計算材料科学連続セミナー 電子材料第2シリーズ 第2回「材料科学のための内殻電子励起の理論」を開催いたしました。
講師は、本学先進理工学部 応用物理学科の溝川貴司教授が務めました。序論・内殻分光の理論・将来展望の3部構成となっており、序論では材料研究において内殻分光が果たす役割とその背景について議論されました。電池材料や触媒材料に含まれる遷移金属やビスマス・鉛の原子価の評価に利用されたケースが紹介され、その利点と問題点が指摘されました。続いて内殻分光理論の詳細について解説があり、原子価だけでなく電子状態に関する詳細な情報が内殻スペクトルから抽出できることが議論されました。また、内殻スペクトルの多重項構造および電荷移動サテライトをクラスターモデルで解析することが、より正確な原子価の評価につながることが示されました。最後に、近年の実験技術と計算手法の発展について紹介があり、内殻分光の時間分解能・空間分解能の向上とデータ解析技術の開発によって、材料中の原子価状態やスピン/軌道状態の時空間発展をその場観察できる可能性が議論されました。
今回は電子材料第2シリーズの第2回目でしたが、企業・大学・研究機関等から多くの研究者および学生の方々にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。ご参加頂きました聴講者の皆様に感謝申し上げます。
第2回「材料科学のための内殻電子励起の理論」
溝川 貴司(早稲田大学 先進理工学部 応用物理学科 教授)
日時:2022年10月31日(月)13:00~18:00
開催方法:オンライン(Zoomミーティング利用)
参加人数:34名
〔内訳〕学内7、学外24(大学8、企業等14、研究機関2)、講師他3