されてしまうので従来の分子動力学シミュレーション法で扱うには適しません。本セミナーでは、異方性・自己組織化・ゆらぎ・階層性などを緩和過程で壊すことなく、動力学的に適切に扱う方法としてストレステンソル制御法を学びました。
まずは前回のセミナーで講義した分子動力学シミュレーションの基礎の復習として圧力一定のシミュレーション法のアルゴリズムを作成しました。それを通して、質問の多かったスケール座標系など数理的な取り扱いの確認をしました。次に本セミナーの主題であるストレステンソル制御法によって計算された液晶相の自己組織化を例として見ていただきました。次に非平衡緩和過程でも静水圧がどのように維持されるのかを具体的に学びました。ストレステンソル制御法の中の以下の
1. 圧力一定の静水圧法:異方性因子が1つの場合
2. 圧力一定の静水圧法:異方性因子が2つの場合
3. 体積一定の静水圧法
4. 垂直圧力一定の下での界面張力法
について学びました。
また、分子間相互作用と分子回転の取り扱いについても学びました。さらにハミルトニアンをなす熱浴として能勢・ポアンカレの熱浴の優れた特徴をみていきました。
その後、受講者の方々から質問を受けるとともに議論することができました。
第3回「ソフトマターのための分子動力学:ストレステンソル制御法」
青木 圭子(早稲田大学各務記念材料技術研究所 客員上級研究員)
日時:2023年2月8日(水)13:00~18:00
開催方法:オンライン(Zoomミーティング利用)
参加人数:53名
〔内訳〕学内14、学外36(大学12、企業等22、研究機関2)、講師他3